これから投稿するのはフルハウスの紹介を兼ねたお話です。
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P「おはよう諸君。よく集まってくれた」
このみ「なんか変な雰囲気ねプロデューサー」
千鶴「妙にテンションが高い気がしますわ」
琴葉「あの、私まだなんのために集まったのか知らないんですけど……」
恵美「ユニット?」
エレナ「でも人数多い気がするヨ?」
ジュリア「じゃあ映画とか演劇とかか?」
歩「というか普通にライブじゃないか?」
桃子「でもこの人数を出すぐらいのライブは二週間前にやったばっかりだよ」
可憐「それじゃあいったい……?」
P「ふっふっふ……ついに、ついにオーケーが出たんだ!」
桃子「だから何が?」
P「皆は『フルハウス』というドラマを知っているか?」
このみ「海外ドラマの? 懐かしいわねー」
千鶴「もちろん知っていますけど。なんてったって再放送を、ではなくアメリカにいるセレブの友人から聞いたことがありますわ!」
歩「あー名前くらいは」
琴葉「私も少しだけ」
P「それ以外は知らないみたいだな。では説明しよう」
フルハウスとはアメリカで放送されたコメディドラマだ。
奥さんを亡くした男と三人の娘の家にお手伝いとして男の親友と奥さんの弟が助けに来てくれるところから物語は始まる。
六人家族としてスタートし最終的に九人家族となって幕を下ろした伝説的なドラマだ。
フルハウスとはこの作品の中心である『タナー一家』はもういっぱいだ、というところに由来する。
日本でも吹き替え版が放送され大人気ドラマとしてよく知られている。
ちなみについ最近続編としてフラーハウスが公開された。
P「そして! このフルハウスのパロディ公演を行えることが正式に決まったんだ!」
このみ「うっそ!?」
歩「すごいじゃん!」
恵美「そんなすごいことなの?」
琴葉「本当に有名な作品だから、たぶん私たちのお父さんの世代は皆知ってると思う」
可憐「ほんとにすごい作品なんですね……」
P「コメディだからそんなに緊張することも無いさ。話の舞台も日本だし皆の魅力をそのままに出せるような設定に変えていくつもりだ」
エレナ「なんかおもしろそうだネ! てことはこれって役の発表?」
P「その通り!」
ジュリア「へぇー。でも男役ってのはどうするんだ? 設定を変えるって話だけど」
P「全員女性のままでやっていく。フルハウスは当然だが恋愛要素も多くてそれを無くすのは惜しいんだけどな」
桃子「それより早く誰がどの役をやるのかって話を聞かせてよ」
P「おおそうだったな。はいこれがフルハウスの登場人物のプロフィールだ。
まずは皆にフルハウスを知ってもらうためにもこっちから解説しよう。桃子もそれでいいか?」
桃子「こういうのって元の作品を尊重しながら作るものなんだしいいんじゃない?」
P「よし、それじゃ解説していこう。まずはタナー家のお父さん。ダニー・タナーだ」
ダニエル・アーネスト・タナー。愛称でダニーと呼ばれている彼はタナー家のお父さんだ。妻のパメラを亡くし三人の娘がいる。第一話では29歳だ。
彼の仕事はテレビのキャスター。おはようサンフランシスコという番組の司会をしている。そんなわけで親友と義弟に助けを求めたわけだ。
性格は真面目で過保護、それと潔癖症で掃除バカだ。抱き付き癖もあるな。
どこかずれていて色々と変な男ではあるが子供を愛する気持ちは一番。本当に良い父親だと思う。
P「こんなところだ」
歩「アタシ誰が選ばれるかわかったかも」
ジュリア「候補なんてこの中なら二人ぐらいしかいないよな」
P「次行くぞ。次はタナー家の三姉妹の長女、DJ・タナーだ」
