夢を見ていた
女の子と一緒に同じ夢を掴む夢
俺達はあの夢の向こうへ辿り着けたのだろうか
体を起こして伸びをする
そのまましばらくぼーっとしていると腹の虫が鳴った
普段は特に考えないのだが、何故か今日はだけは
うどんが食べたかった
P「よし、行くか」
海美「ゴーゴー!」
従妹の北沢志保、幼なじみの高坂海美と一緒に家を出る
少し早めで、ゆったりとした朝だ
海美「しほりんとこうやって一緒に学園に行くってなんか新鮮!」
志保「そうですね、私もです」
楽しそうに話す2人を見ながら歩く
しばらく歩いているとどこかから声が聞こえてきた
「おはよう未来」
「あれ?なんだか眠そう」
「ちょっと変わった夢を見たから寝不足なのよ」
「変わった夢?」
「ええ、変わってるけど…その夢は私に勇気をくれたの」
「なんか良くわかんないけど良かったね!」
「ええ、あの温もりがあれば私は頑張れる…そんな夢だったわ」
海美「P、どうしたの?」
P「いや、何でも無い」
海美に呼ばれ意識を逸らす
聞き覚えのある、とても懐かしい気持ちになる声だった
誰の声だったかな…
海美達と通学を再開する
声はもう聞こえなかった
冬馬「珍しいな、うどんなんてよ」
P「今日は妙に食いたくてな」
翔太「そういうときあるよね~」
海美「私にも一口ちょうだい!出来ればあーんして!」
P「阿呆」
冬馬、翔太、海美の三人と学食に来ていた
この三人とはクラスが離れてしまったので少し残念だ
「あ、海美ちゃん海美ちゃん」
海美「あ、美奈子先生!」
P「ん?」
美奈子「今日ならうちが使えるけど、どうする?」
海美「うん!行く!」
美奈子「わかった、じゃあ待ってるね?」
海美「あ、そうだ、Pも連れて行って良い?」
美奈子「周防くんを?うん、私は構わないよ!」
海美「P!と言うわけだから!」
P「いやどういうわけだよ」
P「そうなのか」
海美「うん!」
美奈子「最近上手になってきたよね」
海美「たまに焦がさなくなったからね!」
P「ほう」
それは確かに凄い進歩だ
海美「と言うわけでPにも食べさせてあげたいから来て欲しいな~」
P「仕方ないな」
それくらいなら付き合ってやるか
海美「うん」
佐竹さんはそういうと厨房へ戻っていった
翔太「海美ちゃん、料理出来たんだ」
冬馬「マジかよ…2年前までは炭の錬金術師だったのにすげぇな」
海美「私だって成長してるからね~」
海美が得意そうに胸を張る
P「何でも良いけど、そろそろ食わないと昼が終わるぞ」
冬馬「っとやべえな」
海美「いそご!」
騒がしい昼食を楽しんだ
海美「美奈子先生!来たよ!」
P「お邪魔します」
美奈子「いらっしゃい海美ちゃん、周防くん」
制服の上からエプロンをつけた佐竹さんが出て来た
よく似合っている
海美「今日は何を作ろっかな~」
美奈子「ちょっと難しめのものでも良いかもしれないね」
そういや主人公の名字 周防だったな
美奈子Pだから期待してる
更新お疲れ様です
今回も楽しみです
海美「お菓子作り!女子力修行の基本だね!」
美奈子「うん、修行かどうかはわからないけどね」
海美「実は私マドレーヌ作ったことあるんだ~」
海美「Pにも食べて貰ったよね?」
P「あれマドレーヌだったのか」
何を作ったのか言わないし何をどうやったのかわからないが炭だったからわからなかったぞ
…全部食べたけど
海美「うん!」
美奈子「あ、周防くんは適当に寛いでて?」
P「ああ」
エプロンをつけている佐竹さんと海美を眺める
やはりエプロン女子は良い物だ
キッチンへ向かう2人を見送った後、俺はソファに座った
特に深く考えずに着いてきたがよく考えると知り合ったばかりの女子の家にあがってるんだよな…
そう考えるとあまり落ち着かない
何だろう、懐かしい匂いがする気がする
昔、ずっと昔にもこんな匂いを感じたことがあったような…
なんだったかな
記憶を辿ってみるも思い当たらない
やがて頭痛がしたので考えるのをやめた
P「ん?」
ふとテレビの方を見ると写真が飾ってあった
そこには楽しそうに笑う男性と女性、そして小さな女の子が写っていた
眩しい笑顔が可愛らしい
海美「P!出来たよ!」
P「もう出来たのか?」
海美「もうって一時間は経ってるけど」
P「なん…」
記憶を探ってる間にそんなに時間が経っていたとは
海美「さ、さ、食べて食べて!」
海美が皿をテーブルに置いた
P「お?ちゃんとマドレーヌの形してるじゃないか」
海美「でしょ!?ほめてほめて!」
P「味を見てからな」
海美「なんか作ってるみたいだよ?だから先に食べててって」
P「そっか…じゃあいただこうかな」
海美「うん!」
マドレーヌを一つ手に取る
海美「ちゃんとマドレーヌの味がするはずだよ!」
P「楽しみだ」
海美「…二つに一つは」
P「…かふっ」
しょっぱくてぱさぱさしていて形容しがたい味が
P「…海美」
海美「な、何?」
P「…何入れた?」
海美「砂糖!」
P「嘘つけ!これ絶対塩入れただろ!」
海美「入れてない入れてない!…多分、きっと!」
P「はあ…」
P「余計なアレンジ加えてないだろうな?」
海美「…」
P「…」
海美「…うん!」
P「はいダウト」
P「全く、最初は基本通りに作れば良いのに」
海美「だってPに美味しいって言って欲しかったし…」
P「…」
こっちは普通にマドレーヌの味がした
P「…ん、美味い」
海美「ほんと!?」
P「ま、お前が作ったにしてはな」
海美「えへへ~♪」
嬉しそうにはにかむ海美
P「やれやれ」
なんだかんだで俺は海美に甘い気がする
佐竹さんが皿を持ってキッチンから出て来た
海美「あ、来た来た!」
佐竹さんが胡麻団子や大学芋の乗った皿をテーブルに置いた
P「美味しそうだな」
海美「美奈子先生のお菓子美味しいんだよ!」
P「俺も学食行くからな、知ってるよ」
…しかし
P「…相変わらず大きいな」
大学芋はともかく胡麻団子は明らかに大きい
美奈子「やっぱり食べて貰うなら大きい方が良いなって思うから」
√SSLは砂糖山盛り、ちょっぴり塩の予定
カードのゴマ団子はエロい(確信)
海美「いただきます!」
P「いただきます」
野球ボールサイズの胡麻団子を手に取る
P「あちち…」
美奈子「あ、出来たてだから気をつけて」
P「ああ」
海美「P、胡麻団子ふーふーして?」
P「自分でやれ」
香ばしい胡麻の香りに柔らかな団子、そして中のさらりとしたこしあんは何というか
P「…美味い」
それ以外の感想は出てこなかった
海美「うーん!やっぱり美奈子先生のお菓子美味しい!」
美奈子「ありがとう海美ちゃん、周防くんはどうですか?」
P「何というか、美味い以外の感想が出て来ない」
美奈子「ふふ、ありがとうございます」
P「普段は学食で佐竹さんが作ったものを食べることもあるけどそれとはまた違った美味さだ」
美奈子「学食はスピード優先だからどうしても省いちゃう工程とかあって」
美奈子「だから少し味が落ちちゃうんですよね…」
P「そうなのか」
海美「私も早くPから美味しいって言って貰いたい!」
P「ま、海美の方は期待せずに待ってるよ」
海美「むー」
美奈子「2人とも、本当に仲良いね」
美奈子「やっぱり付き合ってるから?」
P「ストップ」
美奈子「?」
P「佐竹さん、今なんて?」
P「いや、海美「まだ」付き合ってないが…」
海美「い、いひゃいいひゃい」
美奈子「あ、そうだったんだすね、私てっきり…」
P「俺と海美はそういう関係じゃないよ、ただの幼なじみだ」
海美「うー…」
海美が隣で不満そうに唸る
うみみかわいいなちくしょう!
