P「……」カタカタ
真美「ねー兄ちゃん。勉強教えてー」
P「……んー……。ん?宿題?」カタカタ
真美「数学ですよ、数学!」
P「あんまり得意じゃないんだけどなぁ…どれどれ」
真美「中学レベルなら楽勝っしょー」
P「……これ基礎問題じゃないか。これぐらい解けなくてどうする」
真美「いやいやチョー難問だよ君ィ。このスーパーアイドル真美様が解けない程の問題なんだから」
P「比例グラフも解けないスーパーアイドルが居たとはなぁ……」
P「ほれ、シャーペン貸せ。このP様が直々に教えて進ぜよう。そこに直れ」
真美「はっこちらで御座います上様」ササッ
真美「……あ」
P「こうなるわけだ。ん?どした」
真美「兄ちゃんって左利きなんだね」
P「ん?あぁ。……そういえば真美も」
真美「うん、左だよー」ヒダリテクビクイクイ
P「おー。一緒だな」オナジククイクイ
真美「えへへ。一緒だね」クイクイ
小鳥(真美ちゃん可愛い)カタカタ
真美「そーそー! 左手の小指の付け根がまっくろくろすけになっちゃうよね」
P「でも国語だと右から左に縦に書くから大丈夫だよな」
真美「何で国語は右から左なんだろ」
P「さぁ。俺も分からん」
真美「昔の人は左利きが多かったのかなぁ」
真美「そだよー。ご飯も左だし、野球も左投げ左打ちだし、全部左かな。兄ちゃんは?」
P「俺は両利きに近いかな。字と飯は左、野球も真美と一緒だけど、テニスとか卓球は右だし、書道も右だ」
真美「えぇ?何でそんな無茶苦茶なの?」
P「んー……時代なのかなぁ。俺のガキの頃は、左利きは右利きに矯正させられたもんなんだよ」
真美「そうなの? 真美はそんなこと全然言われたことないけど」
P「ま、社会は右利きで成り立ってるところがあるからな」
P「逆にスポーツ選手は左有利が多いから、右を左に矯正する場合もあるらしい。巨人の星の星飛雄馬とか」
小鳥(プロデューサーさん、例えが古すぎです! せめて五輪代表の卓球の水谷選手とか言いましょうよ)カタカタピヨピヨ
真美「大リーグボールの為だからちかたないよね」
小鳥(分かるんかい!)
真美「そだねー。電車の改札とか?」
P「あーあれな。右じゃ切符も入れにくし、タッチもしにくいから困るんだよな」
真美「ねー」
P「といって左手で入れようとすると手がクロスして入れにくいし」
真美「真美は左で入れてるよー体ちょっと右にひねってサッと」
P「おーやりよるな」
真美「そのままくるっターンしながら改札通ってみたくなっちゃう」
小鳥(スカートだと大変なことになっちゃうわね)ピヨピヨ
真美「うん。だからぶつけないように、隅っこ左側に陣取るよね」
P「この間のオールスターライブの打ち上げで店に入った時、長テーブルに座っただろ?
あの時ど真ん中に座っちゃってなぁ。左隣が伊織だったんだけど、しこたま怒られたっけか」
真美「『アンタ腕が邪魔! もっとひっこめなさいよ!』」
P「おー似てる似てる。そんな感じだった」ハハハ
真美「ちなみにあの時、真美はすぐ左隅っこを確保してたよー」
P「おーさすが。次からは真美の隣に座るわ」
真美「えっ? あっ、うん、そうだね」
小鳥(おやおや)
P「765プロだけでいっても16人中2人だから、大体あってるな。統計学ってすげー」
真美「ふーん。……兄ちゃんと、真美だけなんだね」
P「ああ。真美と俺だけだ」
真美「一緒だね」
P「一緒だな」
真美「えへへ」
小鳥(なんなのなの)
P「ま、生まれつきを直すなんてのは土台無理な話ってことだよ」
P「書道も右って言ったけど、名前書く時に使う小筆はこっそり左で書いてたからな」
真美「へー」
P「右で書こうとすると腕がプルプルしちゃって、ミミズが這ったような字になるんだこれが」
真美「んじゃ筆ペンも?」
P「あたぼうよ。右なんか使ってられっかい」
小鳥(プロデューサーさんの下半身の大筆は……どっちで握ってるんですかねぇ……なーんて)ピヨピヨ
P「あ、それは右です」
小鳥「!」
小鳥(両方使い……真美ちゃんが両刀……)ピヘヘ
P「んーでもあんまいいもんじゃないぞ? 色々面倒くさいし」
小鳥(そりゃ男と女を相手にするわけですから。プロデューサーさんも大変ですね)ピヘヘ
真美「ゲームでも両利きだと何か強いイメージあるし。二刀流とか」
P「レフトハンドソードでいいじゃない。左専用だし」
真美「ロマサガとは兄ちゃん古いねー」
小鳥(真美ちゃん、あなたも古いわ)
P「お、鏡文字か。書けるぞ、ほれほれ」スラスラ
真美「わー兄ちゃん速い!」
小鳥(すごい……何であの速さで書けるのかしら)チラッ
真美「双子だけど、亜美は書けないんだよね。やっぱ左利きだから出来るのかな?」
P「んー謎だな」
真美「謎だね」
P「使ってる脳が違うからって話もあるけどな。左手と右手で右脳と左脳を使う方が違うらしい
左手の場合、右脳を使うんだが、右脳をよく使うと出来るようになるんだろうな」
真美「どっちが右脳? 真美わかんない」
P「こっちこっち。こっちを使っておるのだ」ナデナデ
真美「あっこっちかーそっかー。えへへ」
小鳥(あざとい!)
