小鳥「社長っ、前置きはそのあたりで」
高木「あ、あぁ。すまない音無くん。では本題に入るとしよう。我が765プロダクションに待望のプロデューサーが配属されることに決まった!」
春香「プロデューサー、かぁ。どんな人だろうね」
千早「歌わせてもらえるのなら、まぁ、なんでもいいけれど……」
真「千早ってばもう少し興味を持ったら? 春香を見習いなよ」
雪歩「ひぃい、お、男の人ですかぁ?」
亜美「ゆきぴょんってば怖がりすぎだよ→」
真美「そうそう、もっとドードーとしなくっちゃ」
伊織「アンタらが一番落ち着きがないでしょうがまったく」
やよい「楽しみですー!」
あずさ「あらあら~素敵な方かしらね~」
美希「どうせ期待するだけムダだって思うな」
貴音「美希、そういうものではありませんよ」
響「そうだぞ。もしかしたら業界人ですごい人かも知れないし」
律子「ウチにも竜宮小町以外のユニットが生まれるかもしれないのね……」
一同「ドキドキ……」
シーン
春香「……来ないね?」
千早「いや、待って? 何か遠くから音が――」
プロデューサー(以下P)「ドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエ!」シュババババババ
雪歩「ひぃいいい!?!?」
真「な、なに!? 変な人!?」
律子「ひゃ、110しなきゃ」
高木「あー待ちたまえ、この人が件のプロデューサーくんだよ」
一同「……へ?」
P「どうも初めまして、これから君たちをプロデュースする『あ』だ」
伊織「亜? 中国か韓国からの方かしら」
P「いや、『あ』だ。ひらがな一文字でいいんだ。名前を長くするとテキストの表示速度が遅れにつながるからな」
やよい「て、てきすと? ひょーじ……?」
亜美「うあうあー意味わかんないっしょー!」
真美「つまり、どういうことだってばよ」
小鳥「社長ったらまたおかしな人をスカウトしてきちゃったんですね……」
高木「あいや音無くん。おかしな人とは彼に失礼だぞ。こう見えて彼は実績と経験に富んだ、非常に頼りになるプロデューサーでな」
P「テキスト表示速度は関係ないのか……じゃあ『プロデューサー』って呼んでくれ」
響「な、なんだか怖いな」
美希「見た目はフツーって感じなの」
貴音「えぇ、好感の持てる素敵な殿方かと」
春香「あずささん、大人な対応でさすがですね……」
高木「とりあえず今日から彼は君たちのプロデューサーだ。皆、しっかりとコミュニケーションを築き上げ、アイドルの道を邁進してくれたまえ!」
P「みんなよろしくな。とりあえず今日はアイドルたちのレッスンの様子を見に行きたいと思うんだが」
春香「えっ、あっ、は、はい。私と真、千早ちゃんがレッスンのメンバーです」
P「オッケー。ちょっと待っててくれ」シャカシャカシャカ
真「どうかしたんですか? 数歩進んだり後ろ向きに歩いたり……」
P「乱数調整」
一同「(絶対変な人だ……)」
P「乱数調整の甲斐あって無事にパーフェクトコミュニケーションだ。ほら、水分補給はしっかりな」スッ
春香「あっ、ありがとうございます」
真「ぷはーやっぱレッスンのあとはこれだね」グビグビ
千早「……(指導は驚くほど的確ね)」
春香「あのー、プロデューサーさんのこと聞いちゃってもいいですか?」
P「…………おう、なんだ?」
春香「社長が言っていた『TAS』っていうのはプロデューサーさんのお名前ですか?」
P「あぁ、あれは個人名じゃなくてなんというかその、プレイの方法というか趣旨というか」
真「プレイ?」
P「……………………ツール・アシスティッド・スーパープレイってやつだよ。」
春香「えーっと……」
P「つまりゲーム内で出来うることをツール使用で再現してすごいことをするっていう話さ」
千早「よくわからないですね」
P「…………………………あー、つまりだな」
真「すっ、すいません! 何ですかその間!?」
P「テキスト送りのタイミングをずらして調整を」
真「もどかしい!!」
P「それは違うさ。何度も何度もトライアンドエラーを繰り返し、一つの芸術を作り上げる。俺はその手助けをしたいんだよ」
千早「……信じていいんでしょうか」
P「あぁ。ただ、俺の注文は細かいぞ。フレーム単位でとやかく言うからな」
千早「(ふれーむ?)指導の腕は確かのようですので、これからもよろしくお願いいたします」
P「任せておけ。年明けにはみんなまとめてトップアイドルさ。目標は冠番組でゴールデン生放送だ!」
春香「な、生放送ですか!?」
真「へへっ、テンション上がってきましたよ!」
3人「はーい」
春香「千早ちゃん、今日はまっすぐ帰るの?」
千早「いえ、ちょっとCDショップに寄ってから帰ろうと思うわ」
真「あ、ならボクも行くよ」
P「じゃあ皆は直帰だな。俺は一旦事務所に戻るよ」スッ
春香「ぷ、プロデューサーさん? どうしたんですか? 壁に背を預けて腕を伸ばして……」
P「イヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!!!!!!」
春香「ひっ!?」
真「プロデューサーがなんか……こう……ブレてる! 上下に!」
<イヤッフー!!! ヤッフー ッフー
千早「……窓から彼方に吹っ飛んでいったわね」
春香「私たち、夢でも見てるのかな」
真「きっと現実だよ、流した汗がリアルすぎるし」
ブロロロロ
律子「ふぅ、とりあえず今日の活動はここまでね。みんなお疲れ様」
あずさ「律子さんもお疲れ様です~」
亜美「ちかれたー。いおりんおんぶー」
伊織「自分で歩きなさい。……にしても、今日来たPってやつはだいぶ一癖ありそうね」
律子「だいぶどころか相当って感じだけど」
亜美「亜美よくわかんなかったなー。たす?ってなに?」
伊織「調べてみたけど、ゲームでなんかすごいことをする、みたいな……」
あずさ「何かすごいこと、ねぇ。いったいどんな――」
<ドゥエドゥエドゥエドゥエ!!!