いやこの子の場合は天然でやってるだけだな
気が向いた時としか言いようが
基本的にモチベ低下すると他に逃げる性格なので
ただエタらせる気は無いのでご安心を
P「いつものこといつものこと」
海美「むー!」
美奈子「あはは…」
佐竹さんが苦笑いしていた
P「ご馳走でした」
海美「ご馳走さま!」
美奈子「お粗末さまでした」
美奈子「ふふ、喜んでくれて嬉しいです」
海美「美味しいもの食べた後は体動かしたくなるよね!」
P「ん、まあそうだな」
美奈子「」ピクッ
海美「じゃあ帰りは走って帰ろ!」
P「良いぞ、たまには」
美奈子「駄目です」
P「えっ」
P「さ、佐竹さん?」
美奈子「そんなことをしたらカロリーが逃げちゃいますからね」
P「カロリーが逃げる…?」
なんだろう、全く意味が分からない
美奈子「帰るときは歩いて帰る!そうしたらカロリーもほんの少ししか逃げませんから」
美奈子「それに食べてすぐ走っちゃったらお腹が痛くなっちゃいますからね!」
P「お、おう」
これ砂糖だけじゃなくてカロリーも多めだよね。絶対に
>>1のSSが一番好きだったから探してみるとまだ執筆していたんだね,お疲れ様です
知らない√がいっぱいあるよやったー!
完結したやつは14作ぐらいあるから読むの頑張ってね
http://www32.atwiki.jp/imasss/pages/996.html#98
美奈子「うんうん!周防くんは痩せすぎな気がするからもうちょっとがっしりしてる方が良いと思う!」
P「痩せすぎか…?」
正直平均的なぐらいだと思うんだが
海美「あ、じゃあ私と一緒に鍛えようよ!そしたら私もPと一緒にいられるし、汗を流すのに一緒にお風呂入ったり出来るし!」
P「ないない」
海美「うん!」
P「美味しかったよ佐竹さん、ご馳走さま」
美奈子「またいつでも来てくださいね!」
P「うん、機会があればまた」
佐竹さんに玄関まで見送られ、俺達は帰路に着いた
P「美味かった」
海美「私のマドレーヌは?」
P「…ま、良かったんじゃないか?」
海美「えへへ…」
嬉しそうにはにかむ海美の頭を撫でてやる
P「そうだな、期待してるぞ」
海美「うん!」
海美と並んで二人で帰る
P「…」
しかし佐竹さんが言っていたようにもうちょっとがっしりしたほうが良いんだろうか?
良くわからないな
まあ筋肉があって困るわけじゃ無いし今日からトレーニングでもしてみるか
美奈子「あ、周防くんちょっと良いですか?」
P「ん?どうしたんだ、佐竹さん」
美奈子「海美ちゃんから聞いてるかも知れないんですけど今日うちで新作メニューのコンベみたいなことをやるんです」
P「へー…初耳だな」
美奈子「それで知り合いに声をかけてて、せっかくなので周防くんもと思いまして」
P「そういう事なら喜んで」
美奈子「ありがとうございます!あ、周防くんのお友達も誘ってくれるとありがたいです!」
P「わかった、人数とかは?」
美奈子「多い方が嬉しいですね、たくさんの人の意見が聞きたいですから」
P「了解」
恵美「やー楽しみだね」
エレナ「ミナコのご飯は美味しいからネ!」
琴葉「私も、楽しみ」
P「ああ」
冬馬「新作メニューか…量はともかく味は間違いないだろうな、量はともかく」
翔太「そうだね僕もそう思うよ、量はともかく」
海美「どんな料理だろうね、しほりん」
志保「さあ…ただもし兄さんのお口に合うなら必ずモノにします」
P「お邪魔します」
美奈子「いらっしゃいませー!お待ちしてましたよ周防くんとお友達の皆さん!ささ、こっちの席にどうぞ」
P「どう座ろうかな」
冬馬「適当で良いんじゃねえの」
海美「じゃああまとうはあっち!」
冬馬「隅っこじゃねえか!」
翔太「適当で良いとか言うから…隅っこが嫌ならここでも良いよ」
そういって翔太が地面を指差した
冬馬「殺す」
翔太「じょ、冗談だから!」
恵美「あ、じゃあアタシもPの…」
志保「では私も兄さんの隣に座ります」
恵美「…」
エレナ「メグミ、次があるヨ!」
恵美「うん…」
琴葉「恵美はどうして落ち込んでるの?」
恵美「何でも無い…」
琴葉「???」
そして全員に配っていく
美奈子「すぐに出来ますから、待っててくださいね!」
お冷やを配った佐竹さんは厨房へ戻っていった
P「良い匂いだ」
冬馬「この匂いは…味噌か?味噌を使った料理みてえだな」
恵美「わかんの?」
P「なんだかんだで料理するからな、冬馬は」
冬馬「味噌…中華料理で味噌か…何が出てくるか楽しみだぜ」
楽しみで仕方ない
海美「お腹空いてきたね!」
P「ああ」
俺の隣で小さくお腹が鳴る音がする
そっちを見ると志保が顔を赤くしていた
P「楽しみだな、志保」
志保「そ、そうですね」
ちょっと早口に志保が言う
恥ずかしかったようだ
しばらく雑談をしていると佐竹さんが料理を持ってきた
これは…ラーメン?
