友達からメールを受け取って考えるけど,うーん……私にはやっぱりよく分からないよ
でも,下手なアドバイスをして友達が傷つくのもいやだし
みんなどうして男の子が気になるんだろう……もっと面白いことがいっぱいあるのになぁ」
「ごめん,今は恋愛はちょっと分からないんだ」
と返す。すぐ返信があった。
「恋愛しなきゃ学校生活つまらなくない?」
そのメールには共感できないかも,だって私には……
「アイドルやってる方が楽しいかな」
またも返信。
「さすが未来ね。でもアイドルってラブソングとかも歌うでしょ,恋愛が分からないと放っておくより知ってた方がよくない?私はアイドルじゃないからよく分からないケド」
私はアイドルとしてまだまだだ。だからこそアイドルとして上達するためにはどんなことでもやっていきたい。でも……
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未来「はっはい。では出発しましょー!」
もうそんな時間になっていたのかと,あわてて返事をした。
P「……それでむこうに着いたらとりあえず会場入りしておいてくれ。車置いたら俺もすぐいく」
未来「分かりました!」
未来「……」
P「……」
事務所で相談するとみんなに絶対からかわれるだろうし。
未来「あの……プロデューサーさん」
P「なんだ」
未来「えっとあの,うー!」
P「?」
未来「あわわわわわ」
なぜかプロデューサーさんに恋愛について聞くのって恥ずかしい……
未来「あの……」
未来「今から何しに行くんでしたっけ?」
P「俺の話聞いてなかったの!?しょうがないなぁ……まず~するだろ……それで」
うう……こんな方法でごまかせる自分が情けない……
未来「私のミニライブどうでした?」
P「そうだなぁ……MCがよかった」
未来「MCですか!?なんにも考えていなかったのですごくグダグダしてたような」
P「未来の表情がコロコロ変わってさ。聞いてる方は少しハラハラするんだけど,なんかこの子を応援したいなって気持ちになる」
未来「本当ですかっ!」
P「もしかしてアイドルとして一番大事な要素かもな。なんか応援したくなるって」
P「よかったよ」
未来「それだけ……ですか?」
P「そんな露骨に落ち込むなって。あ!さては未来,褒めてほしいんだろ?」
でへへ~バレちゃいました?
P「すげえよかったぞ!レッスンの成果が出てるな。すごく元気がもらえた」
未来「ホントですか!他には他には?」
P「他にはなぁ……」
たくさん褒められちゃいました。
さっそく報告しちゃいます!
未来「ねぇ聞いてよ聞いてよ!さっきプロデューサーさんにたっくさん褒められちゃった。
ダンスのね。あの部分がすっごく苦手だったんだけどね。上手にできたって!それでね,それでね……」
静香「テンション高いのね……」
翼「よかったね,未来」
未来「えへへ,それほどでも~」
翼「未来ってホント,プロデューサーさんが好きなんだね」
未来「え?」
私ってプロデューサーさんが好き……なのかな?もちろん嫌いなわけないけど……
未来「好きっていえば,恋愛ってどういう気持ちなんだろ」
静香「未来から珍しい言葉が」
翼「もしかしてホントにプロデューサーに惚れちゃった?」
翼は目を輝かせながら言うけど,惚れたというのはしっくりこないような。
未来「う~ん……惚れたとはちょっと違う?」
翼「じゃあどんな感じ?」
翼が身を乗り出して聞いてくる。
未来「なんか……いっしょにいたいなって」
翼「うんうん,それで?」
未来「それで,たくさん……褒められたい?」
無意識にひとさし指同士をちょんちょんと突き合わせていた。
こい?こいこい……鯉?って!
未来「恋!?ええええええ!?違うって!」
顔が真っ赤になるのを感じながら一生懸命否定する。
静香「翼。そのへんでやめておきなさい。未来も困ってるじゃない」
未来「……なら翼は好きな人いるの?」
頑張ってか細い声を絞り出した。
翼「私?やっぱり美希先輩かな」
あっけらかんと
なんで好き=結婚なんだろ。
翼「ケッコン?結婚はまぁ別にしたくはないかな」
静香「未来も困ってるし,そろそろこの話題も終わりにしない?人の気持ちを言語に置き換えること自体難しいことだから。ね?」
静香ちゃんがなんか難しいこと言ってこの話題は終わった。
恋……恋……。なんか違うようで,違くないような?