真美「たまーにあるけど、そんなにはないかな」
P「左右盲っていうらしいんだけどな。右と左、西と東をとっさに判断出来ないってやつ。
実は俺も左右盲なんだよ」
真美「えっそうなの?」
P「例えば車のナビで右ですとか、左ですって言われてもすぐどっちがどっちか分からないんだよ。
まず自分の利き腕がどっちだったか思い出して、左手のある方が左だなーってな具合に考えないと分からんのだ」
真美「なんだか面倒臭いね。それも左利きの特徴?」
P「んー違うかもな。両利きの特徴かも」
P「理屈は俺もよくしらないんだが、生まれつき左利きの人間が無理に右を使おうとすると、脳が混乱するらしいんだ」
真美「それで左右がよくわからなくなるってこと?サユーモーってやつになっちゃうの?」
P「別に利き腕に限ったことじゃないみたいだけどな。右利きの人でも左右盲の人はいるみたいだし」
真美「あずさおねえちゃんもそうなのかなぁ」
P「あれは左右盲とかそういう次元じゃないだろうなぁ」
真美「まだ何かあるの?」
P「吃音症っていうんだけどな」
真美「キツオン?何それ」
P「簡単に言うと特定の言葉をうまく喋ることが出来ない病気だ。これも両利きの人に多いらしいんだが」
真美「そうなの? 兄ちゃん普通に喋ってるじゃん」
P「んー実は色々苦労してるんだよ」
真美「そんな風には全然見えないよー」
P「実は俺、よく喋りはじめる時に『んー』とか『おー』とか最初に口に出すんだけど、気づいてたか?」
真美「あー。言われてみれば確かに」
P「スラスラ喋る時はいけるんだが、一回詰まるともう出なくなるんだよ。だから癖になっちゃってな」
P「プロデューサーになる前は喋ること自体なるべく避けてたな。だから友達は少ないんだこれが」
真美「彼女も?」
P「もちろん居ない」
真美小鳥(ほーん)
真美達のプロデュースをする手前、お偉いさんと話をすることは避けられない。完治は無理でも、普通に話せるようにならないとな」
真美「真美は、あんまり喋らない人好きだよ」
P「何だいきなり」
真美「だ、だから! 言葉足らずでも全然気にしないってこと!」
P「んーそっか。ありがとな」
真美「だから、その」
P「……彼女はいまんとこ作る気無いぞ?」
真美「ま、まだ何も言ってないじゃん!」
P「自分、仕事が恋人なもんで」キリッ
真美「むー」
小鳥(年齢の壁はスルーですかそうですか)
両利きじゃない?
