P「僕の千早は胸がある」

https://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1459/14591/1459161536.html
1 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 19:38:56.45 ID:xBharFQc0

※ このssにはオリジナル設定やキャラ崩壊が含まれます。

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 早速で悪いが、一つばかり訂正せねばならないことがある。
 
 如月千早には確かに胸があったが、彼女自身は別に僕の所有物でもなんでもない。
 
 なので、「僕の千早」というのは、誤りだ。ここに訂正を宣言する。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459161536
2 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 19:40:57.62 ID:xBharFQc0
 
「ふふっ、見てください……可愛いですね」

 透明なビニールの中は水で満たされ、その小さな世界を、二匹の金魚が悠々自適に泳いでいた。
 
 それを見る千早は、丸い。
 
 そう、胸が大きくなってからというもの、なんだか千早が丸っこい。
 優しいのだ、ほんわかしているのだ、余裕ができたと言うべきか。
 
 胸の大きさが母性の大きさを象徴すると言っていたのは
 どこのロリコンだっただろうか。少なくとも、僕ではない。
 
 折りしも、夏祭りの夜である。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 19:53:25.39 ID:rr4xY2CDO
胸がある千早…ゼノグr(潰される音)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]:2016/03/28(月) 19:58:15.79 ID:j5rNa8FCO
まるで普通の千早には胸がないみたいな言い方はやめろ!!!
千早にだって胸部はある!!
おっぱいがないだけだ!!!
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 20:20:45.79 ID:NIaztpHH0
二次創作くらい72に80以上の夢を見せてあげようよ
6 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 20:22:24.92 ID:xBharFQc0
===

「なんだか、人生の半分を損していたような気がします」

 いつもの長髪を二つに結わえて、着物姿の彼女が笑う。
 屋台に吊り下げられた提灯や、街灯の安っぽい明かりを受けて、深蒼色の着物が妖しくその色を変えていく。
 
 角のとれた微笑で綿飴を口の端につける彼女を見れば、その言葉にも妙な説得力を感じるのだから面白い。
 
 それはまな板と揶揄されて、小さな胸を締め付けるように伏せていた頃からは、考えられないほどの丸さだった。
 
 川のほとり、花火を待つ人の群れにまぎれて、千早が言う。
7 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 20:23:09.69 ID:xBharFQc0
 
「……怒ってますか?」

「なにが」

「胸を、大きくしたことです」

「それで千早が良いのなら、僕に言えることは何も無いよ」
8 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 20:24:22.05 ID:xBharFQc0

 そうして僕は思い出す。
 
 あの日、いつものように事務所にやって来た彼女の胸には、隠しきれない存在感を放つ乳房がついていた。
 
 一体全体、どこの魔女と契約を交わしてきたのか、良い塩梅の代物と引き換えに、彼女が対価として支払った物。
 

 それが「歌」だ。
 

 彼女は自分の「歌声」と引き換えに、その丸い母性を手に入れていたのである。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 20:52:13.73 ID:vvzx/uHkO
んなどこぞの人魚姫みたいな...
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 20:54:05.66 ID:+Noe9wHZo
それでいいのか千早…
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 20:59:03.55 ID:rr4xY2CDO
千早!早く返却してくるんだ!優くんが泣いてるぞ!
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 20:59:56.75 ID:1JtOOHNio
優「こんなおっぱいなんて、おっぱいなんてちゅーちゅーすすって味を確かめてやるわぁー!」
13 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 21:21:15.25 ID:xBharFQc0
===

 「歌」という物は、それまでの千早にとっての全てであった。
 
 歌うために生きており、歌のために生かされている。
 
 彼女は、自らの歌声に自分を混ぜて歌っていた。だからこそ、彼女の歌は人を打つ。

 
 だが、それは同時に千早自身を曖昧にしていく。
 
 歌に溶け出した千早に残るのは、空っぽの身体だけ。
 
 どこかのカナリアが歌うことを忘れたように、誰かが、そこに千早を注ぎ足す必要があった。
 
 そしてそれは、他でもない、千早自身の役割だったのだ。
14 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 21:22:08.85 ID:xBharFQc0

 どん、と。川面を震わせて花火が鳴った。
 四散した火の粉が、夜空にぽんと死んでいく。
 
「うわぁ……綺麗……」

 隣に立つ千早が、およそ千早らしからぬ表情で見上げている。

 僕の知る彼女はいつも不機嫌で、無愛想で、他人との距離を明確に取っている、そんな女性である。
 
 それがどうだ、ここにいるのはまるで幼い……あぁ、なるほど。そういうことか。
15 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 21:22:45.03 ID:xBharFQc0
 
「千早」

「なぁにー?」

「祭りは、楽しいかい?」

「うん! 楽しいっ!」
16 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 21:25:03.50 ID:xBharFQc0

 どうかしていたのは、どうやら僕の方だったらしい。
 
 苦笑する僕の顔を、隣に立つ幼い少女が笑顔で見上げていた。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 21:51:50.71 ID:kMlhgABEo
キャラ崩壊にも限度ってもんがあるだろうに
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 22:09:55.80 ID:pILaILlG0
エイプリルフールは金曜日だぞ
19 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:33:16.19 ID:xBharFQc0
===

