やよい「ご、ごしゅうしょうさまでした……」
伊織「まったく、やよいもこれからは、お葬式くらい出ることがあるんだからね!」
やよい「それにしても……まさか……」
伊織「ホントにねぇ……信じられないわよ……」
やよいおり「「律子(さん)が急に死んじゃうなんて……」グスッ
伊織「アンタ……」
やよい「プロデューサー……律子さんが……律子さんがっ!」
P「俺も正直、聞いた時はショックで立ち上がれなかったよ。でも、ちゃんと見送って
やらないと、律子も安心してあっちに行けないだろ?」
やよい「うわあああああああん!!」
伊織「……ショックなのは、私たちも一緒よ。いえ、むしろいまこうして告別式にいる
こと自体も飲み込めてないわ。信じたくないし、信じられない」
P「あずささんは?」
伊織「あの後なにも連絡がなくて……心配だからウチのSPを付けたわ」
P「そうか、助かるよ」
やよい「うわあああああああん!!」
小鳥「……伊織ちゃん、やよいちゃん」
伊織「あら、小鳥」
小鳥「みんなもツラいと思うけど、ちゃんとお別れしましょうね」
伊織「そうね。ツラいのは私たちだけじゃない……」
P「それにしてもなぁ……」
小鳥「律子さんがあんなことで……」
伊織「まさかねぇ……」
Pぴよいお「バナナの皮で滑って、頭を打っただけで逝ってしまうなんて……」
ぐすっ ぐすっ ずるるるっ
『それでは、御参列の御来賓の皆様、ご焼香をお願い致します』
P「よし、じゃあ俺たちも行くか。ちゃんと律子に、さよならをしような」
春香「……あの、プロデューサーさん」
P「どうした、春香」
春香「実はあの、私、ご焼香したことがなくって、作法が……」
真「ボクも実はお葬式は初めてだから……」
亜美「兄ちゃん、ちゃんとりっちゃんにさよならしたいんだよ。教えて?」
真美「兄ちゃん?」
P「よし分かった。まずは俺が行ってくるから、お前たちは俺のやるのを見て覚えろ」
P「つぎは ②焼香台の正面で遺影に合掌」
P「ここで ③左手に数珠、右手に抹香を摘んで額に向けて、香炉に移す。
これを3回繰り返すんだ」
P「そして ④もう一度遺影に合掌」
P「最後に ⑤ご遺族にもう一度礼をして」
P「これで終了だ。わかったか?」
春香「はい、わかりました……じゃあ、行ってきます」
どんがらがっしゃーん
千早「……やると思ったわ」
雪歩「お約束ですぅ……」
春香「つぎに ②焼香台の正面で遺影に合掌」
春香「ここで ③左手に数珠、右手に抹香を摘んで額に向けて、香炉に移す。
これを3回…………あちちちっ!!」
響「あれは香炉で手を火傷したな」
貴音「焼香台の前で転ばなかったのは、さすが春香ですね……」
春香「そして ④もう一度遺影に合掌」
春香「最後に ⑤ご遺族にもう一度礼を……きゃあっ!!」
どんがらがっしゃーん
亜美「……緊張がほぐれた瞬間に来たね」
真美「ポイントは外さないよね……これじゃありっちゃんも苦笑いだよ」
棺桶の中の律子(……まずいなぁ……ホントに私いま苦笑いしてるんだけど)
律子(って言うか私別に死んでないんだけど……どうしてこうなったのかしら?)
春香「千早ちゃん、しっかりね!」
律子(しっかりもなにも、一番しっかりしてないのアンタでしょ春香!)
千早「律子……私はもう、誰も喪いたくなかったのに……私を置いて先に……」
律子(うわー! 死んでない! 私死んでないって飛び出したいいいいっ!!
でも、このタイミングで飛び出したら、逆に死人出るわよね!
おじいちゃんとか、ショック死しかねないですもんね!)
千早「まずは ①お坊さんとご遺族にそれぞれ一礼」
律子(なんでいちいち、プロデューサーの言った通りに読み上げるの!?)
千早「つぎに ②焼香台の正面で遺影に合掌」
律子(ホントに一字一句違わないんで、逆に笑いが込み上げてくる……まずいわこれ)
千早「ここで ③左手に数珠、右手に抹香を摘んで額に向けて、香炉に移す。
これを……何回だったかしら?」
律子(そこで悩むのか! 覚えてないのか! どうした如月千早!!)
千早「とりあえず、3回くらいだった気がするわ……」
律子(偶然にも正解引き当ててるよ!!)