冬馬「ほう…」
味噌ラーメンにネギ、ワンタンが乗っている、味噌ワンタン麺だろうか
P「味噌ワンタン麺?」
美奈子「はい、だけどワンタンが特殊なんです!」
P「特殊?」
美奈子「はい、実はこのワンタンの中身は北京ダックなんです」
冬馬「やっぱりか」
P「北京ダック?」
P「へー、そんなのがあるのか」
恵美「あー、そう言えばベーミヤンにもあったっけ」
美奈子「その通り!これは北京ダックの皮よりも少し薄くして食べやすくしたものにアヒルの肉を細かく刻んだものを包んでワンタンにしました」
美奈子「味噌ダレはスープに、ネギは具にしてあります」
美奈子「このどんぶりそのものが北京ダックになっているんです」
美奈子「名付けて、北京ダックラーメン!」
P「まんまだ…」
P このルートで胃袋壊さないかな
今まで腕の骨とか脚の骨とかはどっかのルートで確か折ってたよね
P「だな」
いただきます
まずはスープを飲む
エレナ「このスープ美味しいヨー」
琴葉「ネギもシャキシャキしていて気持ち良い」
冬馬「麺は見事な縮れ麺だな、スープによく絡んでて美味え」
美味い、本当に美味い
P「このワンタン、滅茶苦茶美味い…」
北京ダックは食べたことが無かったけど、こんなに美味しいとは
そういって佐竹さんがメニューを見せる
P「確かに、高いな」
割といいお値段だ
美奈子「だからお手軽に北京ダックが楽しめたらって、そう思って作ったんです!」
佐竹さんがニコッと笑う
その笑顔はとても可愛らしくて
どこかで見たような、そんな感じがして
胸がギュッと締め付けられるような感覚がした
琴葉「私も、ちょっと食べ過ぎちゃったかも」
エレナ「コトハ、珍しくいっぱい食べてたもんネ!」
琴葉「だ、だって美奈子ちゃんの料理美味しかったからつい」
美奈子「ありがとう琴葉ちゃん!」
冬馬「あー、腹一杯だ」
翔太「僕も」
P「量が普通だったのには驚いたけどな」
P「ん?」
美奈子「どれが美味しかったですか?」
P「そうだな…餃子とか、どれも美味しかったけど…一番は北京ダックラーメンかな」
美奈子「それは、どうして?」
P「なんて言うか、一番気持ちがこもってる気がしたんだ」
P「食べてくれる人のためにって、そんな気持ちが」
P「だからどれか一つを選ぶなら、俺は北京ダックラーメンを選ぶかな」
佐竹さんは俺の言葉を聞いた後
美奈子「うん、わかりました!ありがとうございます、周防くん」
そう言った
美奈子「ううん、こちらこそ!色々聞けて良かったよ!」
琴葉「新メニューがちゃんとしたメニューになったら、また食べに来るから」
美奈子「ふふ、それなら次はすぐに来そうだね!」
琴葉「うん、楽しみにしてる」
恵美「じゃあ帰ろっか」
P「ああ」
俺達は店を出る
美奈子「またのご来店お待ちしてますね!」
恵美「んー、アタシはパス」
海美「私はPの家!Pの部屋!」
志保「駄目です」
海美「えー…」
翔太「何でも良いけど、今日課題出てるの忘れてない?」
恵美「さーてアタシはカラオケいこ」
エレナ「ワタシも行くヨー」
琴葉「二人とも、ちゃんと課題はやらないと」
騒がしい仲間連中を眺めながら歩いていく
美奈子「…」
まだこっちを見ていた佐竹さんと目が合った
美奈子「…」
佐竹さんは俺に向かって笑顔で小さく手を振った
俺はその笑顔にドキッとしながらも、手を振りかえしたのだった
先ほど試食で食べた量はすでに普通の飲食店なら三人前はあることに
俺はこのみ姉さんに呼び出されていた
P「は?」
このみ「だからゴールデンウィーク、私の代わりにボランティアに出て欲しいのよ」
P「なんで俺が」
このみ「暇そうだから」
P「失礼な、俺はこう見えてもゴールデンウィークは予定がぎっしりなんだ」
このみ「へー」
このみ姉さんがジト目で俺を見る
P「そうだ、仕方ないんだ」
このみ「ボランティアに出てくれたらいつもの倍くらいのお小遣いをと思ったけど、忙しいなら仕方ないわね」
P「任せてくれこのみ姉さん、きっちりボランティア活動してくるから」
予定なんて無かった
このみ「あんた、ほんと現金よね…」
何とでも言ってくれ
このみ「それじゃあお願いね」
P「任せてくれ」
このみ姉さんはゴールデンウィーク中は研修があるらしく、泊まりがけで言ってしまった
P「さてと」
となると我が家には志保と桃子しかいないわけだが…ゴールデンウィーク中毎日志保に作って貰うのも申し訳ない
それにこのみ姉さんは食費を置いて行ってくれたので佐竹飯店に行くのも良いかもしれない
P「ゴールデンウィーク、どう楽しむかな」
この日は約束通りボランティアに出ることにした
P「志保、ほんとに良いのか?」
志保「はい、一人でいても退屈なので」
志保が退屈だからとボランティアに付き合ってくれることになった
せっかくだしこのみ姉さんから金を貰ったら志保に何か買ってあげよう
ボランティアは町の清掃だった
学生は小中高大で別れることになっており、志保とは離れ離れになってしまった
グループ訳を聞いた時の志保はとても落ち込んでいるように見えたが、大丈夫だろうか?
