ちなみに千早の哲学の小路にはタンポポが咲いています。
いや、流石に最初は不安だったけどな。でも意外と性に合ってたみたいで楽しかったかな。
じゃあ誰かに殺されて偽装工作、とか
ははは、ミステリーの読みすぎたなあ、千早は
…どうして隠すんですか?
はい
帰り道に綺麗な石が落ちていた。それで、それを拾い上げた。
ええ
綺麗だなあって石をひっくり返すと、裏には『[ピーーー]』ってびっしり書いてあったんだ。
しかも、それどう見ても自分の筆跡でさ。いやあれは吃驚したなあ。怖くなって川に捨てたんだけど、次の日出勤したらロッカーに入ってたときも吃驚したけどなあ。それも一個じゃなくて何十個も。もうロッカーぎっしり。途方に暮れた。
…
そんなこといっぱいあって、気づいたら包丁で自分の首切ってた。血がすごかったよ、あれ。すげー痛いし。おすすめしない
おすすめされても困りますけどね
はい
うん...で、今度は俺の方が聞きたいんだけど、なんで千早には俺が見えるんだ?
それこそ私が聞きたいです。おかげさまで私は病院送りです。
まあ、死んだ人がいるとか言っちゃったらなあ
千早は俺のこと、妄想だとか思わないの?
難しい質問です。そう断じてしまうことに躊躇も感じますし。
躊躇?
意味は、プロデューサーが考えてください。
うん
P「うん」
千早「本当にあれで申し訳ないんですが」
P「うん」
千早「ただ思い出してしまったもので、話さずにはいられないというあれですね」
P「うん、とっとと話しなさい」
千早「はい。昔、どういう経緯か忘れましたけども、春香に、宇宙人と折り紙折ったことあるって嘘をついたことがあります」
P「なんでまた」
P「うん」
千早「入院してるときに考えたことがあるんです」
P「聞こう」
千早「はい。人は、自分の能力の範囲内でできることであれば、何かを変えて欲しいという要求には前向きに応じるものです」
P「うん」
P「ほうほう」
千早「だからですね、誰かを何とかしたいと思うのであれば、『どのような変化を望んでいるか』への答えを十分に考えておくことで、建設的な話し合いに持っていくことができると思うんです」
P「なるほど」
千早「だからといって、私の望む結果が得られるという保証はありません。でもそうすることで、対等なコミュニケーションという最適な立場に立つことができるんです」
P「パーフェクトコミュニケーションってやつか」
P「うん」
千早「それは、私の考えたことは全部無駄になったと言うことではないでしょうか?」
P「いきなり殴るのやめてよ」
オマエガナー
日本語できる?
ζ*°ヮ°)ζ<17ねん!
千早「はい、千早です」
P「さっきまで千早がいない気がしたんだ...でもちゃんといたよな?」
千早「...プロデューサー、いいですか?あのですね、誰かが空に穴を空けてしまったんです。だからもうお別れです。私はもうすぐそこへ消えていきます」
P「ああ...うん...?」
千早「プロデューサーは怖くないですか?」
P「怖いというか...俺には千早が何を言っているのか判らないんだ」
千早「そうですか」
P「ああ」
千早「はい」
P「ぶっちゃけ、割と今の俺はおよそそんな感じだ」
千早「はい」
千早「ここは、いつも私が歌っていて、まだアイドル候補生だったころからボイトレしていた公園です」
P「…公園?病院の中な気がするけど」
千早「…公園でした」
P「うんまあそうだね...あれ、なんか落ちてる」
千早「…落ちていました」
のわの
P「それは春香の」
千早「はい」
P「元のところに、戻そう」
千早「はい」
千早「…」
P「...それ、欲しいのか?」
千早「…はい」
P「じゃあ、一つだけ」
千早「…いいんですか?」
P「いいよ」
千早「プロデューサーは許してくれるんですか?」
P「そうなるかなあ」
千早「はい、ありがとうございます。プロデューサーだと思って大事にします」
P「いや、どう思っても俺じゃないと思うけど」
P「ああ、突然出てきたな。千早、座りたいのか?」
千早「ええ、なんだか…」
P「うん」
千早「これ、意外と重いんです」
P「重いのか」
千早「はい。あと、タイガーバームの匂いが少し」
P「すーっとするあれな」
P「…また千早の言っていることが判らなくなった」
千早「じゃあ、例えばあるとします。私がそれを取ろうと手を伸ばすと、アフガニスタンが爆発します」
P「…」
千早「…」
P「いや、しない」
P「…さっきのより少しは判る」
千早「でも、タイガーバームは爆発しているので、もう冷蔵庫の上にはありません」
P「さっきからどうしたんだ?俺は千早の言ってることが全然...」
千早「...プロデューサー」
P「さっきから全然...というか、俺には何にも判らないんだ。だからもう、このまま、消えていくんじゃないか?...そう思ったらなんかすごく怖い」
P「...」
千早「大丈夫です。怖くありません」
P「...」
千早「プロデューサー、私の言うこと判りませんよね?でも、ちゃんと聞いてください。大丈夫です。だって、怖くありませんから。だって、ただプロデューサーには判らないだけなんです」
P「...ああ、そうだったな」
千早「いいですか?線を、引くわけです」
P「線を...?」
千早「引いてください...そうです」
P「…こっち側は?」
千早「…ファンの皆様です」
P「…なら、そっち側」
千早「…グラウンドの白線です。野球部の新入部員が引いています」
P「…」
千早「…」
P「…ああ」
千早「はい」
P「なんだか判ってきた、気がする」
千早「はい」
千早「はい。線を引いている間、「いつか絶対試合に出るのだ」と思いながら三年間引き続けるんです。」
P「でも、三年生になった彼は新入部員だったときのそれとは段違いに綺麗な白線を引くことだろうな」
千早「彼が最後に引いた白線は何かを超えてしまってもう絶対に消えなくなりました」
P「消えないな」
千早「どんなに激しい試合だろうと」
P「どんなに土砂降りの雨の日だろうと」
千早「…でも」
P「…ああ。アフガニスタンが爆発したら…消えるかな」
千早「難しい質問です」
P「俺もそう思う。けど、千早の答えを知りたいん...」
…
千早?
俺は誰かといたと思ったら、一人で何か言っていたんだなと思った。
ただ、空に紫色の穴が空いていて、怖くはないけど、ただ不思議なことだと思った。
あと誰かとこんなことを話したかなと思った。
でも勝手に消えた…と言ってもそれは消えたからもうどんなものかも判らないのだけど…それでもそんなものがあると信じているなら、それは消えているのかいないのか、俺にはよく判らなかった。
そして、何も判らないまま、俺も消えていくような気がした。でも、そうではない、と誰かに言われたような気もした。
だから、目をつむることにした。
千早「こんにちは」
P「えっ」
千早「?どうしたんですか。」
P「いやいや」
千早「はい?」
P「あのさ、いま、もう終わる雰囲気だったじゃないか」
千早「終わる?終わるって何ですか?私にはそれこそ判りませんね」
P「うわ、めっちゃくちゃニヤニヤしてる。それ感じ悪い。千早の感じが悪い」
千早「『こんなふうに大切な何かがいつのまにか消えていて...』」キリッ
P「ちょ、やめ」
千早「『何も判らないまま、俺も消えていくような気がした...』」キリキリッ
P「あばばばば」
もう二度と書かなくていいと思うよ
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