今、劇場楽屋で一人の少女が立ち上がる!
休憩中や待機中の友人たちが何事かと視線を向ける中、
彼女は拳をえいえいと振りながら宣言した!
「抗議する、抗議するぞ!」
"こうぎ"と言うより"こーぎ"といった発音で、春日未来は最上静香に詰め寄ると。
「私、静香ちゃんに抗議する!」
「はぁ?」
「抗議するぞ? 抗議しちゃうぞ!」
「未来、一体どうしたの?」
「どうもこうも無いよ! 抗議するの!」
「……何の? と言うか何を? 私、アナタに文句を言われるようなこと――」
「その態度!」
「えっ」
「その、人をナチュラルに下に見る態度に抗議する!」
「し、下に!? まさか、そんなつもりは微塵もないわ!」
「いいや、あるね! その切れ長で理知的な瞳の中に、私を蔑視する意思を感じるね!」
全く静香にとっては心外だった。
彼女は未来のことを親友と思いはすれ、馬鹿にするなど、
まして自分よりも下に見ているつもりなど無かったのだから。
だが、未来は「むすー!」と不満に頬を膨らませ、
その可愛らしい眉を逆さハの字につり上げて。
「大体口調からして偉そうだよ。私のこと"アナタ"とか呼んで……お母さんですか!?」
「そんなワケないでしょう!? だ、大体アナタのことをアナタって呼んで何が悪いのよ!」
「私は静香ちゃんの旦那さんでもないんだよ!?」
「当然でしょう! バカ言わないで!」
「ほら! それっ!」
してやったり、未来が静香を指でさす。
「バカって言った! やっぱり私を下に見てる!」
「今のは言われたって仕方が無いわ!」
「仕方なくないもん! いい、静香ちゃん? 世の中には二種類の人間がいるの!」
「はぁ? 論点ずらしのつもりなの?」
「ろんてんずらし……?」
「……ごめんなさい、続けて」
静香にそっと促され、未来が再び喋り出す。
「だからね、二種類の人間が。バカじゃない人と、これから賢くなる人だよ!」
「……未来はどっち?」
「えっ? あ、私はね~」
訊き返された未来が、しばし宙を見る。
「できれば賢いねって言われたいな~♪」
「ならやっぱりバカじゃない!」
「あー、もー! またバカって言った、静香ちゃんのバカ!」
「バカって言う方がバカなのよ!」
「バカ!」
「馬鹿!」
「バカー!」
「ばーか!」
そして始まる水掛け論。
何度かの馬鹿と河馬の応酬の後、
これではらちが明かないと静香がえいえい腕を振り言った。
「こ、抗議する! だったら私も抗議するわ!」
「えぇっ!?」
「私、未来に抗議する!」
「それ私の台詞! とっちゃヤダ~!」
「抗議するぞ? 抗議しちゃうぞ!」
「うぅ、何のだろ? と言うか何をかな? 私、静香ちゃんに文句を言われるようなこと――」
「その態度! あと鳥頭!」
「は、はいっ! ……ん?」
「その、ナチュラルに自分の非を認めない態度に抗議するわ!」
「今凄く酷い事言われたような――って、認めなくないもん! 悪いことしたら謝れるよ!」
「いいえ、嘘ね! そのおバカ丸出しの顔の中に、
『このぐらいなら笑って流してもらえるかな? でへへ~』なんてお目こぼしを狙う意思を感じるわ!」
全く未来にとっては心外だった。
彼女はほんの数分前の自分の言動を忘れはすれ、進んで悪事を働いたり、
まして故意に人を困らせて、楽しもうとしたことなど無かったのだから。
だが、静香は「ほら見なさい!」と言わんばかりにその慎ましい胸を張ると。
「大体呼称からしてよそよそしいの。私のこと静香ちゃんだなんて……のび太のつもり!?」
「えっ? えぇっと……?」
「こっちは未来って呼んでるのに、いつまで経っても静香って呼び捨てにしてくれない!」
「だ、だって静香ちゃんはほら、静香ちゃんって感じだし」
「翼は呼び捨てにしてるのに?」
「つ、翼は翼って感じだもん……」
「ほら、そこっ!」
してやったり、静香が未来を指でさす。
「どうしてそこで謝れないの?
『ホントだ、私が悪かったよ……静香』ぐらい言ってくれたっていいでしょうに!」
「わっかんないよー! ちゃんと言ってくれないと~!」
「だから今言ったじゃない! 抗議したわよ? 未来も私に好誼して!」
「え、ええ~?」
そして未来は戸惑いつつも、目の前の親友の瞳を真っ直ぐに見つめてこう言った。
「ご、ごめんなさい」
「違うっ!」
「静香ちゃん、ごめんね?」
「可愛いけど違う! 静香、コールミー静香!」
「し、静香! ごめんっ!」
「もっと悪っぽく! 自分勝手なダメ男が、それでも自分を見捨てない尽くす彼女に言うように!」
このままではらちが明かないと、静香が未来の腕を取り楽屋の壁近くまで移動する。
そうして自らは壁に背を向け立ち、掴んでいた手は自分の顔の横に突き立てて……
要は未来に、壁ドンの姿勢を取らせると。
「ほら言って」
「うぅ、許して静香ちゃ~ん!」
「だから静香!」
「ごめんなさい~! もう抗議なんてしないから~!」
えぐえぐと涙ぐんで見せても、静香の怒りは収まらない。
その後も続く二人のやり取りを、何とはなしに眺めていた百合子の隣で杏奈が言った。
「あ……あのね、百合子さん?」
「ん? どうしたの杏奈ちゃん」
杏奈が、ゲーム機を持った手をえいえいと振る。
「抗議する、……します! 杏奈、ビビッと抗議するぞ!」
以上、おしまいです。えいえい腕を振る女の子っていいよな~って。
未来ちゃんの子供っぽいえいえいも、静香の恥ずかしがりながらのえいえいも。
では、お読みいただきありがとうございました。
イチャイチャしやがって
乙です
>>1
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg
http://i.imgur.com/vahU53m.jpg
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/Czn3H0B.jpg
http://i.imgur.com/CfNZjkM.jpg
>>8
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/m6Y8Lf2.jpg
http://i.imgur.com/4eHfLZQ.jpg
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg
http://i.imgur.com/o295Heq.jpg
かわいいからセーフ
こいつらいつもいちゃいちゃしてるな
乙
乙
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