…五分程箒を動かしたところで飽きてきた
一人でやる掃除は退屈だ
せめて誰か一人知り合いでもいればと思わずにはいられない
そんな時だった
「あれ、周防くん?」
誰かに声をかけられた
その声に振り向くと
美奈子「こんにちは!」
佐竹さんが立っていた
美奈子「はい、町の人達にはいつもお世話になってますから」
美奈子「周防くんは今まで参加してましたっけ?」
P「いや、俺は今回代理で参加は初めてだよ」
美奈子「そうだったんですね」
美奈子「あ、それなら私と一緒にやりませんか?一人でやるより二人でやる方がきっと早く終わりますよ!」
P「じゃあご一緒しようかな」
もうずっと住んでいる町なのに、掃除をしているだけでなんだか新鮮だ
美奈子「袋いっぱいになっちゃいましたね」
P「そうだな」
ゴミは滅多に落ちてはいないが公園なので落ち葉が大量だ
それらをかき集めると簡単にいっぱいになる
美奈子「やっぱり二人でやると早いですね、普段よりも早く終わりそうです」
P「俺も、佐竹さんと話ながらだからかな、退屈しないで済んでるよ」
P「そう?」
美奈子「はい!昔近所に住んでいた男の子みたいです!」
P「俺、子供っぽい?」
美奈子「いえいえ、ただなんとなく雰囲気が似てるなと思って」
美奈子「あの子、元気にしてるかなぁ…」
佐竹さんが懐かしそうに目を細める
P「仲良かったんだ?」
美奈子「はい、でもかなり昔のことで私、その子の名前憶えてないんです」
美奈子「もし憶えてたら、叶えたい約束があるのにな…」
P「約束…か」
俺も昔海美と約束したっけ
時計を見ると丁度昼時、終わるには良い時間だ
P「そうだな、もう昼時だし」
美奈子「あ、お昼はうちでどうですか?」
P「良いね、志保と一緒に行こうかな」
美奈子「お待ちしてますね!」
二人で並んで歩き出そうとしたときだった
佐竹さんの肩に、木の上から毛虫が落ちてきた
毛虫を見た瞬間、佐竹さんがさっと青ざめる
佐竹さんが悲鳴を上げた
美奈子「す、周防くん!お願い、取ってぇ!」
佐竹さんが涙目で虫を指差した
P「わ、わかった」
俺は棘が刺さらないよう軍手をはめ、毛虫を掴んで草むらに放り投げた
P「よし、取れたよ」
美奈子「あ、ありがとうございます…」
涙目で俺を見上げる佐竹さんに思わずドキッとする
美奈子「得意な人いませんよぉ…」
P「それもそうか」
佐竹さんが落ち着くのを待ってから再び歩き出す
佐竹さんは明らかにさっきよりも辺りを警戒していた
P「大丈夫、また落ちてきたら追い払うから」
美奈子「は、はい、お願いします」
一旦乙です
佐竹美奈子
http://i.imgur.com/bXBzKSX.jpg
http://i.imgur.com/IvjaW1Y.jpg
http://i.imgur.com/ZUzO9Qf.jpg
http://i.imgur.com/i7RkOLA.jpg
>>2
高坂海美
http://i.imgur.com/b4czrgi.jpg
http://i.imgur.com/10nAsBg.jpg
北沢志保
http://i.imgur.com/artGmvD.jpg
http://i.imgur.com/nICa4or.jpg
>>51
所恵美
http://i.imgur.com/a2Ghj4r.jpg
http://i.imgur.com/Jf6k63e.jpg
田中琴葉
http://i.imgur.com/XvIG0ge.jpg
http://i.imgur.com/5cGQanJ.jpg
島原エレナ
http://i.imgur.com/ltGah4K.jpg
http://i.imgur.com/I4216Oy.jpg
>>75
馬場このみ
http://i.imgur.com/vczu8xc.jpg
http://i.imgur.com/NztyppI.jpg
美奈子「良かったぁ…」
ホッとしたように胸をなで下ろす佐竹さん
P「お疲れ様」
美奈子「あ、周防くんもお疲れ様です」
P「さっきも言った通り佐竹飯店で昼を食べるよ」
美奈子「わかりました!腕によりをかけて作りますからね」
P「楽しみだ」
志保に連絡を入れるとすぐに終わらせてきたので三人で佐竹飯店へ向かう
P「そうだな」
志保とメニューを見ながら雑談する
確かに志保とこうやって二人で何かするのは始めてかも知れない
志保「兄さんは何にしますか?」
P「俺は…そうだな」
メニューを見ているとふと目に止まったそれを指差す
P「…エビチリにしようかな」
何故かはわからないが、妙に心が惹かれる
P「それじゃあ決まりだな」
卓上のボタンを押す
ボタンには何故かMKボタン連打禁止と書いてあった
美奈子「はい!お待たせしました!」
P「小籠包定食と、エビチリ定食」
美奈子「…エビチリ」
P「?」
美奈子「エビチリは無料で並盛りか大盛りか選べますけど、どうしますか?」
P「あ、それなら大盛りで」
美奈子「はいかしこまりました!」
佐竹さんはエビチリ大盛りに対して何故か嬉しそうにしながら厨房へと入っていった
救急車待機させておきますね(精一杯の優しさ
P「志保にもそう見えた?」
志保「はい、もしかしたらエビチリが得意料理なのかもしれませんね」
P「それは楽しみだな」
志保「私も、少しいただいて良いですか?」
P「もちろん」
志保「ありがとうございます、兄さん」
志保の前にコトッと音を立てて小籠包定食が置かれた後
俺の前にドンっと音を立ててエビチリ定食が置かれた
美奈子「大盛りはサービスで特盛りにしておきました!ゆっくりしていってくださいね!」
志保「…」
P「…」
佐竹さんが去った後、俺は静かに顔を伏せる
…油断した
俺は覚悟を決めてエビチリに手をつけた
P「!美味い」
やはり美味い、けどそれだけじゃなくて
P「なんだろう、懐かしいような…」
昔食べた事がある味だ、だけどどこで?
