JAXA 宇宙航空研究開発機構
筑波宇宙センター
真美「ハロハロ~! まだまだ寒い日が続いてるけどみんな元気~? 真美は 双海真美だよー!」
貴音「宇宙、それは人類の知的好奇心を飲み込む大洋……今宵もまた、日本、そして世界の宇宙開発についての知識を深めてまいりましょう。四条貴音です」
真美「さてさてー! 先週は、えーと、ゴダードのおっちゃんとツィオルコフスキーのおじいちゃんのお話で終わってたね」
貴音「そうですね。お二人なくして、現在のロケットは……と、言いたいところですが、あと一人、触れておくべき方が。真美、覚えていますか?」
真美「そ の ま え に! テレビの前のにーちゃんねーちゃんにごめんなさいのお知らせだよー」
貴音「このコーナーのタイトル、前回は『宇宙航空開発局』だったのですが、ディレクター殿の手違いでして、実際は『宇宙航空探求機構』が正解だそうです」
真美「ごめんね!」
真美「JAXAでお仕事?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437824429
真美「またJAXAでお仕事?」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438436998
真美「JAXAでお仕事!あかつき君頑張れスペシャル!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449414904
真美「双海真美とー」貴音「四条貴音の」 「「生っすか航空宇宙開発局!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486304273/
真美「んで! 先週の続きっていうけど……誰だっけ、戦隊ヒーローの色みたいな……フォン・レッド!」
貴音「赤から順に言えばいつか当たりますね……正解はWernher von Braun。ヴェルナー・フォン・ブラウン。フルネームですと……ヴェルナー・マグヌス・マクシミリアン・フライヘル・フォン・ブラウン」
ヴェルナー・フォン・ブラウン:http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/werner_von_braun.html
真美「な、なんか長くない?」
貴音「フォン、はドイツ語で、貴族またはその子孫であることを示す言葉ですね」
真美「貴族?! んじゃあこんな頭してたの?!」
こんな頭→;http://www.aderans.co.jp/kamiwaza/zoumou/wig_middle_ages_17th/
貴音「それはさすがに……ちなみにフライヘルは日本語に直すと〈男爵〉ですね。つまり、ブラウン男爵ということです」
真美「男爵……そんなすごい人が、ロケットと何か関係あるの?」
貴音「この方は、現在の液体ロケットの祖先を作り上げた中心人物です」
真美「祖先?! じゃあ、あのH-Ⅱのひいひいひいひいおじいちゃんなの?!」
貴音「まあそんなところです。しかし、そのロケットは、今のロケットとは違う使われ方をしていました」
真美「どゆこと?」
貴音「真美、今のロケットの先端には、何が乗せられていますか?」
真美「何って、じんこーえーせーでしょ?」
貴音「そうですね。しかし、フォン・ブラウンが開発したものは、違うものを乗せていました」
真美「違うもの?」
貴音「彼の開発したロケット、A-4……いえ、∨-2号の頭部には980kgもの爆薬が詰められていたのです」
V-2ロケット:https://ja.wikipedia.org/wiki/V2%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
真美「爆薬?! そんなの積んだら危ないじゃん!」
貴音「当然です。∨-2ロケットは、人類史上初の軍事用の液体ロケットであり、弾道ミサイルなのですから」
真美「だんどーだんって、あれでしょ、あの、あっちの、将軍様の」
貴音「その通り、ヨーロッパ大陸の森林の中から、海を飛び越え、遠くイギリスはロンドンを攻撃するための兵器だったのです」
真美「兵器……」
貴音「もちろん、フォン・ブラウンも最初から弾道ミサイルを開発するつもりはなく、あくまで彼は宇宙に行くためのロケットを開発したかったのです」
貴音「彼はヘルマン・オーベルトと共に液体燃料ロケットを、将来の宇宙旅行のための研究を続けていました。
ヘルマン・オーベルト:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88
貴音「しかし、ロケットと言うものの兵器転用を考えたドイツは、彼にバルト海に面したペーネミュンデでのミサイル開発を命じました」
真美「……」
貴音「∨-2のVは∨ergeltung。日本語だと報復という言葉になりますが、そのような名前のミサイルを、彼はナチスの厳しい監視のもと、開発し続けました」
貴音「どうしました? 真美」
真美「じゃ、じゃあ、今、真美達が見てきたロケットも、ミサイルになっちゃうの?」
貴音「ロケットと弾道ミサイルの違いは、頭部に何を乗せ、どこに向かうか、です」
真美「そうなんだ……」
貴音「真美、それに視聴者の皆様。科学技術というのは、軍事も、民間も無いのです、要は使い方次第。これだけは、忘れないで下さいね」
貴音「ロケットの始まり、それは兵器から始まった、ということで前半は終了です。CMの後もフォン・ブラウンの人生を追いかけます。チャンネルは、そのままで」
https://youtu.be/B8R45ybG248
三菱重工テレビCM 「Search for MHI」
https://youtu.be/fKzdB3RsQrw