亜美「りっちゃーーん! なにあれなにあれ! 兄ちゃんがなんかしてる!」
あずさ「……あら~」
伊織「……なんだかデジャブ感じるわ」
律子「何にせよ、退屈はしなさそうね……」
雪歩「ひぃいい……私みたいなちんちくりんでダメダメなのは穴掘って埋まりますぅ……」ザクザク
P「心配するな雪歩! お前が下を制するなら俺は上だ!」
ババッ シュー……
雪歩「ばっ、爆弾んんん!? プロデューサー、発破作業なんていったい……」
P「爆弾はこう使うんだよぉお! はっ! てやっ! はぁっ!」シャキンシャキン ドガーン ドガーン
雪歩「すっ、すごいですぅ! 何もない空中をどんどんのぼっていって!」
P「二人揃えばデバッグだって思いのままだ! がんばるぞ雪歩!」ゴマダレー
雪歩「はいぃ! なんだかわからないけど、やってみます!」
P「お疲れ様です」ドアガチャ
小鳥「お疲れ様ですPさん。いつもどおりの時間にご出勤、しっかりしていますねー」
P「えぇ、昔から遅刻だけはしたことがなくて」
小鳥「すごいですねぇ。実は私、朝が弱くて……何か秘訣とかあるんですか?」
P「状況再現」
小鳥「え?」
P「状況再現」
小鳥「……十字キー押しっぱなしですか?」
P「あとはボタンのタイミングとメモリの記憶ですね」
やよい「伊織ちゃん、Pと小鳥さんが難しい話してるよ」
伊織「どうせくだらないことよ」
春香「ぜったーいー わたしナンバワーン♪」
P「うん、いい調子だぞ春香。やっぱり春香には多少のフレーム誤差があったほうが味が出るな」
春香「それって下手ってことですか?」プー
P「そんなことはないさ。むしろそういった人間アピールはかわいらしさが増して人気アップだ」
春香「え、えへへ……可愛いですか。えへへへ」
P「俺みたいに細かいことばかり気にするより、のびのびと歌ってくれたほうがみんな魅力的に感じるよ」
春香「でも、Pさんの指導のおかげで歌が巧くなれたのは嬉しいです! ありがとうございます!」
P「よーし、それじゃあもう一回頭から再走といくか。振り付けもしっかりな」
春香「はいっ!」
<ヤレバデキル-
響「P! 自分、新しいダンスを覚えたいぞ!」
P「おっと唐突だな。そんなに焦らなくても今日はみんなでレッスンが……」
響「うがー、そうじゃなくて! なんというか、Pが来てから真とか美希がますますダンス上手になって……そのうち負けそうなのが嫌なんだ」
P「ははは、響は負けず嫌いだなぁ。上昇志向はいいことだけど、本質を見失うなよ? みんなでトップアイドル、だからな」
響「わかってるけどぉ……」
P「よーし、ならばとっておきのダンスを教えてやるぞ! まずは松明とサルのお面が必要でだな」
響「ふむふむ」
律子「それ上半身裸になるやつですよね」ケイタイトリダシポパピプペ
響「ふぇっ!?」
P「待て律子、通報はダメだって」
亜美「兄ちゃんゲームつよすぎっしょ→ アクションでも格ゲーでもFPSでも勝てない……」
真美「こんなんチートや! チーターや!」
P「TASはチートじゃないぞ! まぁ、なんだかんだ幅広く手を出してるからな」
真美「苦手なのってあるの?」
P「ムービーが長いやつかなぁ……」
亜美「操作関係ないやつじゃん……」
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