全く思い出せない
志保「兄さん?どうかしましたか?」
P「いや、なんでもない」
突然手が止まった俺を心配してか志保が声をかけてくる
…まあ、そのうち思い出すだろう
それよりも今はこっちに集中しないとな…
俺は山盛りのエビチリと格闘を開始するのだった
本当に食えない時って寒気と冷や汗するよね
おつ
最初は美味かった、絶品だった
山も崩れてきた、目に見えて減っている
しかし…
P「飽きてきた…」
ずっと同じ味だからか飽きてきた
最初こそ良いペースで進んだものの今はかなりペースダウンしている
P「…ふう」
思わず箸を置きそうになるがここで置いてしまうと間違いなくそのまま帰ってしまいそうなので箸を置くわけにはいかない
志保「…兄さん」
P「どうした?」
志保「ずっとエビチリだけだとお辛いと思うので、口直しに小籠包は如何でしょうか?」
P「良いのか?」
志保「はい」
P「ありがとう、それじゃあ一つ」
志保「あ、待ってください兄さん」
小籠包に箸を伸ばそうとした所、志保に制止される
志保「小籠包は熱いですから、ちゃんと冷まさないと火傷してしまいます」
P「ふむ」
志保「ですから」
志保「ど、どうぞ…あ、あーん」
顔を赤くしながらレンゲを差し出してくる志保
P「し、志保」
志保「さ、冷めすぎると美味しく無くなりますからなるべくは、早めにどうぞ」
P「わ、わかった」
志保が恥ずかしがっているので俺も恥ずかしくなってくる
しかし志保の好意を無碍にするのもあれなので俺はレンゲに食い付いた
P「…うん、美味い」
熱いスープが美味くてたまらない
P「良い口直しになるな」
志保「それなら良かったです」
そういって志保が微笑む
志保「それで…兄さん、その」
志保「私も、エビチリを食べたくて」
P「ああ、そういうことなら好きに持って行って良いんだぞ?」
そういって志保の方に皿を押し出す
志保「…」
しかし志保は俺を見るだけで手をつけない
P「志保?」
P「差し出されたな」
志保「なのでここは兄さんが私にあーんをするべきでは無いでしょうか」
P「そうかな?」
志保「そうです」
P「そうか」
志保「はい」
P「…」
志保が何を言っているのかわからない
P「わかった、ほら志保、あーん」
エビチリを掴み、志保に差し出す
すると志保さん顔が赤みを増した
志保「そ、その、いざやると恥ずかしいですね」
P「なんだそりゃ」
恥ずかしがる志保が可愛らしくなり思わず笑ってしまう
志保「な、なんで笑うんですか!」
P「いや、志保が可愛いなと思ってさ」
志保「か、かわっ…もう、からかわないでください!」
照れ隠しか志保が箸に食い付いた
志保「お、美味しいです」
P「そっか」
志保のおかげで最後まで美味しくエビチリを食べることが出来た
P「うぷっ」
志保「兄さん…大丈夫ですか?」
P「まあ、なんとかな…」
美味しく食べられたても苦しいことに変わりは無かった
誰の√書いてたんだっけな
乙でした
P「無理です…」
水を入れすぎた水風船と同じ末路を辿るのが目に見えている
結局小さめの杏仁豆腐が運ばれてきたのでそれを食べる
美味いが苦しい
志保はというと
志保「♪」
デザートに御満悦だった
P「はい」
レジで会計を済ませる
P「美味しかったよ、ご馳走さま」
美奈子「ありがとうございます!お釣りは○○円ですね」
お釣りを渡されるときに手を握られドキッとする
美奈子「また…来てくださいね?」
P「あ、ああ…」
少しひんやりした手の感触にドキドキしながら、また来よう、そう思うのだった
周防くんと志保ちゃんが帰るのを見送る
…まさか今日会えるなんて思わなかった
しかもエビチリを頼んでくれて、しかも大盛りだった
憶えててくれたのかな?
もしかしたら偶然かも知れないけど、とても嬉しくなった
…お父さんに聞いたとき、本当に驚いた
周防くんと私と海美ちゃんが昔良く遊んでいたことに
なんで忘れてたんだろう
約束はしっかり憶えていたのに
いつかお腹いっぱい食べさせてあげるって、あの日約束した
でもそれはお店でお腹いっぱいにしたいわけじゃない
私が佐竹美奈子として作った料理で、二人にお腹いっぱいになってほしい
そしてまた、美味しいって言って欲しい
それが私が料理を作る理由だから
まだ手に周防くんの温もりが残っているような気がして、自分の手をキュッと握る
…またあの時みたいに三人で、一緒にいられたら良いな
そんなことを思いながら、私は厨房へ戻った
いつものようにGWの出来事募集
美奈子がアライグマに乳飲ませてるカードあったし
キャンプに美奈子が参加した場合のBBQの惨劇は見てみたい
あと出番がすぐ消えるお姫ちんをお腹いっぱいにさせてあげたい
冬馬『おう』
GW二日目、俺はのんびりと眠っていたのだが冬馬からの電話で叩き起こされてしまった
P「お前去年は恵美にGWにキャンプ行くなんて自殺行為だとか言ってたじゃねーか」
冬馬『実は山場を見つけてよ』
P「山場?」
冬馬『山の中で海の幸が食えるって評判の山、知ってるか?』
P「ぷっぷか山だろ、知ってるよ」
冬馬『あそこ、キャンプを始めたらしい』
冬馬『しかも利用出来るのはこの町に住んでる人間だけらしいから混むこともねえだろ』
P「ま、それはそうかもな」
冬馬『と言うわけでキャンプ行こうぜ』
P「良いぞ、いつからだ?」
冬馬『そりゃ明日からだろ』
P「急だな…わかった、海美とか恵美に声掛けとく」
冬馬『おう、頼んだ』
海美「Pが行くから私も行く!一緒のテントで寝る!」
P「寝床は別々だバカタレ」
P「まあ誰か連れてきたい友達がいるなら連れてきても良いぞ」
海美「じゃあ響と貴音さんと美奈子先生に声掛けるね!」
P「ん、了解」
恵美もあまり乗り気では無かったようだが、面子を伝えると急に行くと言い出した
海美か響と遊びたかったんだろうか?
