冬将軍「やあやあ我こそは冬将軍也」
瑞希「冬将軍さんですか」
冬将軍「如何にも。その方は名を何と申す」
瑞希「真壁瑞希と申します」
瑞希「ありがとうございます、両親に感謝しています。冬将軍さんは、名前ですか?」
冬将軍「うむ。冬将軍として産まれし冬将軍其の物である」
瑞希「冬将軍さん……カッコいい名前ですね」
冬将軍「そうであろうそうであろう、余も此の名を誇りとして居る」
瑞希「冬将軍さん、その服は鎧ですか?」
冬将軍「如何にも、六花箔押雪達磨兜に雪化粧塗氷柱威竃蔵胴具足である」
瑞希「とても強そうです」
冬将軍「そうであろうそうであろう、余も此の鎧を誇りとして居る」
瑞希「もしかして、腰のそれは」
冬将軍「余の宝刀であるぞ。神居古潭の名工、霜柱樹氷の鍛えし一振り。銘をして雪崩颪吹雪丸と云う」
瑞希「すごい輝きです……ぴかぴか」
瑞希「東京の765プロから、PV撮影で来ました」
冬将軍「ぴぃぶいとな」
瑞希「PVです」
冬将軍「其は何する物ぞ」
瑞希「音楽に合わせた映像を撮ります」
冬将軍「……えーぞーとやらは、獲れるのか」
瑞希「撮れます」
冬将軍「日に如何程獲れる」
瑞希「物にもよりますが、今回は一週間ほどで一本を」
冬将軍「……えーぞーとやらは、この辺りに成るのか」
瑞希「そうですね、監督の意向次第ですがこの辺りになりそうです」
冬将軍「旨いのか」
瑞希「有名だと聞いたので、きっと上手いです……ワクワク」
冬将軍「……ふむ。余もそのえーぞーを所望するぞ、賞味したい。此れへ持て」
瑞希「今はまだ出来上がってないので、手元にないです」
冬将軍「出来上がっておらぬのか。作っておるのか」
瑞希「はい、作っている最中です」
冬将軍「一週間と申したか」
瑞希「はい」
冬将軍「良し、暫し預けるぞ。きっと味わわせろよ」
瑞希「はい、冬将軍さんも楽しみにしていて下さい」
???「おーい瑞希ー」
P「おーい瑞希ー」
瑞希「プロデューサー、私はここです。おーい、おーい」
P「おーい瑞希ー、……ぞー」
瑞希「プロデューサー、よく聞き取れませんでした。もう一度お願いします」
P「おーい瑞希ー、早……ゃうぞー」
瑞希「プロデューサー、どこですか? おーい、おーい」
P「おーい瑞希ー、早く……ないと、……じゃうぞー」
瑞希「プロデューサー、もう一度お願いします。もう少しで聞き取れそうな」
P「おい、瑞希!早く起きないと、死んじゃうぞ!!」
???「っ、目を覚ました! 気が付いたぞ!!」
???「おい、分かるか!? 喋れるか? 体は動くか!?」
瑞希(目が、霞んで、ぼやけて……誰、でしょうか?)
???「早く下も掘り出せ! このままじゃ……!」
???「お、おい! こっちにもう一人埋まってるぞ!?」
???「早く掘り出せ!! おい、おいあんた頑張れ! ツレもすぐ出してやる、もう少しだからな!」
瑞希(ツレ……プロ、デューサー)
???「せーの、よいしょー! もう一回、せーの、よいしょー!!」
???「とにかく暖めねえと……!」
???「! こっちも生きてる、生きてるぞー!!」
瑞希(眠いな……うとうと)
???「おいあんた! もう少しの辛抱だ、今はまだ寝るな!! おい!」
瑞希(……)
???「……い! ……!」
瑞希(……ぐぅ)
医師「……目が覚めまし……ね。……の調子はどうですか? どこ……痛い所や、お……しな所は?」
瑞希「は、い。少し体が重いですが、何ともないです」
医師「問題な……うですね。何があったかは覚え……いますか?」
瑞希「……?」
医師「ああ、起きてす……のに色々と話し過ぎでし……た午後に来ます、今はゆっくりと休んで下……」
瑞希「は、い。ふぁあ……うとうと」
医師「あはは、それじゃ……さい……」
瑞希「ぐぅ」
瑞希「……あ。プロデューサー」
P「み、瑞希か? どこだ? 寒いんだ、どこにいるんだ?」
瑞希「プロデューサー、私はここです。早く湖から上がって、こっちの焚き火に来て下さい。暖まりますよ」
P「どこにいるんだ瑞希? どこに焚き火なんて……寒い、寒いよ」
瑞希「プロデューサー、こっちです。そっちは反対です、こっちです」
P「こっちか? それともこっちか、どこだ瑞希?」
瑞希「プロデューサー、こっちです。こっちですよ、こっちですプロデューサー」
P「寒い……寒いんだ、もう動けない、寒い……」
瑞希「プロデューサー!」
