こん、こん
P「こんにちは。失礼しますー」
しぃ……ん
P「あれ。誰もいないのかな」
どたどたどた……。がた、がたん
P「……?」
ごっ、どんがらがっしゃん!
P「!?」
「うー、あいたたた……」
がちゃっ
春香「ご、ごめんなさい、お待たせしました……」
P「いや、それはいいんだけど。……すごい音しましたけど、大丈夫ですか?」
春香「うぇっ!? 聞かれてたんですか? は、恥ずかしい……」
春香「あはは、思いっきり転んじゃって。それより、お客さんですよね?」
春香「実は今、この事務所留守なんです。もう少しで帰ってくると思うんですけど……。中でお待ちになりますか?」
P「留守? ということは、君は……」
春香「あ、はい! この事務所のアイドルの、天海春香です!」
P「君が、アイドル……」
春香「……と言っても、終わりに『候補生』が着くんですけどね。えへへ」
P「そっか。じゃあ、お言葉に甘えて中で待たせてもらってもいいですか?」
春香「はい! ようこそ765プロへ! なーんて♪」にこっ
P「いやいや、お構いなく。ありがとうございます。……慣れてるんですね?」
春香「あはは、実は私、候補生の期間が長くって。そうこうしてるうちに、こんなお手伝いばっかり得意になっちゃって」
P「そうなんですか」
春香「はっ! ごめんなさい、こんな愚痴みたいなこと……! 社長、もうすぐ帰ってくるそうですから少しだけお待ちくださいね!」
P「は、はぁ……。分かりました」
春香「えへへ」にこにこ
P「……」
春香「」にこにこ
P「……?」
春香「」にこにこ
春香「何でしょう?」
P「何でそんなに、嬉しそうなんですか?」
春香「へっ? 私、そんな顔してました?」
P「え、ええ。まぁ」
春香「……えへへ。実は、予め聞いちゃっていたんです。今日のお客さんのこと」
P「? 俺のこと、ですか」
春香「はい。あなたが、新しいプロデューサーさん、なんですよね?」
P「!」
春香「これからプロデュースしてもらえるんだ、って思うと、嬉しくって、つい」
P「あ、なるほど……。道理で簡単に通してくれたわけだ」
春香「天海春香、全力で頑張っちゃいますから。……よろしくお願いしますね?」にこっ
パーフェクトコミュニケーション!
春香「よっ、ほっ……っと」
たん、たたんっ
春香「ふぅっ。よし、できたっ!」
かちゃり
P「あ、天海さん。まだ残ってたんだ?」
春香「プロデューサーさん! はい、ちょっと自主練してました」
P「今までもかなりレッスンしてきたって聞いてたけど……大丈夫なの、こんなに遅くまで?」
春香「はいっ! いよいよお客さんの前で歌えるんだ、って思うともう、待ちきれなくって!」
P「といっても、地方のちっちゃな公民館のイベントだけどね」
P「それに?」
春香「……えへへ。プロデューサーさんが来てから、『アイドル生活が始まったんだ』って思うと、じっとしてられなくって」にこっ
P「……そっか。じゃあ、俺もちょっと見て行っていいかな?」
春香「うぇぇ!? 私の練習なんか見ても、面白くないですよっ?」
P「?? 天海さんは、そんな面白くないものをステージで披露するつもりなのかな?」
春香「そ、そういう言い方はずるいですよぉ……。もう、ちょっとだけですからね?」
パーフェクトコミュニケーション!
P「お、天海さん。お疲れ様」
春香「プロデューサーさんっ。見てくれましたかっ?」にこっ
P「しっかり見てたよ。いいステージだったな」
春香「ちなみに、どこが一番よかったですか?」
P「ん? そうだなぁ。子どもにも年配の方にも楽しんでもらえてたところかな?」
春香「! そうなんです! 私も、そこがすっごく嬉しくって……」
P「有名な曲を歌った時には、一緒に歌ってくれたりした子がいたり、手拍子をしてくれる方がいたり」
春香「小さな会場でしたけど、同じ楽しさを共有できたっていうのが、すっごく嬉しくって!」
春香「ふふっ」
春香「私、すっごく嬉しいです! プロデューサーさんも考えてくれてること、おんなじだったんだなぁって」にこっ
P「そうだな。そうやってみんなを笑顔にできるのが、天海さんの魅力だと思うから」
春香「プロデューサーさん。私、もっともっと頑張っちゃいます。……そうしたら、もっともっと大きな会場で、同じことができますか?」
P「約束するよ。天海さんの最高の笑顔を届けられるよう、俺も頑張るから」
春香「私、今日のこと絶対忘れません。だから、これからもプロデュースよろしくお願いしますねっ!」
パーフェクトコミュニケーション!