志保は話をする前から何故かキャンプに行く準備が出来ていたので話は簡単に終わった
そして次の日
ついに麗花さんが山にまでなったか
寝る前に枕元に和三盆用意しなきゃ…
翔太「(周りに誰もいない)」
P「翔太-、変な人がいるよー」
翔太「しっ、見ちゃいけません!」
冬馬「てめえら…」
海美「うーん!空気が気持ちいい!」
恵美「ウチらの町からも近いし最高だね」
響「ここならみんなとピクニックに来るのも悪くないね!」
貴音「響、ばーべきゅうはまだでしょうか」
美奈子「すぐ用意しますね!」
冬馬「ログハウス借りるってのも手だが」
翔太「ログハウスかー、それも良いね」
P「けど男子三人に対して女子6人だぞ?三つくらい借りることにならないか?」
海美「じゃあじゃあ私Pと寝る!」
P「馬鹿言うな、冬馬も翔太もいるだろ」
海美「うん、だから2人はテント!」
翔太「え、ひどくない?」
海美「えー、Pと一緒が良い」
志保「海美さん、兄さんを困らせないでください」
海美「うー…」
P「とりあえずテント張ろうぜ」
響「道具借りてきたぞ!」
P「サンキュー響」
恵美「手伝ったげるね」
P「悪いな」
海美「私も!」
志保「兄さん、ログハウスのレンタル、完了しました」
P「お、ありがとう志保」
志保「いえ…」
冬馬「よし、それじゃあテントも出来たことだし、お待ちかねの…」
翔太「バーベキューの準備するねー」
貴音「待っておりました!」
美奈子「もうすぐご飯も炊けますからね!」
冬馬「…」
P「ドンマイ、冬馬」
冬馬「まだまだあるからな」
恵美「あれ?Pの皿空っぽじゃん、ほら取ったげるから」
P「悪いな」
恵美「にゃはは、気にしない気にしない」
志保「…」
海美「しほりん、まだピーマン苦手?」
志保「…だって、苦いじゃないですか」
海美「お肉と一緒に食べたら大丈夫だよ!」
貴音「…」ヒョイパク
響「ああー!貴音また取ったなぁ!?」
貴音「はて」
響「はてじゃないよ!さっきからなんで自分のところから取るんさー!」
貴音「響」
響「な、何」
貴音「この世は弱肉強食、弱きものは搾取されるのです」
響「ま、また取ったぁ!」
美奈子「大丈夫だよ響ちゃん!まだまだあるからね!」
響「うう…美奈子ぉ…」
美奈子「周防くん、どうしたんですか?あ、もしかして足りなかったですか?」
P「いや、佐竹さんずっと焼いてて食べてないみたいだからさ」
美奈子「大丈夫です!貴音さんも響ちゃんも美味しそうに食べてくれますから!」
響の皿は綺麗なままなんだが…まあいい
P「はい、これ」
佐竹さんに肉を掴んだ箸を差し出す
美奈子「これは…?」
P「佐竹さんにも食べて貰おうと思ってさ」
美奈子「えっ…」
佐竹さんの顔が少し赤くなった
佐竹さんが差し出された箸に食い付く
美奈子「う、うん、美味しいですね」
P「うん、それなら良かった」
P「ほら、次」
美奈子「あーん…」
海美「あまとうどいて、私が焼く」
冬馬「は?お前肉の焼き方…」
海美「いいからどいて!」
冬馬「は、はい!」
海美「私もPにあーんしてもらうから!」
みんながそれぞれ満足した後、山を探索したり湖を見に行ってキャンプを満喫した
夕飯にカレーを食べた後、テントで虫の声を聞きながら寝袋に入って眠りにつく
そして夜中にふと、目が覚めた
P「…」
体を起こす
周囲に明かりは無く、真っ暗だ
携帯を手に取り手元を照らしながら俺はテントを出た
月と星の明かりだけが辺りを照らす
少し先に人がいた
P「こんばんは、佐竹さん」
美奈子「あ、周防くん」
P「何してるんだ?」
美奈子「星空を見上げてたんです、綺麗だなって」
美奈子「周防くんは?」
P「俺はちょっと目が覚めてさ」
美奈子「ふふ、私と一緒ですね」
綺麗な星空だ、これだけでも来た価値がある
P「佐竹さんは今日、楽しかった?」
美奈子「はい!実は私、友達とキャンプって初めてで不安もあったんですけど、吹き飛んじゃいました!」
P「それなら良かった」
楽しんでくれているなら、それが一番だ
美奈子「またこうやってみんなで遊びたいですね…海美ちゃんとも、周防くんとも」
P「そうだな…」
P「寒い?」
美奈子「あはは…流石にちょっと冷えてきますね」
P「まだ5月だし、風邪を引かないようにしないと」
美奈子「そうですね、じゃあ私はそろそろ戻りますね」
P「ああ、おやすみ、佐竹さん」
美奈子「お休みなさい、周防くん」
…周防くん、やっぱり憶えてないみたい
でもまだ時間はあるし、ゆっくりと思い出して欲しい
そしてまたあの時みたいに三人で、遊びたい
私たちの約束のために
そんなことを考えていると、ふと誰かの気配を感じて顔を上げる
するとログハウスの中に管理人さんがいた
美奈子「え?管理人さん?」
それにどうしてログハウスに?
疑問ばかりが頭に浮かぶ
管理人さんが急にこちらを振り向き、私は思わずビクッとする
…目が、光ってる…?
管理人の目は妖しく黄色い光を発していた
管理人は私を見ると笑いながら
「みぃつけた♪」
早くエクソシスト呼ばなきゃ
ヘ( *´v`*ヘ)))~ お塩おいし~♪
美奈子「!?」
管理人さんは笑いながら私に近付いてくる
美奈子「ひっ」
美奈子(だ、誰か助けて…!助けて…周防くん…!)
「…うふふ♪そっかぁ」
管理人さんが私に手を伸ばす
私はギュッと目を瞑った
…
美奈子「…?」
しかし何も起きない
私は恐る恐る目を開けると、そこには管理人さんの姿は無く、体も動くようになっていた
気のせい…だったのかな?
だけど微かな寒気が残っている
あれは何だったんだろう?
