高木社長(以下、社長) 「その通りだ。彼が今日キミと話がしたいという事でね」
P 「話ですか……星梨花のプロデュース方針についてかな」
社長 「キミ、予定は大丈夫なのかね?」
P 「はい、今日の営業は午前だけの予定ですし……終わった後なら迎えると思います」
社長 「そうか!それなら、彼にはそう伝えておこう」
P 「そういう事なら、星梨花のプロデュース資料も色々持っていこうかな……」
P 「音無さん、最近の活動の成果まとめてもらっても良いですか?」
音無小鳥(以下、小鳥) 「はい!お任せください!」
P 「……それにしても、急に呼び出しなんて珍しいな。何があったんだろう」
P「失礼します……」
箱崎父(以下、父)「ああ、プロデューサーくん。いつも星梨花が世話になっている」ペコリ
P「ご無沙汰しております、箱崎さん」
父「……どうぞ、座ってくれたまえ」
P「ありがとうございます」スッ
P「それで、お話とはなんですか?プロデュース方針について質問があるという事でしたら、今日資料を持ってきていますが……」
父「ああ、別にそんな大層な話をしようというんじゃないんだ……前もって資料を持ってくるあたり、君は仕事の出来る人間だな。うちの部下に欲しいくらいだ」ハハハ
P「褒めてもらう事でもないですよ……それでは一体?」
P「気配、といいますと……」
父「星梨花に恋人が出来たのではないか、という事だ」
P「ええっ!?そ、そんな事はないと思いますが」
父「だが、現に誰かに恋しているようなのだ……そうだな?」
執事「はい。この前、お嬢様が熱心に恋愛に関する事をメイドに聞いていたのを小耳にはさみまして」
父「星梨花が仕事に打ち込むためにやっているというのなら問題ない。だが、娘がどこの骨とも知れぬ男に靡いているかもしれないと考えると……!」ワナワナ
P「は、箱崎さん!落ち着いてください!」
父「す、すまない。少し焦ったようだ」
父「うむ、任せ――」
ガチャリ
箱崎星梨花(以下、星梨花)「パパ、プロデューサーさんが来てるってホント!?」
P「おっ、星梨花!こんにちは、今日のレッスンは上手くいったか?」
星梨花「はい!この前プロデューサーさんに教わった通りに出来ました!」
P「そうか!それなら良かった」ホッ
星梨花「……あの、プロデューサーさん。しばらくウチにいますか?」
P「いや、話が終わったから帰る予定だけど……」
星梨花「そ、そうなんですか……」ショボン
星梨花「し、質問って事じゃないです!ただ、少し待っててもらっても良いですか?」
P「構わないけど……なんでまた」
星梨花「春香さんから美味しいクッキーの焼き方を教えてもらったんです!だからご馳走しようかなって思ったんですけど……」
P「そうか!それは嬉しいな、是非待たせてもらう事に……」
P「箱崎さん、よろしいでしょうか?」
父「……ああ、構わない」
星梨花「ありがとうパパ!それじゃ、すぐ作ってきますね!」トコトコ
P「おう、火傷とかするなよー!」フリフリ
父「…………」
父「なぁ、プロデューサーくん」
P「はい?」
父「つかぬ事を聞くのだが……君、まさか星梨花に手を出してはいないだろうな?」
P「……はい?」
父「先ほどの星梨花……私が普段見ないような顔をしていたような気がするんだが」
P「いやいや!気のせいですよ!」
父「……本当かね?」
P「そりゃお父さんに向ける表情と俺に向ける表情が違うのは当然でしょう。実の家族と仕事仲間では、認識に大きな差があるでしょうし」
父「お義父さん!?君は急に何を……!」ワナワナ
P「な、何をそんなに怒ってるんですか箱崎さん!」ガクガク
P(な、なんでこんなに急に怒り始めたんだ!?)