MITSUBISHI ELECTRIC CM / JAXA
https://youtu.be/U9D-PoPs5r4
サントリー BOSS 宇宙篇
https://youtu.be/mtCU__YiA5w
貴音「ちなみに、∨-2がロンドンに初めて着弾した日、フォン・ブラウンはこう言ったそうです『ロケットは完璧に動作した。しかし間違った惑星に着陸した』と」
真美「間違った惑星?」
貴音「そう、彼が目指すロケットは、地球を飛び立ち地球に落ちるのではなく、遠く宇宙空間を目指すもの。フォン・ブラウンは戦時下でも、その夢……いえ、野望を抱くことを止めていなかったのです」
真美「でも、そんなこと言ったら」
貴音「ええ、もちろん彼が宇宙へ行くためのロケットの開発を諦めていないことはナチスの秘密警察に嗅ぎつけられていましたので、その件で逮捕されたりしていますが、最終的にはヒトラー総統自らとりなして釈放させています……が、先程の発言は、その後だそうで」
真美「懲りない人なんだね」
貴音「信念が強い人なのですね。最終的に、ドイツは敗戦、フォン・ブラウンは何人かの仲間と、∨-2ロケットの資料などと一緒にアメリカへ渡りました」
真美「アメリカに?」
貴音「はい。そこで彼は、アメリカが接収した∨-2ロケットの打上げ実験、それを改良、大型化した弾道ミサイル<レッドストーン>、そしてアメリカの初の人工衛星<エクスプローラー1号>を打上げた<ジュピターC>ロケットの開発に従事しました」
レッドストーン:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)
エクスプローラー1号:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC1%E5%8F%B7
ジュピターC;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%94%E3%82%BF%E3%83%BCC
真美「ついに夢がかなった!」
貴音「いいえ、彼はこの程度で満足していません。彼は最終的に、月へ人類を送り込む事を夢見ていたのですから」
真美「あ! アポロ計画だ!」
貴音「そう。エクスプローラー1号の成功の後も、フォン・ブラウンはアメリカの宇宙開発の中心人物として計画を主導。彼は最終的に、その夢を実現させるロケット、<サターンⅤ>の開発に成功しました」
真美「せがた三四郎……」
貴音「また古いネタを……誰に聞いたのですか?」
真美「え? にーちゃんが言ってた。何かサークラさ~んとか言いながら」
セガサターン(サクラ大戦2~君、死にたもうことなかれ~):https://youtu.be/I428SsJlRF4
貴音「全く……」
真美「セガサターンしろ!」
貴音「さて、フォン・ブラウンはその後、NASAを離れてフェアチャイルド社という航空機メーカーの副社長、そして米国宇宙研究所を創立して、その活動のさなか、65歳でこの世を去りました」
真美「なんていうか、すごい人生だね……」
貴音「ある人は、フォン・ブラウンを『忠誠が便宜に支配された男』と評しています」
真美「……どゆこと?」
貴音「もちろんこれは、アメリカ人から見たフォン・ブラウン評ですが……ドイツに居た頃は、ドイツが勝つための弾道ミサイルを作り、アメリカに来てからはアメリカのためのロケットを作る、という行動が理解できなかったのかもしれませんね」
真美「裏切り者、って感じなのかな?」
貴音「フォン・ブラウンのそれは、執念、あるいは野望と言えるかもしれませんね。彼は後年、こんなことを言っていたそうです。『宇宙に行く為なら悪魔に魂を売り渡してもよいと思った』」
真美「悪魔に魂を?!」
貴音「そう、彼は自分の魂を通貨としてでも、宇宙へ行きたかった……彼自身が宇宙へ行くことは叶いませんでしたが、彼は間違いなく、人類を宇宙へ送り出したのです……まあ、一番乗りはソ連だったのですが」
真美「そうなの?」
貴音「実はアメリカ史上初の人工衛星も、その前にソ連がスプートニクを打上げています。人類史上初の宇宙飛行はソ連の軍人、ユーリー・ガガーリンが行っています。フォン・ブラウンが魂を売り渡したにも関わらず、実は初期のアメリカの宇宙開発は、ソ連に遅れを取っていたのです」
真美「ソ連って何でそんなに早く出来たの?」
貴音「実は、ソ連のロケットもアメリカと同じく、∨-2ロケットを改良したものが用いられていたからです」
真美「それで、∨-2ロケットがロケットのおじいちゃんなんだね」
貴音「はい、一部例外はありますが、それはもう少し後、日本でのお話になります」
真美「日本? H-Ⅱとかは、∨-2のひ孫のひ孫のひ孫なんでしょ?」
貴音「さて、そのあたりのお話はもっと後、次回はいよいよ、ソ連の宇宙開発についてお話しましょう。主役はフォン・ブラウンでさえ名前を知らなかったソ連宇宙開発影の立役者、セルゲイ・コロリョフです」
真美「どんな人なんだろうね?」
貴音「この方も中々の経歴をお持ちですよ。それと、ゲストにあのお方が来ます」
真美「あのお方?」
貴音「それは来週のお愉しみ……それでは、今日はこの辺りで。最後はフォン・ブラウンの残したこの言葉で終わりましょう」
貴音「宇宙開発は、宇宙の広い未知の領域を探検するための、単なる手段以上のものをもたらす」
貴音「この事を忘れないでほしい。宇宙開発は、この地球上の生活を豊かにすることのできるものであり、その未来への可能性には、限りがない」
真美「以上ー! 双海真美と四条貴音の生っすか航空宇宙探求機構のコーナーでした!ばいばーい!」
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