デレミリエム越境もの
鷺沢文香
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七尾百合子
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九十九一希
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今回はこの三人で
文香「――ふぅ」パタン
文香(良き書物でした……やはり書物に囲まれての読書は没入感が格別ですね)
ここは鷺沢古書堂。その名の通り古本を主に取り扱う書店です。
私、鷺沢文香は、大学に通いながら叔父の店であるこの古書堂のお手伝いをしています。
ですが、基本的にお客様も少なく、こうして受付で書物を読むだけの時間を過ごすことが常。
文香(経営状況が気にならないでもありませんが、この空間はあまりに読書向き。とりわけこの静閑さが――
「文香さーん!!」カランカラーン
文香(……静閑さが――
百合子「文香さん! どうかお力添えをお願いします~!」ズズイッ
文香「……百合子さん、近いです……」
最近は、少し騒々しいです。
文香「……まずは、事情をお聞かせ願えますか?」
百合子「はい……」
――
文香「――なるほど、本の感想以外の話題を持ちたいと……」
百合子「はい……ライブの反省をしてると、やっぱりMCが気になってしまって。
場に合わせたトークなんてできたらいいんですけど、それだと間が持つ気がしないんですよね……」
百合子「読んだ本の話なら3時間は即興で語れますが!」フンス
文香(この子は話題というより話し方でしょうね……)
文香「……Pさんには、相談してみなかったのですか?」
百合子「……プロデューサーさんには、一応お話ししたんですけど……」
~~
P「本以外の話題で一人しゃべりができるように? 君の課題ってそこなの? 着替えてエレナとスタジオ行ったほうがよくない?」
~~
百合子「――って言われて飛び出してきたところで……」メソメソ
文香(Pさん……)
百合子「なにか策はないでしょうか……?」
文香(……頼ってくれるのは嬉しいですが、私も口下手な人間……どうしたものでしょうか……)
九十九「話は聞かせてもらった」ヒョコッ
文香(いったいどこからいつの間に)
百合子「九十九さんこんにちはー!」
文香(疑問を持たない……?)
九十九「その話、おれに任せてもらおうか」
百合子「おお……!」キラキラ
文香「えぇ……」
文香「……あなたも舌がまわるほうではないでしょう……大丈夫ですか?」コソコソ
九十九「……問題ない」コソコソ
百合子「?」
九十九「……いいか百合子。MCといえども会話は会話。何事も事前の準備だ……要はパターンを用意して当てはめていけばいい」
九十九「会話の組み立てには自信がある」グッ
文香(ベストセラー作家の重み……)ウッ
九十九「……まずは百合子の会話力を見る。初対面の体でおれと実践してもらおう」
百合子「お願いします!」
文香(大丈夫でしょうか……)
百合子「では――初めまして、七尾百合子です」ペコ
九十九「九十九一希です」ペコ
百合子「えーっと……」
九十九「…………」
百合子「……ご趣味は?」
九十九「読書です」
百合子「あっ」
文香(瞬く間に書物の話題に……)
百合子「では、読書以外にご趣味は?」ドヤ
文香(切り返しました……!)パァ
九十九「人間観察だ」
文香(キャンプではなかったのですか)
九十九「道往く人の裏稼業をひたすら妄想していくんだ」
文香(百合子さんもう逃げて……)
百合子「すっごく楽しそう……!」
文香(そうでした同類でした)
百合子「うぅ……やっぱり難しいですね」
九十九「いきなりはハードルが高かったかもな」
文香(上げてるのはあなたですが)
九十九「……次は、おれが振る話題に対して本と絡めずに返答してみろ」
百合子「それならできるかも!」
文香(提案自体はまともなんですが……)
九十九「それでは……」
九十九「…………」
百合子「…………」
九十九「……昨日読んだ小説なんだがな」
文香(もはや何がしたいんですか)
九十九「……言っておくが、これは違うからな」
文香(なにが違うというのでしょうか……)
九十九「自分で言うのもなんだが、おれは様々な分野に精通している」
文香(本当に自分で言いましたよ)
九十九「その気になればこの件も無難にこなせるだろう……でもな」
九十九「――おれは、見てもらいたいんだ。ありのままの、おれ自身を……」ゴーストライターン
文香(今はそういう話ではないのですが……)
百合子「九十九さん……!」ズキューン
文香(そして当事者がこの有様)
文香「……しかし、九十九さんのおっしゃられることもまた真ですね」
百合子&九十九「!」
文香「……百合子さんは、このことについて、どなたかから指摘を受けたのですか?」
百合子「いえ……みなさん、こんな私でも受け入れてくださってます」
文香「……そうだろうと思いました」ニコリ
文香「……きっと、無理に隠さずとも、ありのままで接するのが最良なのだと思います。……Pさんの言うとおり、これは課題などではないのかもしれませんね」
百合子「文香さん……!」
九十九「文香……」
文香「――百合子さんは、書物を愛する百合子さんのままが、最も魅力的ですから」アルカイックスマーイル
百合子「うぅ……文香さーん!」ワー
九十九「……さすがは文香だ」ウンウン
文香(ひとつ道を提示できたようでよかったです……)ホッ
文香(――非常に疲れましたが……)ユリコサンオモイ…
文香(……しかし、こんな騒々しい時間も悪くないと思っています)
文香(この狭い書物だけの空間に独りでいて、書物に記された止まった世界だけが全てだった頃)
文香(あの頃を思えば、私にとって、彼らがそばにいてくれることは――)
百合子「じゃあ、早速話題作りのための本を探さないとですね!」バーン
九十九「……インパクト重視ならこれなんてどうだ」ドーン
百合子「これはマニアックな……!聴衆は釘付け間違いなしですね!」バカーン
文香「…………」
文香(私がそばにいてしっかりしないと……)
―完―
短いですがこれにて!
よく言われてる組み合わせですが、実際おもしろいと思います。
今回はコメディでしたけど、シリアスでも全然いけるかと。
もっと増えたらいいなー。
それでは!
この面子だと文香がツッコミになるのか
九十九先生がボケに回るとこのトリオは辛いなww
お前らしね
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