P「と、とにかく落ち着いてください箱崎さん……なにか、お気に障ったのなら申し訳ありませんでした」
父「……すまない、頭に血が上り過ぎたようだ」
P「それで、何をしようというんです?」
父「普段の星梨花について、聞いてもみても良いかね?表舞台だけでない、レッスンの様子とか」
P「はい!それじゃ、何から話そうかな……」
父「それでは、さっき星梨花が話していたレッスンについて聞いても良いかね?どうやら君が一役買ったようじゃあないか」
P「あれは星梨花自身が頑張ったからですよ。俺は、それを少しだけサポートしただけで……」
父「謙遜はよしたまえ!それで?なにも普段からずっと教えているわけではないんだろう?」
P「申し訳ありません」ペコリ
父「プロデューサーがトレーナーを兼ねるのがそもそも間違っているんだ、それを責めるつもりはないよ」
P「そういって貰えると少し気が楽になります」
P「この前、少し遅くなってしまった日がありましたよね?」
父「ああ、そうだな。君が送迎してくれたんだったか……家の者から報告は受けたよ」
P「はい。その折はご挨拶できず、すみませんでした」
父「気にすることはない、私も家にはいなかったからね」
P「お心遣い感謝します……その日、星梨花が自主レッスンをしていたのを帰る時に目撃したので、その折に指導しました」
父「ああ、あの日だったのか……」
父「寄り道でもしたのかね?」
P「はい。何かご褒美に何か奢ろうって話になったので甘味処に」
父「ほう……あの子は喜んだかい?」
P「とても喜んでくれました!自分のあんみつをこっちに分けてくれたりして……」
父「……ん?」
P「貰ってばかりじゃ悪いって言ったんですけどね。そうしたら、俺が食べてるぜんざいを食べさせてほしいって言い出して――」
父「なぁ」ズン
P「……な、なんでしょうか」ビクッ
父 「分ける……というのは?星梨花がやってきたのかね?」
P「そうですね。二人で抹茶が美味しい店で食べていたんですが……星梨花がこっちにスプーンを差し出してきて」
父「差し出してきて……か」
P「何か?」
父「それは、俗にいう『あーん』という奴なのではないかね?」ビキビキ
P「そんな……形だけ見ればそうかもしれませんが、星梨花はまだ13歳ですから」
P「恋愛的な意図とかそういうのはないと思いますよ?美味しいって感覚を共有したかっただけかと」
父「でも、君も彼女に食べさせてあげたんだろう?」
P「まぁ、貰ってばかりでは居心地が悪いですから……」
P「喜んでましたよ?」
星梨花『わぁ……プロデューサーさんが食べさせてくれたから、いつもよりも美味しい気がします!』エヘヘ
P「って感じで称賛してました!」
P「まぁ、初めて食べに行って美味しいかどうかなんてわからないと思うんですけどね」ハハハ
父「……ふぅむ」ギロッ
P「……な、なんで睨みつけてくるんですか」ビクビク
父「いや?君の星梨花に対する距離が近いように感じられてな」
P「星梨花の歳は甘えたい盛りの歳ですし……そんなものだと思われますが」
父「本当にそうなのだろうか……」
星梨花 コソッ
P「星梨花?クッキーはどうしたんだ?」
星梨花「今、オーブンを予熱してる途中なんです!」
P「へぇ……あれ?でも、それじゃなんで戻ってきたんだ?予熱し終わったら焼き始めるんだろ?」
星梨花「プロデューサーさんとパパがどういうお話をしてるのか気になったんです!」
P「そんな事心配してたのか?大丈夫、仕事の話をしてただけだよ」
星梨花「……どういう話だったの、パパ?」ドキドキ
父「ああ……褒めていたよ。よくやっているようだな、私も嬉しいよ」
星梨花「やったぁ!……でも、わたしが出来るのはプロデューサーさんのおかげだから……」クルッ
星梨花「いつもありがとうございます、プロデューサーさん!」ペコリ
P「礼を言われる事じゃないだろ?頑張ったのは星梨花なんだからさ!」
星梨花「そ、そうですか?えへへ……」
父「…………」
P「俺が出来る事なら喜んでするよ」
星梨花「それじゃ……その」スッ
父「星梨花?なぜ、プロデューサーくんに近づいて……」ポツリ
星梨花「えっと……頭を撫でてもらってもいいですか?」
P「そのくらいならお安い御用だ。よしよし」ナデナデ
星梨花「えへへ……」
P「……どうだ?」
星梨花「……はい!とっても、温かい気持ちになりました!」
P「そうか、満足してもらえたなら良かったよ」
父「…………」
P「でも、これだけってのもアレだな……最近構ってやれてなかったし、他にご褒美をあげたいと思うんだけど」
星梨花「本当ですか?嬉しいです!」
星梨花「行きたい場所……あっ、わたし遊園地に行きたいです!」
P「遊園地?」
星梨花 「はい、この前仕事で行ったあそこです!」
P「そうか、分かった。覚えておくよ」
星梨花 「約束ですからね?」
P 「分かってるよ……さ、行っておいで」