 丸はとても居心地の良い物だが、得てしてそういう場所には何かしらの裏があるものだ。
 
 千早の居座るその場所も、つまりはそういう場所の一つであった。
 
 花火が終わり、祭りも終わる。
 あれほど人で溢れていた川沿いに、今は寂しい夜風が吹く。
 
 僕と千早はそんなところで、ぼぉっと川面に映る提灯の明かりを眺めていた。
20 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:34:16.14 ID:xBharFQc0
 
「そろそろ、帰ろうか」

「……やだ」

「風も冷たい。このままじゃ、風邪を引いてしまう」

「平気、寒くないもん」

「千早」

「嫌っ! やだったらヤダっ!!」
21 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:36:15.94 ID:xBharFQc0

 幼い千早は丸に抱かれ、涙目で僕に訴えかける。つまるところ、丸は卵なのだ。
 
 卵の中は居心地が良い。それはある意味、母性の塊。
 
 空っぽになってしまった千早にとって、そこはとても良いところなのだ。
 
 打つ手なし。
 
 僕に出来るのは、自然と卵が孵るのを待つことだけで……いや、待てよ?
22 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:38:27.14 ID:xBharFQc0
 
 ふんふんふふん、ふんふふん。
 
 夜風によって音程の飛ばされた僕の鼻歌が、夜の空気に吸い込まれ。
 
 あの曲、この曲、そんな曲。
 思いつく限り、うろ覚えのメロディがふらふらゆらゆら流れていく。

 それは本当に酷いもので、どれも元の曲とはかけ離れていたのだが。
 へたくそなメロディはしかし、彼女の耳にも届いたようだ。
23 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:40:29.78 ID:xBharFQc0
 
 突然、すぅっと通るような音がした。
 音は次第に歌になり、夜風に乗った歌声は、どこまでも空を飛んでいくようだった。
 
 たっぷりと一曲分、歌った彼女が僕を睨む。

 
「……担ぎましたね」

「人聞きが悪いな。僕はただ、退屈を紛らわせただけだよ」

 こつんこつんと、彼女が内側から丸を叩く。とはいえ、今の今まで丸かったのだ。
 
「手伝おうか?」

「……お願いします」


 僕はどこからともなくスコップを取り出すと、彼女を覆う丸にかつん、とその先端を突き立てた。
 
 ぴしりと、小さなヒビが生まれ、そうしてそこを中心にして、ぱらぱらと形を失くす丸。
 
 後に残るのは、着物を着た如月千早そのものである。
24 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:41:36.33 ID:xBharFQc0
 
「お帰り」

「はぁ……短い、夢でした」

「でも、楽しかっただろう?」

「それは、まぁ、否定はしませんけど」
25 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:42:11.88 ID:xBharFQc0

 いつものように、彼女が素っ気無く言い放つ。
 
 その胸は小さく萎み、どうやら悪い呪いは解けたようだった。
 
「それじゃ、今度こそ帰ろうか」

「嫌です」

 月明かりに照らされて、千早がふっ、と息を吐く。
26 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:43:01.23 ID:xBharFQc0
 
「もう一曲、歌わせてください」

 歌の中のカナリアは、結局歌を思い出したのだろうか。
 
 川沿いに、久しぶりに聞く彼女の歌声が響く。
 
 それはとても、人を打つ歌だった。
27 : ◆Xz5sQ/W/66[saga]:2016/03/28(月) 22:43:33.99 ID:xBharFQc0
===

以上。お読みいただき、ありがとうございました。
28 : ◆Xz5sQ/W/66[sage]:2016/03/28(月) 22:45:02.38 ID:xBharFQc0
こちらちなみに、前作となります。よろしければ、ご一緒にどうぞ。

P「ここの事務所は二人きり」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459012629/
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 23:06:58.91 ID:U9rf8byZ0
なんだかわかんないでーす
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/28(月) 23:52:33.23 ID:bfhadsIk0
乙乙
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/29(火) 06:41:51.55 ID:pqILqFtMo

>>29
人の夢と書いて儚いと読む
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/29(火) 10:31:52.12 ID:o9fCA5qx0

ツインGNドライヴじゃなく粒子貯蔵タンクだかr(アーアアー
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/29(火) 12:51:29.44 ID:EzixmKtT0

アイデンティティを2つ捨てるとは
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/29(火) 20:03:11.83 ID:Lr9A7Z9DO
誰かわかりやすいように説明頼む…
千早が歌を犠牲におっぱい手に入れたのはわかった
だけどなぜ急に幼くなったの?
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/29(火) 20:15:53.24 ID:EBBA17uIO
そういうプレイでしょ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/30(水) 17:59:56.31 ID:cCZQ7aUDO
大丈夫だよ千早
高校生なのに72しかなくてもリアル高校生なのに71しかないアイドルも存在するみたいだから安心できるよ

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