真美「……」
P「将来の嫁さんは左利きに理解のある人がいいかな」
真美「!」
P「子どもが出来て、仮に左利きでも矯正しないし、左利きでも生きていける社会の生き方を教えてあげたい」
真美「兄ちゃん!」
P「そういう意味では、同じ利き腕の真美なら大丈夫そうだな」
真美「じゃあ真美の彼氏になってよー」
P「いまんとこ作る気ないって言ってるだろ」
真美「ちぇーつまんないの」
P「はい、左利きトークはこれで終わり。さっさと宿題やっちゃうぞ」
真美「はーい」
P「音無さんも手止まってますよ」
小鳥「! は、はぃぃ……」
貴音「貴方様」
P「おー貴音か。どうした?」
貴音「お昼、ご一緒にいかがでしょう?」
P「ん、もうそんな時間か。いつものラーメン屋でいいか?」
貴音「ええ、喜んでお供いたします」
ラッシャーセー
貴音「……」
P「おー混んでるな。えぇと場所は……真ん中二席カウンターか」
貴音「貴方様」
P「座らないのか?」
貴音「しばし待ちましょう。後数分で、あちらの席が空きます」
P「あぁ、左側の二席か。……で、何で分かるのかな」
貴音「とっぷしぃくれっとです」
P「空くなら待つけど、早く食べたいんじゃないのか?」
貴音「私、今日は端の席で落ち着いてらぁめんを食したいのです」
P「そ、そうか。じゃあ隅っこは貴音が座って……」
貴音「い、いえ! 貴方様を左隣にした上での隅の席がよいのです」
P「そうか、うん、そうしてもらえると助かるな。実は俺、左利きでな」クイクイ
貴音「ええ、存じあげております」クイクイ
春香「おはようございます、プロデューサーさん!」
P「おはよう春香。あれ、今日はオフじゃなかったっけ」
春香「たまたま近くで用事があったので来ちゃいました」
P「そうか。ま、今日は誰もいない。ゆっくりしていきな」
春香「あ、それからこれ。たまたまデパートで見かけたんで、たまたま買ってみたんですけど」
P「ん?俺にくれるの? ……おお、これは」
春香「どうですか? 左利き用のノートですよ、ノート! これで左手で字を書いても手が汚れないんですよ!」
P「ありがとな。へぇー、こんなの売ってるんだなぁ……時代は変わったもんだ。今度真美にも教えてやろ」
https://vimeo.com/147270927
春香「そんなの常識ですよーもぅ」
P「そうなのか?」
春香「あ! それからこれも」
P「おー、左利き用の即乾性ボールペン……何か色々すまんな」
千早「プロデューサー」
P「どうした千早?」
千早「私、左右の区別はすぐにつけられます」
P「それはすごいな。実は俺は」
千早「だからプロデューサーと一緒に歩むことが出来ます」
P「あ、あの千早さん?」
千早「共にトップアイドルの道を行きましょう。右でも左でも、どちらへでも。もちろん、その先へも」
P「聞いちゃいねえ」
P「はー今日も1日頑張るかな……」
P「あれ?事務所の入り口のドアノブの位置が違う……右から左になってる」
P「ん? 張り紙が。……萩原建設施工済?」
P「工事の予定なんてあったっけ。まぁいいや」ガチャ
雪歩「おはようございますぅ、プロデューサー」
P「おはよう雪歩。今日は早いなーレッスンまでまだ時間あるのに」
雪歩「早起きしちゃったんで、早く来ちゃいました。はい、お茶をどうぞ」
P「ありがとう。んーおいしい」ズズー
P「ああ、丁度ガタついてたから良かったんじゃないかな」
雪歩「いえ、ドアノブの位置です」
P「ん?あ、ああ。左側になってて開けやすくなったかな」
雪歩「それは良かったですぅ」ニッコリ
P「でも他の人が開けづらいかなーと思うんだけど、大丈夫かな」
雪歩「私は問題無かったですよ? ほかの右利きの人もきっと大丈夫です」
P「ならいいんだが。雪歩ってさぁ、俺が」
雪歩「左利きですよね? 周知の事実ですよ」
P「周知済かぁー」
亜美「兄ちゃんって左利きだよね?」
P「ああ。そうだよ」
亜美「真美も左利きだよね?」
P「そうだな」
亜美「つまり私は左利きの人の扱いに長けているということになるね」
P「そういうことになるのかな」
亜美「じゃあ何の問題もないよね」
P「何の問題なんだろうか」
P「左利きの人の寿命は右利きの人のそれより短いらしいです」
P「理由は色々あるみたいですが、右利き社会の中でのストレスが原因でなってるとか言われてますね」
P「ところがぎっちょん。どういうわけか、私の身の回りでは左利き社会が形成されつつあります」
P「通勤で使う改札の切符入れが全部左側になってたり、レストランで出されるナイフとフォークの位置が左右逆になってたり」
P「これはこれで寿命が縮まりそうです」
真美「兄ちゃ~ん、早く~! 遅れちゃうよ!」
P「すまんすまん。で、今日ステージで歌うカバー曲なんだっけ」
真美「もー忘れちゃったの?」
真美「わたしの彼は左ききだよ! 真美右利きじゃないけど!」
小鳥(だから古いって言ってんのよぉぉ~!)
麻丘めぐみ:わたしの彼は左きき
https://www.youtube.com/watch?v=h27mnsa5gzw
おわり
さらっと読めてすき
初投稿乙
左利きのあるあるを書いてみました。左利きの人なら共感してもらえるかな、と思います。
筆者も作中のPと同じく、矯正された左利き寄りの両利きです。
左利きというと天才肌とかかっこいいとか、そういうイメージだけじゃなくて苦労してるんだなーということを知ってもらえたら幸いです。
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