千早「そして ④もう一度遺影に合掌」
千早「最後に ⑤ご遺族にもう一度礼をして」
律子(どうして回数だけ覚えてなかったのかしら……気になって仕方がないわ)
律子(なんだろう、イヤな予感しかしないわね……)
真「まずは ①お坊さんとご遺族にそれぞれ一撃っ!」
どかっ ばきっ
律子(おおおおお!? なにしてくれてんだ、お前ええええ!!!!!!)
雪歩「高さのあるドロップキックですぅ……」
伊織「真の悲しみが、よく出てるわね……」
律子(なに納得してんの伊織! ツッコんで! 真にツッコんでっ!!)
真「つぎに ②焼香台の正面でいぇーい!!」
一同「いええーーーーーい!!!」
律子(どこのライブ会場よ! てか遺族も来賓もいぇーいしなくていいから!!)
真「ここで ③左手にバット、右手にボールを摘んで棺に向けて、豪速球で投げる!
これを3打席繰り返すっ!!」
亜美「かなりのスピードだ」グスッ
真美「まこちん……よっぽど悲しいんだね……」グスッ
律子(やめろおおおおお!! 棺桶壊れたら、私に豪速球当たるでしょおおおお!!
てか、なんで左にバット握ってんだお前ええええええええ!!!!)
真「そして ④もう一度いぇーい!」
一同「いええーーーーーい!!!」
律子(バカなの!? バカなのこの人たち!?)
真「最後に ⑤ご遺族にもう一撃してっ!」
どかっ
真「さようなら、律子……」グスッ
律子(ホントにさよならするかと思ったわバカ!!!!)
律子(貴音か……この子もときどき微妙にズレてることがあるのよねぇ……)
響「貴音ぇ! しっかりやるんだぞ!」
貴音「任せてください。こう見えても私、葬式には少しうるさいのです」
律子(意味がわからないわよ! 黙って参列してなさいよ!!)
貴音「まずは ①お坊さんとご遺族でそれぞれ一杯」チュルルルルル
ちゅるるるる
律子(ラーメン食ってんじゃねええええええ!!!!!)
貴音「つぎに ②焼香台の正面で遺影にガチョーン!」
律子(古いよ! 谷啓さんだってそんなことしないわよ!!!)
貴音「ここで ③左手に数珠、右手に抹香を摘んで額に向けて、口に移す。
もぐもぐ……これを3杯」
律子(食うなあああああああああ!!!!!! 抹香食うなああああああああ!!!)
貴音「そして ④もう一度遺影にガチョーン!」
律子(2回もやらなくて良いわよ! 他に何か考えてきなさいよ!!)
貴音「最後に ⑤ご遺族と最後に一杯」チュルルルルル
ちゅるるるる
律子(だからなんべんラーメン食えば気が済むんだお前らあああああ!!!!!!)
貴音「……ご愁傷様でした」
律子(そこは「ごちそうさま」で間違ってないわよおおおおおおおお!!!!)
美希「Zzz…… Zzz……」
律子(寝てんじゃねえええええええええ!!!!!! 悲しめええええ!!!!!!)
響「まずは ①ご遺族を一撃でそれぞれお坊さんに!」
律子(お前はうちの親族になにしてくれてんだあああああ!!!!)
亜美真美「「つぎに ②焼香台の正面で遺影にカンチョーーーー!!」」
律子(それ鼻の穴だろおおおお!! どこにカンチョーくれてんだてめえらあ!!!)
やよい「ここで ③左手にライス、右手にカレーを取ってご飯に向けて、鍋から移す。
これを3回繰り返しまーす!!」
律子(カレーライスよそってんじゃねええええええ!!!!!)
伊織「そして ④もう一度遺影に殺到!」
律子(お前まで突っ込んで来たら誰もツッコミいねええええええ!!!!!)
雪歩「最後に ⑤ご遺族にもう一度お礼参りをして」
律子(だからうちの親族になんの恨みが有るんだお前はああああああああ!!!!)
小鳥「みんな、無事お焼香も済んだわね?」
律子(無事じゃねえええええええええええ!!!!!)
高木順二朗様より、弔辞を賜りたく存じます』
律子(ヤバい、結局ここから出られる切っ掛けを得られずに弔辞が始まったわ……)
高木「弔辞。律子君、私だ、高木だよ。まさか君と、こんなに早くお別れをしなければ
ならないことが、心の底から信じられない」
律子(やだ……なんで私の葬式なのに私が泣きそうに……って死んでないです!)
高木「律子君は、まだ我が765プロが本当に小さな事務所だった頃から、アイドルと
して、また事務員として、あらゆる側面から私たちを支えてくれたね。そして、
後年はプロデューサーとして存分に手腕を発揮してくれた」
律子(…………)
高木「君がいなければ、いまの765プロは存在しなかっただろう。
本当に、重ね重ね、残念至極で仕方がない」
律子(重ね言葉使うなああああああああ!!!!!)