ドナ・ジョー・マーガレット・タナー。DJと呼ばれる彼女は三姉妹の長女で一話では十歳だった。日本では小学校の四年生だな。
性格は基本的に大人っぽくおしゃれに気を配り頭もよく回る。勉強の成績も優秀だな。
作品中でボーイフレンドも結構出てきて中でもスティーブって男が準レギュラーになるほど出てきたな。
それともうもう一人DJ関連で準レギュラーとなった親友のキミーもいる。二人については後ほど。
妹や家族を大事にする立派な長女だ。才色兼備って言葉が相応しいな。
P「こんなところだ」
このみ「なるほどねぇ……」
千鶴「才色兼備で仲間思いねぇ……」
P「そこニヤニヤしない。では次は次女、ステファニー・タナーだ」
ステファニー・ジュディス・タナー。愛称はステフで一話では五歳だった。彼女の成長っぷりは本当にすごいから詳しくは調べてみてくれ。
性格は勝ち気で生意気、悪知恵がはたらくのは姉譲りだな。DJの服を勝手に着たりして喧嘩することもしょっちゅうだ。密かな姉大好きっ子だな。
そんな子だが根は真面目でいい子だ。何度も間違いを犯したり逃げ出したくなることはあっても真っ直ぐ自分に正直でいられるのは彼女の美点だな。
それと運動神経もいい。ダンスやら野球やら作品中に色々やってたな。ガールズバンドもやったし要領がいいんだろう。
キミーとは犬猿の仲でしょっちゅうからかっている。それとクマタロウと名付けた人形も大事にしてるな。口癖は超ムカつく!
P「こんなところだ。ちなみに俺が登場人物で一番好きな子でもある」
桃子「だから妙に熱がこもってたんだね」
エレナ「生意気な子ほどカワイイって言うしわかる気がするヨー!」
P「次は三女。ミシェル・タナーだ。」
ミシェル・エリザベス・タナー。登場時はまだ赤ん坊だった子だ。
性格はかなり甘やかされて育てられたせいでわがままなところもある。
ステフの影響で悪知恵や口喧嘩もかなりやるようになった。受け継がれるものなんだよな。
でも悪いところばかりじゃない。彼女の家族を思う気持ちは本物だ。
特に幼いころから父親以外の二人の父親からも愛情を注がれてきたおかげで本当に優しい子に育った。
家族からの影響を一番に受けてるのもこの子だな。小学生でパンクロックな衣装を着こなすのも彼女ぐらいだろう。
それと義弟のほうが双子を生むと話したがその子たちの面倒を見ることでお姉さんとしての心構えもできてきたな。
P「こんなところだな」
恵美「良い子だねぇ。それにお母さんの顔も覚えてないんでしょ? なんか泣けてきちゃうよぉ」
琴葉「甘やかしちゃうのもわかる気がするわね」
P「どんどんいこう。次はいよいよ二人の親代わり。義弟のジェシー・コクランだ」
ジェシー・コクラン。英語版を知っている人ならジェシー・カツォポリスと言ったほうがいいかもしれない。
途中で変更されたんだが日本語版ではずっとコクランと呼ばれていた。
職業はミュージシャン、ラジオや広告、ライブハウスのオーナーなんかもやっている。
当初は子どもの世話も苦手で一匹狼を気取っていたんだが次第に子煩悩な父親らしくなっていった。
特にミシェルをちびたんと呼んで甘やかしていたのはジェシーなんだな。ミシェルからもジェシーおいたんと呼ばれているぐらい信頼し合っている。
そしてある日、ダニーの相方として呼ばれたレベッカと出会い恋に落ちるんだ。
それまではかなりのプレイボーイだったんだがすっかり心を改めてレベッカ一筋だ。
そして二人の子ども、ニッキーとアレックスを生んだというわけだ。
それから忘れてはならないのが髪の話。プレスリーを崇拝?していることもあってか髪には並々ならぬ情熱を注いでいる。
髪のセットを何時間もしているし自分の頭が禿げる悪夢を見て飛び起きるなど髪に関してはダニーをバカに出来ないぐらいだな。