いくら考えても答えは出ない
こんな時は寝てしまおう
私は部屋に戻り、布団に入る
目を閉じるとすぐに眠気がやって来た
P「釣りだ」
冬馬「良し来た」
翔太「ここ海の魚も釣れるんだよねー」
志保「…聞き間違いでしょうか、今海の魚と聞こえた気が」
響「大丈夫だぞ志保、自分もそう聞こえた」
海美「ね、ね、釣った数で勝負しようよ!負けた方が勝った方の言うこと聞くの!」
P「別に良いけど、俺が勝ったら勝手に部屋に入るの禁止な」
海美「やっぱり争いは悲しみを生むだけだからやらない方が良いよね!」
響「貴音ーなんで焚き火してんの?」
貴音「はて…」
恵美「釣りかー、アタシあんまりやった事無いんだよね」
志保「私もです」
海美「じゃあじゃあしほりんとめぐみーには私が教えてあげる!」
恵美「お、よろしくー!」
志保「ありがとうございます」
P「あ、そうだった」
釣り餌となる虫に青ざめている佐竹さんに駆け寄る
P「佐竹さん大丈夫か?」
美奈子「うう…ルアーは無いんですか…?」
P「残念ながら」
佐竹さんの釣り竿にささっと釣り餌をつける
そのままキャスティングし、佐竹さんに手渡した
P「これなら大丈夫かな?」
美奈子「あ、ありがとうございます」
P「佐竹さん、釣りは?」
美奈子「昔ちょっとだけ」
P「そっか、じゃあ釣ることに関しては大丈夫かな?」
美奈子「はい、リールもついてますし大丈夫だと思います!」
俺も佐竹さんの隣でキャスティングして、腰を下ろした
獲物がかかるまで、のんびりしよう
P「今日は良い天気だな」
美奈子「そうですね、雲も少なくて…」
風も気持ち良いし、とても快適だ
P「お」
佐竹さんがリールを引き、魚を釣り上げる
俺は亜美を用意し、釣った魚を引き寄せた
P「これは…」
美奈子「鰺ですね」
P「鰺か」
鰺をクーラーボックスに入れて、佐竹さんの竿に餌を付けた
時刻はもうすぐ昼だろうか
冬馬を餌に鮫を釣ろうとしている海美と翔太を眺めていると
美奈子「…」
俺の肩に佐竹さんの頭が乗せられた
P「佐竹さん?」
声をかけてみるが反応は無い
耳を澄ますと微かに寝息が聞こえてきた
俺は佐竹さんを起こさないように体勢を整え、ゆっくり釣り竿を置いた
この気持ち良い気候なら眠たくなっても仕方ない
しかし…
眠っている佐竹さんから良い匂いがしてくる
これは結構辛いかもしれない
俺は佐竹さんの匂いを気にしないようにし、時間を潰した
結局佐竹さんが目を覚ましたのは一時間後のことだった
亜美まで乱入してくるとは
翔太「だねー」
恵美「やー堪能した堪能した」
海美「しほりん、どうだった?」
志保「そうですね…楽しかった、です」
響「なんか散々な目にあってた気がするけど、自分も楽しかったさー!」
貴音「…」
響「貴音?」
貴音「ぷっぷか山…あそこには、何やら面妖な気配を感じました」
美奈子「はい!すごく楽しかったですよ!」
美奈子「恵美ちゃんや海美ちゃんとも沢山お話して…」
美奈子「やっぱりみんなでお泊まりは良いですね!」
P「ああ」
朝までバカバカしい話をしているだけですごく満たされるし、やっぱり友達とどこかに泊まるのは楽しいものだ
美奈子「ただ…」
P「ただ?」
美奈子「管理人さん、少し変わってましたよね?」
P「ああ、確かに」
独特な雰囲気を持つ人だった
P「恐い?」
美奈子「はい、うまくは言えないんですけど…」
確かに独特の雰囲気はあったがどちらかというとふわっとしてる美人さんだった気がするけど…
美奈子「まあ、私の気のせいかもしれません」
P「まあ人にも合う合わないはあるからもしかしたらたまたま合わない人だったのかもね」
美奈子「かも、しれませんね」
美奈子「はい、次の機会があればまた行きたいですね」
P「俺もだ」
美奈子「今度はカレーを作るのも良いかもしれませんね!」
P「佐竹さんのカレーか、絶対美味いな」
美奈子「ふふ、楽しみにしていてくださいね?」
P「ああ、次のキャンプが楽しみだ」
美奈子「私も、楽しみです」
今回のキャンプは良い思い出になった、佐竹さんとも仲良くなれた気がする
こうして俺達のGWは過ぎていった
GW最終日、カレンダーを見ながらそんなことを呟く
今年のGWはあっという間だったなぁ…
キャンプも楽しかったし
海美ちゃんや周防くんとお泊まりして
本当に楽しかった
美奈子「…」
不意にキャンプの時周防くんに食べさせて貰ったり、彼の肩に頭を預けて寝てしまったことを思い出して頬が熱くなる
海美ちゃんと周防くんと私と三人で、いつも一緒にいて
だからお父さんの修行のために引っ越すときはとても悲しかった
でも周防くんが言ってくれた言葉が、一人になった私を支えてくれた
…ねえ周防くん
私はまだ約束果たしてないよ
いつか約束を果たせる日が来るのかな…
そんなことを考えていた時だった
美奈子「え?」
部屋の中から女の人の声が聞こえた
だけど部屋を見渡してみても誰も居ない
当然だ、今この部屋には私しかいないんだから
美奈子「空耳…?」
「約束…約束…ふふ♪」
空耳じゃない、やっぱり誰かがいる
美奈子「だ、誰かいるんですか!?」
声を上げてみるが、返事は無い
代わりに
美奈子「…歌?」
その歌はすっと私の心に溶け込んでいくみたいな、そんな感覚があった
美奈子「綺麗な声…」
私は気が付くとその歌に聴き入ってしまっていた
そして再び声が聞こえた
「周防くん、約束…叶えたい?」
美奈子「周防くん…はい、叶えられるなら」
「じゃあ一緒に頑張ろうね、美奈子ちゃん」
囁くように紡がれる言葉に
私はただ頷いた
乙です
この世界の可憐ってどこにいたっけ、プロダクションで怪しげな香水作ってたんだっけ?
(そろそろ出番が消える)お姫ちんが満腹になってそうなのはなによりだ
エレナ「おはようだヨ!」
GWが明けた登校日、休み明け特有の多少の怠さを感じながらも教室に入り、挨拶する
エレナ「GWはごめんネ-」
P「気にしなくて良いよ」
エレナ「お詫びにブラジルでキーホルダー買ってきたからお土産!」
P「サンキューエレナ」
サッカーボールのキーホルダーを貰った
P「うおっ!お、おはよう佐竹さん」
さっきまで誰もいなかった筈なのだがどこからともなく現れた佐竹さんに驚いてしまう
美奈子「GW、楽しかったですね!」
P「ああ、楽しかった」
美奈子「また、行きたいですね!」
P「そうだな…」
美奈子「それはさておき周防くん、一つお願いがあるんです」
P「お願い?」
P「俺はそれを探す感じか」
美奈子「いえ、周防くんに試食して欲しくて」
P「俺に?」
美奈子「はい、駄目ですか?」
P「駄目じゃ無いけど…どうして俺に?」
貴音でも大丈夫だと思うけど…
美奈子「周防くんが一番美味しそうに食べてくれたから」
P「え?」
美奈子「私の中で一番信頼出来る周防くんにお願いしたくて」
P「あ、ああ…まあ構わないけど」
美奈子「ありがとうございます!それじゃあ放課後、お待ちしてますね!」
佐竹さんはいつもの笑顔を見せ、自分の席へ戻っていった
…さっきの眼は気のせいか?