でも考え始めたらおかしくなっちゃいそうで。
とにかく,明日からプロデューサーさんと普通におしゃべりできるかな?
このドアを開けたら,もうプロデューサーさんが来ているかも
なんだろうプロデューサーさんが来ていてほしいし,来ていてほしくもないような
そんなことを考えながらドアの取手をひねろうとすると,突然後ろから声を掛けられました。
未来「ひゃああああ!プ,プロデューサーさん!」
突然の本人の登場に動揺しまくりです!
手をバタバタとさせ,なんとか次の言葉を言おうとするんだけど,なかなかこれが……。
P「どうした未来?なんか体調悪い?」
私の気持ちを知ってか知らずか(当然しらないんだろうけどっ!)プロデューサーさんが顔をのぞきこんできます。ちっ近い……!ってうわっ!
P「みっ未来!」
ドアの取っ手をひねったまま,後ろに体重をかけたので,そのまま後ろに倒れこんじゃいました。
うう……大失敗。
未来「ごめんなさい……ちょっとボーっとしちゃってて」
P「いやいや急に話しかけてごめん」
未来「……で早くきちゃったので少し空いた時間どうします?」
P「うん?早くきてくれたとこ申し訳ないんだが,いわゆる朝残業でな。書類を終わらせておきたいんだ」
未来「そっそうなんですね!」
すっごく残念なような。どこかでほっとしたような。
P「ちょっと早いけど,まぁいいかな?今日は未来には律子が車出してくれるから」
未来「えっ!プロデューサーさんの車じゃないんですか?」
P「まぁそうだが。ひょっとして律子の運転怖いんだろ?大丈夫,俺よりうまいくらいだから」
未来「まぁ……誰でもいいんですけどね」
P「なんで拗ねてるんだよ」
未来「べっ別にすねてなんかいません!その……プロデューサーさんは誰を送るのかなぁって」
P「今日は翼だな」
未来「……へぇー」
P「やっぱり拗ねてるじゃないか」
未来「春日未来っ!ただいま戻りましたっ!」
わざとらしく元気に振る舞いながら事務所に帰ると,プロデューサーさんと翼が話していました。なんとなく聞き耳をたてちゃいます。
P「ちゃんと練習の成果が出てたぞ」
翼「だよねだよね!やっぱり……可愛かった?」
P「当然だ。いつも翼は可愛いよ」
翼「ありがとう,プロデューサーさん!」
P「ちょっと翼,近いって」
はぁ楽しそうだな……。
プロデューサーさんに抱き着いていた翼がふとこちらの方をみると,私に向かってニヤッとしてきました。
あああああー!なんだこの気持ち!
「こら春日さん,集中できていませんよっ。今のところもう一回!」
ダンスの先生に怒られてハッと気づく。
「春日さんのダンスは良くも悪くも他の人たちに大きく影響するんですよ。しっかり頼みますよ」
考え事をするなんて自分らしくない,もっと頑張らなくっちゃ!
未来「はい!ありがとうございます!実はこの前,レッスンの先生に集中できてないって怒られてから,気合を入れ直したんです」
思わずグッと力が入ったポーズをする。
P「おっと,ちょっと手伝ってくるわ」
未来「プロデューサーさん!私も手伝います!」
P「大丈夫だ。ライブのあとで疲れているだろうし」
未来「いえ,みんながステージの準備をしてくれたから,私もライブができたんですっ。お手伝いさせてください」
プロデューサーさんはきょとんとしたあと,少し笑って言いました。
P「ならせっかくだし未来にも手伝ってもらおうかな」
P「ありがと未来,おかげで早く片付けが終わったよ」
未来「みんなで力を合わせたおかげですよねっ」
P「そうかもな。……その靴じゃステージの階段から降りにくいだろ,ほら」
プロデューサーさんが私に向かって手を差し出てくる。
ちょっとドッキリして,どうしようかなって思ったけど,思いきってその手を握り返す。
プロデューサーさんの手はおっきくて,ちょっとゴツゴツもしていて
やっぱり男の人なんだなって
P「どうした未来?なんでうつむいているんだ?」
未来「うぅ……」
その質問には答えられませんでした。
未来「……」
P「どうした,ボーッとして?」
未来「えっと,えとえと何でもありませんっ」
P「まぁあれかな,ライブが終わった高揚感とか達成感だとかそんな感じ?」
的外れなことを言うプロデューサーさんに少しムッとして,ついつい口走ってしまった。
未来「でも私だけみていてほしくて」
未来「……だから,プロデューサーさん魔法をかけちゃいます。私から目を離せなくなる魔法です!……なーんて」
プロデューサーさんは一瞬驚いたような表情を見せたけど,すぐにっこりと笑ってこう言った。