※葬儀の席では、重ね言葉は「忌み言葉」として避けるのがマナー。
高木「君が死んでも守ろうとした我が事務所と、こんな形でお別れになることは、
大変悲しく、もはや死よりも耐え難きことだよ」
律子(お前は社長のくせに弔辞のマナーも知らないんかああああああああい!!!!)
※「死」や「悲しい」などは別の言い換えをする必要がある。
高木「君との名残は尽きないけれど、これからみんなで、この事務所を守って行くよ。
だからどうか、安らかに眠ってくれたまえ」
律子(眠れねえよ! 社長の弔辞がこれじゃ眠れねえよ!!!!!)
P「みんな、この石で釘を打つんだ」
春香「律子さん……向こうでも、アイドルプロデュース頑張ってください……」ゴンゴン
律子(もっと他になかったんかい! 休ませなさいよ!!)
千早「律子……弟によろしく伝えて……」ゴンゴン
律子(おいやめろぉ! お前の弟の話はマジでしんどいからやめろぉ!!!!)
やよい「り゛つ゛こ゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!」ガンガンガンガン
律子(やめてえええ!! 悲しいのはわかったから、そんなに叩かないでえええ!!)
雪歩「律子さん……律子さん…………っ」ゴンゴン
律子(特にないんかい!!)
真「律子ぉ…………律子ぉおおおおお!!!!」ガンガンガンガン ばきっ
律子(おおおおおおおおい!!!! ばきっつったぞ! いまばきっつったぞ!?)
亜美「りっちゃああああああああん!!」ガンガンガンガン ばきっ
真美「りっちゃああああああああん!!」ガンガンガンガン めきっ
律子(お前ら! お前らわかってやってるだろ!! 棺桶のマウント取るなよ!!!)
響「律子おおおおおおおお!!」ガンガンガンガン ドゴォっ
律子(響に至っては石も使ってねえええええ!!! 拳で殴るなあああああ!!!)
美希「Zzz…… Zzz……」
律子(寝てんじゃねえええええええええ!!!!!! フタしろやあああ!!!!!)
より、ご挨拶を頂戴いたします』
P「この度に置かれましては、秋月律子の告別式にお立ち会いいただきましたこと、
遺族並びに事務所を代表致しまして、厚く御礼申し上げます――――」
律子(てか、ここって普通遺族代表の挨拶じゃないの?)
P「――――ああ見えて律子は、生前とっても祭り好きでした」
律子(好きじゃないわよ別に!!!!)
P「――――プロデューサーとしてではなく、アイドル・秋月律子として。
どうか皆様と、最期のお別れをしたいと思っています」
律子(…………あれ? なんだろう、イヤな予感がするわね。しかも棺桶壊れてるし)
P「みんな、準備は良いか!?」
アイドル一同「「「 おうっ!! 」」」
律子(浮いた! 明らかにいま浮いたわよね!? 神輿でも担ぐ勢いで!)
『ご出棺でございます』
P「せいやっ! せいやっ!」
一同「そいやっ!! そいやっ!!」
P「せいやっ! せいやっ!」
一同「そいやっ!! そいやっ!!」
ばきっ
律子「って、完全に神輿になってんじゃねえかああああああああっ!!!!!」
春香「えっ、律子さん!?」
千早「律子!?」
亜美真美「「りっちゃん!?」」
P「律子……まさかお前……」
雪歩「ゾンビですか!?」
貴音「」バターン
響「うわああああ! ホラー苦手な貴音が倒れたぞ!」
律子「誰がゾンビよ! 死んでないから! 死んで蘇ったわけじゃないから!」
一同「「「 わああああああああっ!!! 」」」ヨカッター! イキテタンジャナイカー! ワイワイガヤガヤ
律子(……ったく。これじゃおちおち死んでもいられないわ)
あずさ「……えっ……律子、さん?」
律子「えっ……あずさ、さん? 今頃遅れて……?」
あずさ「やだ、私……道に迷ってるうちに、あの世に来ちゃったんですね~♪」
律子「死んでないから!!」
おしまい。
__ ヽ:\ .イ'´
_ィ彡-‐-ミヽ: : X∠:ュ.ミ,_
/´ ̄¨≧三}i〃_: : : : _;,:.亥
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,'三三〈三ニ{\ ヽ.` / ∠}:三人三/ニハ
.{三三ニ∀ニハ. \∨/ ,三く=三ノ=三}
i三三三∨:ニ', /イ〉i\ ノ三ニ〉=〃三リ
親族代表で涼ちんやらんと物足りない
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