「…」
美奈子「ねえぷっぷかさん、周防くん誘えたよ」
「そうだね、美奈子ちゃん頑張った!偉い偉い」
美奈子「誘った後、どうすれば良いのかな」
「美奈子ちゃんのお料理で周防くんを虜にしちゃおう?」
美奈子「出来るかな…」
「大丈夫、美奈子ちゃんなら出来るよ」
美奈子「…うん、頑張るね」
美奈子「そのままずっと一緒が良いな…♪」
「美奈子ちゃんなら周防くんとずっと一緒にいられるよ」
美奈子「ぷっぷかさんがそう言うなら心強いです」
美奈子「じゃあ教室に戻りますね」
「うん、じゃあ私はしばらく学園をうろうろしてるね」
美奈子「はい」
美奈子「周防くん」
P「うわぁ!」
急に後ろから声をかけられてビビってしまう
P「さ、佐竹さんか」
美奈子「一緒に行こう?」
一瞬で靴を履き替えた佐竹さんが俺に手を差し伸べる
俺は何かに誘われるように手を取ると、佐竹さんは俺の手を握った
美奈子「じゃあ、いきましょう」
やはりどれも美味い、そして多い
P「ふう…」
何とか食べきり、箸を置く
美奈子「良い食べっぷりでしたね!」
P「どうも」
美奈子「今日の料理、どうでしたか?」
P「ああ、美味しかったよ、流石は佐竹さん」
P「ところでこれ、新メニューは…」
美奈子「また試食、お願いしても良いですか?」
佐竹さんが笑顔で身を乗り出してくる
P「あ、ああ」
俺はその笑顔に気圧され、頷く事しか出来なかった
そのたびに佐竹さんは大量の料理を振る舞ってくれた
最近は誘われることに何の疑問も抱いていない
そんなある日のことだった
学園の下駄箱に一通の手紙が入っていた
差出人の名前は無く、ただ俺に宛てただけのシンプルなものだ
P「なんだ…?」
開封し、中身を確認すると
今日、オカ研へ来るべし-真壁瑞希-
と書かれていた
ぷっぷかさんこえぇ…
TA03だこれー!
まかべーは初出演だっけ?
http://i.imgur.com/6P203EL.jpg
>>133
我那覇響
http://i.imgur.com/yXZyTa0.jpg
http://i.imgur.com/CDCvZHh.jpg
四条貴音
http://i.imgur.com/aMmdtNl.jpg
http://i.imgur.com/iC03pSy.jpg
>>189
翼ルート334レス目が初かな?
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459499527/334
異色のルートになってきたな
可憐と可奈も絡んでくるのかな
胃薬わたさなきゃ(使命感)
まさかオカルト研究部のことか?噂に聞いたことはあるがまさか実在していたとは
P「真壁…瑞希」
この名前には見覚えがある
うちのクラスにいる女生徒だ
一度も話したことない筈なんだが…一体真壁さんが俺に何の用なのだろう
まあ、行ってみれば分かるか
美奈子「周防くん」
最近は気配を消して俺の後ろに立つ佐竹さんにも慣れてきたので驚くことも無くなった
P「どうした?」
美奈子「今日もね」
P「あーごめん、今日は用事があるんだ」
美奈子「…じゃあ私、待ってるね」
P「どのくらい時間かかるかわからないし大丈夫だよ、佐竹さんは先に帰ってて」
美奈子「…わかった、でも」
P「?」
美奈子「あんまり遅いと、迎えに来ちゃうかも」
P「この辺りの筈なんだが…」
地図に書かれた教室の前に辿り着くも特に部活動であることを示すものは何も無い
しかし地図は確かにこの教室を示している
P「…ここで良いのか?」
何にせよ確認しなくては始まらない俺は扉に手をかけ、スライドした
扉を開けると暗幕に包まれた部屋が視界に入る
…ビンゴか
辺りを見渡すと如何にもな雰囲気の小物が沢山ある
どうやらここがオカ研で間違いないようだ
P「すいません、真壁さんいますか?」
声をかけてみるが返事はない
P「いないのかな?」
鍵をかけていないのは不用心だな
誰も居ないなら帰ろう、俺はそう考え踵を返そうとした時だった
「…お待ちしてました、周防さん」
女の子の声が聞こえてきた
瑞希「はい、私が真壁瑞希です…すみません、少し着替えをしていました」
P「あ、着替えてたのか」
迂闊に奥に行かなくてよかった
P「早速本題なんだけど」
瑞希「呼び出された件ですね」
P「ああ、なんでオカ研に呼ばれたのか分からないんだ」
瑞希「それを説明するには役者が足りません、もう少し待っていてくだい…すぐ来ます」
真壁さんの言葉のすぐ後に
「ご、ごめんなさい、お、遅くなっちゃって…」
P「君は…」
見覚えのある人物がオカ研へやってきた
乙でした
可憐「あっ、Pさん、き、来てくれたんですね」
オカ研に来たのはかつての同僚で今のクラスメイト、篠宮可憐だった
俺がプロダクションを辞めて以来疎遠になっていたのだが…
P「どうして可憐が?」
可憐「そ、その…実は…」
瑞希「篠宮さんには霊感があります」
P「霊感って…幽霊とかが見えるっていう?」
可憐「は、はい、わ、私は見えるわけでは無いんですけど…に、匂いが…」
P「匂い?」
可憐「は、はい、幽霊の匂いがわ、わかるんです」
可憐「それは…その…」
瑞希「篠宮さんは周防さんから霊の匂いを感じたそうです」
P「えっ、俺なんかに取り憑かれてるの?」
可憐「い、いえ、匂いの元はPさんでは無いです」
瑞希「匂いの元となる霊は巧みに匂いを消しているようで、篠宮さんにも察知できないそうです………強敵」
P「ただ、俺からは霊の匂いがすると?」
可憐「はい…それも非常に強力な悪霊の匂いです」
P「悪霊か…」
あまり現実味が無いからかな
ただ真壁さんや可憐が本気なのは伝わってくる
P「えーっと、結局俺はどうすれば良いんだ?」
瑞希「そうでした、では、本題に入ります」
瑞希「最近変わったことはありませんでしたか?」
P「変わったことか…」
記憶を辿ってみるが思い当たらないな
P「いや、特には」
瑞希「…そうですか」
可憐「その…と、とても恐い匂いがするので、心配です」
P「わかった、ちゃんと伝えるよ」
可憐「お願いします…」
瑞希「周防さん」
P「?」
瑞希「私の方でも色々と調査しますので」
P「ありがとう真壁さん」
瑞希「いえ…では周防さん、お気をつけて」
そんなに時間は経っていないものの佐竹さんからの着信が37件あった
どうやら心配させてしまったらしい
P「早く行かないとな」
俺は靴を履き替えて佐竹飯店へ向かう
最近聞こえるあの歌…結構スキなんだよな
佐竹さをの料理と最近佐竹さんの家で聞こえる綺麗な歌に期待しながら、俺は歩いて行った
乙
というよりすでに憑りつかれてるのでは?
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