P「こんなところだ。ジェシーはほんと良いキャラで語っても語っても話題が尽きないんだよな」
可憐「ギターならやっぱりジュリアさんでしょうか」
歩「よっプレイボーイ」
ジュリア「ばっか! 何言ってんだ歩! あたしがなんでプレイボーイなんだ!」
歩「でも髪のセットとかしてるんだろ?」
ジュリア「それは歩もだろ!」
桃子「千鶴さん? どうかしたの?」
千鶴「な、なんでもありませんわよ? おほほほ、はぁ……」
ジョゼフ・アルヴィン・グラッドストーン。コメディアンを目指すダニーの親友だ。愛称はジョーイと呼ばれている。
コメディアンを目指しているとあってこの家族のムードメーカーだ。彼が笑っているおかげで皆が笑顔になる。特に子供から好かれているな。
ジェシーとも一緒に暮らすようになって親友となり一緒に仕事をすることも多い。
コメディアンとしては声真似に人形を使っての腹話術、噺家としても優秀だな。
カットして頂戴と言いながら手をハサミに見立てて切るジェスチャーを癖でよくやっている。
そしてフルハウスは恋愛要素も多いと話したがジョーイの恋人は最終的に現れなかった。悲しいなぁ。
子どもっぽい性格でアニメや漫画にキャラクターもののパジャマなんかも着てるのが原因だろうけどね。それでも良いやつなのに変わりはない。
余談だが声優はなんと山寺宏一である。ぴったりだね。
P「こんなところだ」
ジュリア「これは歩だな。間違いない」
歩「なんで!?」
ジュリア「この中で一番バカっぽいだろ?」
歩「そんなわけあるかよ! そうだよな桃子?」
桃子「ノーコメントかな」
歩「マイガ―!!」
P「では次はジェシーの恋人、レベッカ・ドナルドソンだ」
レベッカ・ドナルドソン・カツォポリス。カツォポリスはジェシーと結婚してからだな。
愛称はベッキー。最初はジェシーにそっけない態度をとっていたが情熱的なアプローチに次第に惹かれていったんだ。
夫婦喧嘩はしょっちゅうあるが基本的にジェシーが負ける。母は強しだ。
それでもジェシーを愛してて喧嘩してもその後に話し合うことを忘れない良い奥さんだ。
ダニーの相方でもあるんだが意外と野心家でもあったり、三姉妹の相談に乗って母親代わりになったりと強い女性である。
ちなみに料理はまずい。
P「こんなところだ」
エレナ「良い奥さんになりそうな人ならこの中にもいっぱいいるよネ?」
このみ「そうね。特にこの私なんてぴったりじゃない? こんなにアダルティな魅力に溢れてるわけだし?」
スティーブン・ヘイル。愛称スティーブの彼はDJの恋人として一番多く登場した。
性格は優しく運動部らしいハキハキとした好青年。レスリング部だからな。
それもあってか元々か食べ物があればすぐに食べる。食欲旺盛ってレベルじゃない。
美奈子がいたら延々と食べさせ続けるだろう。
そんな彼だがお互いの関係を見直すために別れることを選択する。
それでも良いやつなことには変わらなかった。フラーハウスではどうしてあんなことに……。
そしてキンバリー・ルイーズ・ギブラー。愛称キミーはタナー家の隣に住んでいてDJの親友であり、トラブルメイカーだ。
色々と常識離れなセンスで色々としでかしステフからも天敵扱いされている。
勉強も苦手で基本的にDJに教えてもらっている。
DJのことを心から尊敬していて大学で離れることになったときは本気で落ち込んだほどだ。
そんな彼女だが意外な才能もある。まず子どもの面倒見がいい。それにキーボードもできる。あと自動車の運転もうまい。
自分なりに考えた彼女を最大限褒めようとして思い浮かんだのは「ユニークな女性」だ。
それでもDJの一番の親友はキミーしかいないと思っている。