星梨花 「はい!美味しく焼いてきますね!」トコトコ
P 「あの遊園地に思い入れでもあるのかな……」
P「はい、なんでしょうか?」
父「いつも……所属アイドルに、あのような事をしているのか?」
P「はい……最初はどうしたものかと思っていたんですが」
P「一度やってしまったら、それ以来色々な子から要求されるようになりまして」ハハハ
父「そうか……いや、星梨花にもやってあげてくれ。喜ぶなら、その方がいい」
P「はい!ありがとうございます!」
父(娘が遠くに行ってしまったような気分だ……)
父「それで、先ほどの遊園地というのは?」
P「はい!この前、遊園地で写真撮影をしまして……」
P「はい、これがその時の写真ですね」
父「ほう……楽しそうだ」
父「いや、家族でテーマパークに行ったことはあるが……」
父「アイドルとして笑う星梨花は、こういう表情をするんだな」
P「はい……皆も笑顔にしてくれる、微笑ましいアイドルです」
父「ありがとう、プロデューサーくん……私は、君を誤解する所だったかもしれない」
P「誤解、ですか?」
父「君は星梨花を本当に大事に思っているだけだというのにね……星梨花に手を出そうとした不逞の輩ではないかと疑ってしまった」
父「この通りだ、許してほしい」ペコリ
P「そんな!顔を上げてください、箱崎さん!勘違いさせるような事をした俺に原因があるんですから」
父「君は優しいな……重ね重ねありがとう」
P「ええ。メリーゴーラウンドが気に入ったみたいで、ずっと乗ってましたよ」
父「そうか……馬にずっと乗るのも疲れるだろうに、余程楽しかったんだな」
P「いえ、馬車にも乗ってましたよ?しばらくは星梨花一人で乗っていたんですが」
父「……ん?しばらくは?」
P「はい……休憩時間に、馬車に乗るお姫様の絵本を読んだらしくて」
P「一緒に馬車に乗って欲しいとせがまれてしまって……」ハハ
父「……隣に乗ったのかね?」
P「まぁ、他に乗る場所はないのでそうなりますね」
父「…………」ニッコリ
P「…………」ダラダラ
P「……あ、あと馬にも」
父「詳しく聞こうか?」ビキビキ
P「え、絵本を貸してくれた人が王子様に連れられるお姫様の絵本も貸してくれたので……」
父「乗せた、と……」
P「…………」ガクブル
父「もう、別にそんなに責めたりはしないともさ」フゥ
P「えっ、良いんですか?」
父「星梨花も、君の事を信用しているからこそ身を預けているのだろう……どうか、星梨花をよろしく頼んだよ」
P「勿論です!」
父「……ただ、くれぐれも手は出すなよ?」ギロッ
P「は、はい!」ビクッ
星梨花「プロデューサーさーん!クッキー焼けました~!」
P「おっ、楽しみだな!」
星梨花「……あれ?パパ、どうかしたの?」
父「いや、星梨花は本当にプロデューサーくんが好きなんだと思ってね」
星梨花「はい、大好きです!」パァアア
P「星梨花……そういう事を、女の子が軽々しく言ったらダメだぞ?男は勘違いする生き物なんだからな」
星梨花「そうなんですか?それじゃ、覚えておきますね!」パァアア
P「分かってくれたらいいんだ……それで、クッキーはどうなったんだ?」
星梨花「はい、これです!」スッ
父「ほう……綺麗に出来ているじゃないか。頑張ったんだね、星梨花」
星梨花「こっちがパパの!それで、こっちがプロデューサーさんのです!」
父「……ん?」
星梨花「はい!……ダメでしたか?」
P「いや、可愛くていいと思うぞ!」
星梨花「可愛いかぁ……えへへ」テレテレ
父(私のクッキーは普通に丸型とか星型ばかりなのだが……?)
P「いただきまーす……」サクリ
父「…………」サクリ
P「おっ、美味いな!こんなにきちんと出来るなんてすごいじゃないか!」
星梨花「そうですか?」
父「美味しい……頑張ったんだな」
星梨花「えへへ……ありがとう、パパ!」
父「…………」ホッコリ
P「良いけど、何をするんだ?」
星梨花「えーっとですね……はい、あーん!」スッ
父「……は?」ピタリ
P「星梨花?これは……」
星梨花「これすると、もっと美味しくなるって言ってたんです!」キラキラ
P「あ、ああ……ありがたく頂くよ」パクリ
星梨花「どうですか?」
P「ああ、さっきよりも美味しい!」
星梨花「それなら良かったです!はい、まだまだありますからね!」スッ
P「…………」パクリ
父「…………」ギロリ
P(その後も星梨花にクッキーを食べさせてもらいながら、箱崎さんににらみを利かされ続けたのを……俺は、忘れることはないだろう)
おしまい
楽しんでもらえたなら幸いです
ミリマス4大敵に回しちゃ行けない相手
水瀬財閥
萩原組
箱崎財閥
二階堂財閥
桜守家に呼び出される日も近そう
星梨花みたいなかわいい娘がいたら溺愛したくもなるよね
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