P「未来はいつだって頑張っていて,偉いな。ちゃんと見ているからな」
家に帰ってから言ってしまった言葉を思い返し,ベッドに顔をうずめてバタバタした。
未来「おはよー静香ちゃん,翼ぁ……」
静香「分かりやすく元気ないのね,何かあったの?」
未来「例の恋愛相談の友達なんだけど,その子が好きなのって学校の先生なんだって。でも学校の先生と生徒って付き合えないよね?だから難しくて難しくて」
翼「なるほどっ!その悩みは未来とプロデューサーさんにも言えるわけだね」
翼に一瞬で見抜かれ,焦ったけどどっちともいえない返事をした。
未来「私は付き合いたいってわけじゃないんだ。ただずっと一緒にいられるわけじゃないって思うと……こう……さみしくて……」
翼「プロデューサーさんに直接相談すればいいじゃないかな」
未来「ちょ……直接!?それは無理だよっ」
翼「だーかーらー,友だちの悩み事なんでしょ?だったら友だちの悩みなんですけど……で始めれば大丈夫!あとは自分の悩みもちょっとだけ織り交ぜつつ……ね?」
そっそれだ!
静香「それけっこう難しいことなんじゃ?ってああもう行っちゃった」
翼が教えてくれた言葉から始めたけど,うまく続きの言葉が出てこない。
だけどプロデューサーさんは私の方を向いて待ってくれている。
自分が何を言っているのかも分からなくなってしまった。
そのときプロデューサーさんから思いもよらない質問がとんできた。
P「例えばさ……未来は今,なんのためにアイドルをやってる?」
一瞬きょとんとしたが,考えてみる。
未来「それは……ファンの人たちのがいるから。ライブでいつも私のことを応援してくれて。不安になるときもあるけど,みんなの声がするから勇気がわいてきて」
P「未来らしい,いい答えだ。じゃあアイドルを目指すきっかけもそうだった?」
未来「それは……輝いてる静香ちゃんたちの横に立ちたいって思って」
P「アイドルをやっているうちに変わっていったんだな?」
未来「はい」
P「その悩みをすぐ結論を出す必要はないんだろ?だったらさ,その気持ちを抱えて進んでいけばいいさ」
P「そのうちにその気持ちの正体もつかめてくるだろうし,自分がどうしたいかも分かってくるはず」
未来「つまり……?」
P「胸に抱えて進めってことだな」
未来「じゃあ……私がトップアイドルになるまでプロデューサーさんは面倒みてくれますか?」
P「もちろんだ」
プロデューサーさんの言葉がやけにうれしくって,私はいつもの元気で答えた。
未来「私がトップアイドルになるまでぜったい,ぜ~ったいそばにいてくださいね!」
P「盗み聞きですか?趣味悪いなぁ……」
小鳥「たまたまですって!」
P「冗談です,そこで隠れてたの分かってましたし。」
小鳥「もう」
小鳥「未来ちゃんから好意を持たれてたことが,ですか?」
P「あれは未来の友達の話ですよ」
小鳥「あはは,バレバレでしたよね?」
P「俺がうれしいのは,未来が天真爛漫なだけでなくて,悩んだり,たまには反省したり,もしかしたら恋をしたり……人間として成長してくれているってところです」
小鳥「なんか親目線みたいの入ってません?」
P「案外,的を射てますね。長年プロデュースをしていると親目線みたいなのが入ってくるんです」
小鳥「長年って……プロデューサーさんって私より年下ですよね?」
P「ははっそうですけどね」
P「ええ,彼女には……未来がありますから」
おわり
未来にバレバレの恋愛相談されてみたい
エミリー スチュアート「恋ぞつもりて 淵となりぬる」
星梨花「わるいこせりか」
もよろしくお願いします
乙です
>>1
春日未来(14) Vo
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>>
伊吹翼(14) Vi
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最上静香(14) Vo
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>>30
音無小鳥(2X) Ex
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貴方のSSの雰囲気が好き
乙です
キュンキュンした
乙でした
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