P「とりあえず以上が主要な登場人物の説明だ。長かったなぁ」
千鶴「お疲れ様ですわ。はいお茶のおかわりですわ」
P「おっありがとう千鶴。それじゃいよいよ誰がどの役を演じるか発表する」
このみ「ベッキーがいいベッキーがいいベッキーがいい!」
恵美「あははははっ! このみ、組み分け帽子被ってるハリーみたいじゃん!」
桃子「まぁなんでもいいけど。たぶん三姉妹の誰かだろうし」
千鶴「わたくしも子供以外なら全員できそうですわね」
エレナ「私は楽しいのがいいかナ!」
ジュリア「絶対歩がジョーイだって!」
歩「いいやジュリアこそジョーイだね! 大爆笑してやる!」
可憐「琴葉さんなら誰をやりたいですか?」
琴葉「私? 私はそうだなぁ……お父さんの役って興味あるしダニーさんがいいかも」
P「発表する。ダニー役は……二階堂千鶴!!」
千鶴「いきなりわたくしですか? で、ですが! 一家の大黒柱の役、充分に果たしてみせますわよ! おーーーっほっほっほっほゴホッゴホッ!!」
琴葉「頑張ってください千鶴さん!」
千鶴「ええ! 皆さんこのわたくしに付いてらっしゃい!」
P「では次、ジェシー役は……ジュリア!!」
ジュリア「おっし! ギター弾くんなら任せとけ!」
このみ「ジュリアちゃんが夫か。悪くないわね」
可憐「ジュリアさんかっこいいですもんね。とても似合ってると思います」
歩「嘘だろ嘘だろ……」
P「次行くぞ! ジョーイ役は……」
歩「おいおい来るなよ! 来るなよプロデューサー!
なんで口で言わないんだよ! なんで笑ってんだよ! 嫌だー! 助けてくれー!」
エレナ「そうはっ!」
恵美「させないよっ!」
歩「離せ―! 離してくれ二人ともー!」
P「お前だ、歩!」
歩「オーーマイガーーーーッ!!!」
ジュリア「だーーーっはっはっはっは!!」
P「ふぅ……歩は良いコメディアンになるな!」
桃子「お兄ちゃん、このメモのとこにコメディアンはダンサーに変更って書いてあるけど」
P「しっ! いま伝えるよりもこっちのほうがおもしろいだろ」
エレナ「やったねメグミ~!」
恵美「ヘ~イハイタッチ!」
桃子「ふふっ、そうだね」
P「それじゃあ歩は置いといて次行こう。三姉妹DJ役は……田中琴葉!」
琴葉「私ですか!? あ、ありがとうございます!」
千鶴「うんうん、琴葉はいかにも長女って感じですわよね」
琴葉「そんな私なんて……あの、プロデューサーもそう思いますか?」
P「おう。琴葉は真面目で良い子だしぴったりだと思うぞ。あとは恵美たちから積極性を学べばもっと良くなると思う」
琴葉「プロデューサー……! 私、頑張ります!」
P「よしじゃあ次は三女! ミシェル役は……周防桃子!」
桃子「まっ知ってたけどね。この中で最年少は私だし」
千鶴「桃子が娘だったらかわいがるのも当然ですわね」
ジュリア「そうだな。ジェシーとミシェルは仲が良いらしいしあたしらも仲良くしようなモモ!」
桃子「う、うん。よろしくね」
P「ちょっとな。次はDJの親友キミーだ。キミーの役は……所恵美!」
恵美「まっ親友って言ったらアタシしかいないよね! 琴葉!」
琴葉「よろしくね恵美!」
エレナ「プロデューサー! ワタシはワタシは?」
P「エレナはDJの恋人のスティーブ役だ! ちなみにここは設定を変えて三人親友ってことにするからよろしく頼むぞ三人とも!」
エレナ「もっちろんだヨ~! がんばろーねメグミ、コトハ!」
恵美「ここはいっちょトライスタービジョンの仲の良さを見せつけちゃおうかね~!」
琴葉「ふふっそうね!」
このみ「ふふふ、ここまで残った!! 次女は当然可憐ちゃんなんだから必然的に私は……!!」
P「はーいではベッキー役も可憐に決まったところで最後の発表を行いたいと思う」