春香「~~♪」にこにこ
P「……?」
春香「~~♪ ~~♪」にこにこ
P「……ずいぶんご機嫌そうだね?」
春香「プロデューサーさんっ。……ごめんなさいっ、もしかしてうるさかったですか?」
P「いや、別にいいんだけど……。どうしたのかなって」
春香「ふふっ、実はですね……」ごそごそ
春香「じゃーん! これ、なーんだっ!」
ぴらっ
P「これって、チケットか? ……『スイーツ博覧会』?」
春香「そーなんです! 真のお父さんがお仕事の都合でもらったから、って。今週の日曜日のレッスン終わりに、やよいと3人で行こうって話になってるんですよ~」にこにこ
P「なるほど、それで……。春香はお菓子作りが趣味だもんな」
春香「もう、楽しみで楽しみで! どんなお菓子が食べられるのかなー♪」
P「……。ふむ」
春香「あ、もしかしてプロデューサーさんも一緒に行きたかったんですかー?」にやにや
P「いや、そうでなくって……。来週からのレッスンのメニュー、考えないとなって。……カロリー的に」
春香「……! わー! 私たちが薄々思っていても気にしないようにしてたことをあっさりと!」
P「まあ、アイドルにはつきものの問題だからな。食べすぎないよう注意してくれればそれでいいよ」
春香「…………」
P「……そこで無言になられると不安になるんだが」
春香「だ、だって! そんな注意とか言われても、いざ会場に付いたらガマンとか、多分ムリですし……」
P「無駄に自信があるんだな……」
春香「…………。!」
P「ん? 確か大きな仕事は無かったはずだけど……。まさか」
春香「はい! プロデューサーさんについてきてもらって、制限してもらえばいいんですよ! この券、実は4人まで参加できるんです!」
P「ええ……。そこまで自信がないのか……」
春香「う……。や、やっぱり、ダメですよね。貴重なお休みですし」
P「……というか、せっかくの女の子同士のお出かけなのに、俺が付いていったら邪魔でしょ」
春香「そ、そんなことないですよ! プロデューサーさんが来てくれたら、真もやよいも、……っ、喜びますよ?」
P「……」
春香「ぅ……」
P「……。じゃあ、着いていこうかな。みんなが普段どんなオフを過ごしているのかも気になるし」
春香「ほ、本当ですかっ!?」
P「ん。まあ俺も、甘いものはそんなに嫌いじゃないし」
春香「やったぁ! じゃあ早速、2人に連絡しますね!」
P「よろしく。その代わり厳しくいくからな?」
春香「はいっ。よろしくお願いしますっ!」びしっ
春香「えへへ。プロデューサーさんも一緒~♪」にこにこ
パーフェクトコミュニケーション!
春香「……」
P「春香」
春香「…………」
P「春香?」
春香「は、はいっ? 何でしょう?」
P「なんか、表情硬いぞ。何かあったか?」
春香「や、やだなぁ。いつもの笑顔の、天海春香さんですよっ? えへへ」
P「……」
春香「……」
P「……」
春香「……スゴいですね、プロデューサーさん。どうして、分かったんですか?」
P「いつも春香の笑顔を見てきたからなぁ。それくらいは分かるよ」
春香「……あはは」
春香「正直に言うと、少しだけ」
P「今まで緊張なんてあまりしない方だったのに……。いったいどうして」
春香「だ、だって……。最近、私、オーディション全然うまくいってなくって」
春香「私がドジだからいけないんじゃないかとか、私の実力が足りないんじゃないかとか」
春香「……私、アイドルとして向いてないんじゃないかとか、いろいろ考えちゃって」
P「…………」
春香「……?」
P「緊張っていうのは、自分をよく見せようとするから出てしまうんだってさ」
P「確かに、オーディションっていうのは他人との勝負でもあるけどさ。それ以前に、春香の魅力を知ってもらうために受けるものだと思うんだ」
P「今まで春香が、そんな舞台で手を抜いたりとかしたことがあるか?」
春香「……」ふるふる
P「だろ。今の自分以上のものを見せようったって、そんなことができる人はほとんどいないんだ」
P「春香の一番いいところは、なんたって老若男女みんなを元気にできる笑顔なんだから」
P「このオーディションだって、それをしっかり見せてくればいいんだよ」
P「それでダメなら、こんなに素敵な私を無視するなんて、何様なんですかー! くらいに思っておけばいいんだ」
春香「あはは、何ですか、それ」
春香「ダメというか、何というか……。ふふ、でも、なんだか元気が出ました」
P「そうそう、その感じ。まあ、それに、もし落ちたとしてもさ」
P「春香の一番いい笑顔は、俺が知ってるから大丈夫だよ」
春香「! それって……」
P「そろそろ、出番みたいだな。『いつもの笑顔の天海春香』とやらを、見せて来てくれよな」
春香「……! はい! 天海春香、行ってきます!」
パーフェクトコミュニケーション!