医師「おはようございます。ああ、待たせてしまいましたか?」
瑞希「あの、プロデュー……私と一緒にいた男性は」
医師「……まだ目を覚ましません、ですが心ぱ」
瑞希「部屋はどこですか、プロデューサーはどこにいるんですか」
医師「あ、ちょっ!? まだ立ち上がっちゃ」
瑞希「プロデューサーの部屋は、どこですか」
医師「む、向かいの」
瑞希「ありがとうございます。……っ」
医師「あっ待ちなさい! 動けるような体じゃないんだから、ベッドで休んでいないと!」
瑞希「分かりました。では先生が、私をプロデューサーの所まで連れて行って下さい」
医師「ダメだ、と言ってもこっそり抜け出しそうですね。分かりました、車椅子を用意するので少し待っていて下さい」
瑞希「早くお願いします……早く」
瑞希「プロデューサー、聞こえますか?」
P「……」
医師「私は部屋の外で待っているので、何かあったら声をかけて下さい」
瑞希「先生、ありがとうございます。プロデューサー、プロデューサー、聞こえますか?」
P「……」
瑞希「プロデューサー、私はここです。私の手の熱、感じていますか?」
P「……」
瑞希「プロデューサー、こっちですよ。プロデューサー、私はここです、こっちですよ」
P「……んが」
瑞希「! プロデューサー、プロデューサー。先生、目を覚ましました、覚め、目をっ」
医師「目が覚めましたか。真壁さん、私は彼と話があるので病室へ、ああ君、この子を向かいの部屋まで」
看護婦「はーい先生」
瑞希「あの、先生」
医師「はい?」
瑞希「……よろしくお願いします」
医師「はい、任せてください」
看護婦「さ、戻りましょうねー」
P「瑞希も人の心配してる場合じゃないだろう」
瑞希「私はもう元気いっぱりです……いっぱいです」
P「ははは、呂律も回ってないじゃないか」
瑞希「む、少し噛んだだけです」
P「俺ももうすっかり元気だ。流石にそろそろ退院しないと、仕事が溜まってそうで怖い」
瑞希「プロデューサーは雪崩に飲まれたんですから、もう少しゆっくり休んでも」
P「他人事みたいに言うけど瑞希もだからな? それにしても災難だったよなあ」
瑞希「スタッフの皆さんも、無事だったそうで何よりです……ほっ」
P「不幸中の幸いって奴だな。本当に死人が出なくてよかった」
瑞希「はい、本当に」
P「……なぁ、瑞希」
瑞希「?」
P「ありがとな」
P「ああいや、こっちの話だから気にしないでくれ」
瑞希「しました」
P「!?」
瑞希「プロデューサーが目を覚ます前、手を握って、何度もプロデューサーを呼びました」
P「……うん、聞こえた。呼ばれた」
瑞希「生きて帰ってきてくれて、ありがとうございます」
P「あはは、どういたしまして。瑞希も生きて帰ってきてくれて、ありがとう」
瑞希「どういたしまして。それと、ありがとうございます」
P「? それは何のお礼?」
瑞希「プロデューサーが起こしてくれたお礼です」
P「俺が起こした?」
瑞希「はい。あ、こっちの話です」
P「ふー、ん……?」
看護婦「どういたしましてー、今度は病院の外で会いましょうね!」
瑞希「あとお礼を言わなきゃいけないのは……あっ」
P「瑞希ー、そろそろ出るぞー」
瑞希「冬将軍さん」
P「冬将軍? ああ、これからどんどん寒くなるだろうなー、今日辺り攻め込んでくるかもなー」
瑞希「そうですね、その前に先手を打たないと……プロデューサー、少し寄って欲しい所があります」
P「いいけど、どこだ?」
瑞希「プロデューサー、送ってくれてありがとうございます」
P「っていうか、なんでまたここに戻りたかったんだ? 俺なんてトラウマになっちゃって足震えてるぞ」
瑞希「ある方と約束をしたので……遅くなりましたがここで撮ったPVのDVDです。じっくりとご賞味く、わわっ」
P「ぅわぷ!? ……凄い風だったな、もう用は済んだのか?」
瑞希「はい、風にさらわれましたけど、多分渡せたと思います。それでは帰りましょうか」
P「ああ、暖かい事務所に帰ろう。シートベルトしたか? よし、出すぞ」
瑞希「……冬将軍さん。見逃してくれて、ありがとうございました」
冬将軍『良き哉』
瑞希「さようなら……また、いつか」
終わり
乙です
>>1
真壁瑞希(17) Da
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