このみ「……へ?」
可憐「わ、私がベッキー役なんですか? その、あの……このみさんでは」
P「いやいや色々考えた結果ベッキーは可憐が一番だと思ってな。可憐ならきっとできると信じている。頼んだぞ!」
ジュリア「楽しもうぜカレン! なんか楽しい舞台になりそうだしさ!」
可憐「プロデューサー……ジュリアさん……はい!」
P「それじゃあ最後の発表なんですが、どこに行こうとしてるんですか? このみさん」
このみ「うっ……逃げるが勝ち!! ってどうして歩ちゃんがドアの前に!?」
歩「このみさん……あなただけ逃げるなんてそうはいかないぜ」
このみ「そんなっ!? 歩ちゃんはそんな子ではないはずよ! 自分を信じて!」
歩「ダメだよこのみさん……アタシはコメディアン……だったらおもしろいことをしなきゃよ……
この展開は番組だったら『おいしい』って言うんだろ!?」
このみ「ああっ……すっかりバラエティの暗黒面に……」
桃子「えっこれ言うの? しょうがないなぁ……一緒にやろうよこのみお姉ちゃん!」
琴葉「そ、そうよこのみ。あなたは私のかわいい妹なんだから」
このみ「お姉ちゃんっ桃子ちゃんっ! くっ……私は……私は……!」
ジュリア「えーと……このジュリアおじさんになんでも言ってくれていいんだぞ?」
千鶴「このみ、あなたは優しい子で誰かを思いやる気持ちを持ってる。
それにどんなときだって全力で頑張るのがあなたの良いところですわ。自信を持って、前に踏み出すんですわ」
恵美「そうだよこのみー! 家族はこういう時団結しなきゃっしょ? 」
エレナ「そうそう! ほらこの鞄を背負って帽子も被ってサ!」
P「さぁ作っていこう! 俺たちのフルハウス。『ミリオンハウス』を!!」
このみ「ぐすっ……皆……プロデューサー! ありがとう! 私もがんばる! 私は三姉妹の次女、馬場このみなんだから!」
千鶴「こうして会議は無事に終了。ミリオンハウス製作に向かって一歩踏み出したのでした。おしまい」
このみ「って終れるかーーーい!!! なんだこの茶番はーーーー!!
なんだこの黄色い帽子とランドセルはーーー!!! もう子供役は嫌ーーーーー!!!」
このみ「超ムカつく!!」
続く
全何話かは今のところ決まってないです。
キャラ崩壊などもあると思いますがお付き合いしてくれたら幸いです。
最後にフルハウスはとてもおもしろい作品ですのでぜひ見てみてください。
それでは。
フルハウスは面白かったと思うけど細かい内容全然覚えてないな
期待
>>26 主題歌いいですよね。自分も和訳を知ってますます好きになりました
・季節は春で学校が始まったその日となります。
・千鶴、ジュリア、歩の設定は原作一話の状態での性別を入れ替えただけになります。
年齢や仕事は殆ど変りません。歩だけはコメディアンからダンサーに変えています。
・三姉妹の年齢
琴葉10歳(小学五年)、このみ7歳(小学二年)、桃子5歳(幼稚園年長)とします。
さすがに桃子を赤ん坊として扱えないのでこのみさんも合わせて変えています。
・恵美は琴葉と三歳のころからの付き合いです。幼稚園年少のときに出会った設定です。家は琴葉の家の右隣です。
・エレナは転校生としてこの春やってきたという設定です。エレナは琴葉の家の左隣に越してきたことにします。
・可憐はジュリアの高校時代の友人とします。この春に千鶴と同じ職場で働くことになって引っ越そうとしていたところ
引っ越し先が火事になり居候させてもらうことになったという設定です。
・これはそういう世界の話、ではなくこういう設定での舞台です。つまり見た目も何もかもミリオンの世界そのままです。
念のためですが補足しておきます。
・前回の話はメインキャラの決定だけで他のミリオンキャラもちょいちょい登場します。