春香「プロデューサーさんっ! ドームですよ、ドームっっ!」
P「ははは……。落ち着け春香」
春香「落ち着いてられないですよ! だってだって、あのドームスタジアムですよ!」
春香「見てください! どうです、この大きさ!」
P「ああ、さすがに広いな」
春香「ええ、すっごく広い……。うわっ! 客席の向こうが、かすんで見えますっ!」
春香「この広いドームいっぱいに、お客さんが来てくれるなんて……! こんなにお客さんが集まってくれるなんて、まるで夢みたい!」
P「ああ、でも夢じゃない。ちょっと信じられないけど、本当なんだ」
春香「えへ、えへへ、えへへへへ……」にこにこ
P「すごく嬉しそうだな、春香……。まあ、でも、当然か。アイドルとしての、到達点みたいなものだからな」
春香「今までいろんな大きな会場でライブをしてきましたけど……。やっぱり、ドームって、格別ですね……!」
P「?」
春香「ただの候補生だった私が、ここまで来れたのは……。プロデューサーさんのおかげです」
P「俺は何もしてないよ。春香の笑顔をみんなに届ける、つなぎの役割をしただけだ」
春香「ふふっ。プロデューサーさんは、いっつもそう言いますよね」
P「春香がいつもそう言ってくれるからな」
春香「でも、こんな大きな舞台だから。改めて。お礼を言いたくなっちゃったんです。……ダメ、ですか?」
P「ダメじゃないけどな。俺だって、春香をプロデュースできて感謝してるし」
P「ま、そういった話はこのドームライブが終わってからゆっくりしよう。準備、できてるだろうな?」
春香「……まだ、です」
P「……? 何か、忘れ物でもあったか?」
春香「忘れ物、というか……。もうひとつ、伝えたいことがあって」
P「?」
P「ええと……。あの、小さい会場でのライブだっけ。ちょっと田舎の」
春香「あのときも、プロデューサーさんは……。私の最高の笑顔を届けるために頑張る、って言ってくれたんです」
P「そうだっけ? よく覚えてるな」
春香「……あのときから」
春香「プロデューサーさんはいつも、私の笑顔を届けるために頑張っているって言ってくれますけど」
春香「……そもそも私が笑顔でいられるのは、プロデューサーさんが近くにいてくれるから、っていったらどうします?」にこっ
P「え」
春香「……だから、これからもプロデュース、よろしくお願いしますね?」たっ
P「あ、ちょっ……」
春香「今日も最高の笑顔で。天海春香、行ってきまーす!」
パーフェクトコミュニケーション!
P「…………あの」
春香「」にこにこ
P「は、春香?」
春香「」にこにこにこ
P「……は、春香さーん? なんでそんなに嬉しそうなんですか?」
春香「……何でだと思います?」にこにこにこにこ
春香「奇遇ですね。私もひとつしかありませんよ?」にこにこ
P「え、だって……。うええ……? 逆に言うと、そんなに今まで怒らせてたのか……?」
春香「どうしてそう思うんですか?」にこにこ
P「だって、今まで見たことがない……。というか、あのドームライブの日のとき以来の笑顔だからな……」
春香「ふふふ。そうかもしれませんね?」にこにこ
春香「どうして謝るんですか? 私、今日はとーっても嬉しいんですよ?」
春香「今日プロデューサーさんがここにいてくれるっていうことは、プロデューサーさんがすっごく頑張ってくれたってことの証ですもんね?」
P「そ、そうなるな……。ほんと、いつもごめんな」
春香「いいんですよ。何度も言いますけど、私にとって今日は、とーっても嬉しい日なんです!」
春香「初めてプロデューサーさんと出会って、私がアイドルになって、そして、ドームでのライブっていう夢が叶って……。そして、今日があるんだなって、思えるから」
P「そうだな。こんな特別な日なんだから、一緒に過ごすのが当然だよな」
春香「はい! なんたって、今日は……」
パーフェクトコミュニケーション?
春香「どうして謝るんですか? 私、今日はとーっても嬉しいんですよ?」
春香「今日プロデューサーさんがここにいてくれるっていうことは、プロデューサーさんがすっごく頑張ってくれたってことの証ですもんね?」
P「そ、そうなるな……。ほんと、いつもごめんな」
春香「いいんですよ。何度も言いますけど、私にとって今日は、とーっても嬉しい日なんです!」
春香「初めてプロデューサーさんと出会って、私がアイドルになって、そして、ドームでのライブっていう夢が叶って……。そして、今日があるんだなって、思えるから」
P「そうだな。こんな特別な日なんだから、一緒に過ごすのが当然だよな」
春香「はい! なんたって、今日は……」
「 、 ♪」
パーフェクトコミュニケーション?
久しぶりに西武ドームライブでのあのセリフを聞いてカッとなって書いた感
お付き合いくださった方がもしいらっしゃれば本当にありがとうございました
html依頼出してきます
まあ表現てのは自由だから評価するのは難しいな
俺は気に入ったし
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