こんなところでしょうか。それでは第一話「ごちゃまぜ家族誕生」始めていきます。
千鶴「ふんふんふ~ん♪ 朝ごはんはこれでよし、と。時間は……もうすぐ七時ですわね」
琴葉「おはようお母さん」
千鶴「あら琴葉、もう起きたの? まだ目覚ましが鳴る時間じゃないわよね」
琴葉「今日から五年生って考えてたら早く起きちゃった」
千鶴「それでしたらご飯をテーブルに運ぶのを手伝ってもらえる?」
琴葉「はーい」
このみ「お、おはようママ……」
千鶴「あら、ふふっ、おはようこのみ。あなたも早いのね。もうランドセルなんて背負っちゃって」
琴葉「このみったら昨日背負ったまま寝てたんだよ。ふふっ」
このみ「くぅ……! だ、だってこれならすぐ学校行けるでしょ? 今日から二年生だし!」
千鶴「初めての進級で嬉しいのはわかりますけど出るまでは下ろしておきなさい?」
このみ「無理だよー! だって寝てる時に放さないようにテープ貼っちゃったし」
琴葉「あっ! セロテープでこんなに!」
千鶴「嘘!? ああああ、こんなに無駄遣いして! 今すぐ剥がしなさい。琴葉も悪いけど手伝ってあげて?」
このみ「完璧な計画だと思ったのになぁ」
琴葉「まったくもう。ほら万歳して、お姉ちゃんが取ってあげるから」
桃子「おはよーママ。……お姉ちゃんたちなにしてるの?」
このみ「桃子も小学生になったらわかるわよ」
琴葉「こらこら変なこと言わないの」
千鶴「あら桃子おはよう。結局全員目覚まし無しで起きれたのね」
桃子「桃子も今日から年長組だもん」
千鶴「ふふっ偉い偉い。それじゃあ皆朝ごはんに」
ジリリリリリリリリ!!
千鶴「目覚ましを止めるのが先ですわね」
恵美「おはよー!! いやぁこの歳になってまたこの恰好をするなんてねぇ。おっ琴葉ママ!」
千鶴「……恵美ちゃん。裏口から入らないようにっていつも言ってますわよね」
恵美「だってこっちからの方が近いじゃん! フェンス越えればすぐだよ?」
千鶴「それがダメだって言ってるんですわ」
恵美「気にしない気にしない。すぅ……琴葉ーーーー!!!」
琴葉「ちょっと恵美!? そんな大声で呼ばなくても聞こえてるから!」
恵美「おお琴葉もランドセルじゃん!」
琴葉「それは恵美もでしょ! あ、あんまりジロジロ見ないで!」
恵美「だいじょぶだいじょぶ似合ってるから! それより早く学校行こっ! 今日転校生が来るらしいよ?」
琴葉「転校生?」
恵美「学級委員の紗代子のとこに先生から電話があったらしいよ」
琴葉「へぇ! どんな子かな。男の子? 女の子?」
恵美「わかんない。でも海外に住んでたらしいよ。これは見に行くっきゃないっしょ!」
琴葉「はいはいわかったわよ。それじゃあこのみ呼んでくるから」
このみ「ふっふっふ、話は聞かせてもらったわ!」
恵美「うわーこれはすごい。似合ってるなんてレベルじゃないね」
このみ「そこっうるさいわよ!」
琴葉「準備はできたの? 忘れ物は無い?」
このみ「大丈夫! それより転校生でしょ! 早く行って良い男ならキープしておかないと!」
恵美「おっわかってんじゃんチビ助。とても小学生とは思えないね」
このみ「チビ助って呼ばないで! これからおっきくなるんだから! な、なるんだから!」
恵美「これがほんとに小学生だったら可能性はあるんだけどねぇ……」
このみ「わからないでしょ!! ほんと超ムカつく!!」
琴葉「ほ、ほら! 早く行きましょう! お母さん行ってくるね!」
千鶴「二人とも今日はお客さんが来るから早く帰ってくるんですわよー!」
琴葉「はーい行ってきまーす!」
このみ「行ってきまーす!」
千鶴「ふぅ……嵐みたいな勢いでしたわ」
桃子「あれ、お姉ちゃんたちもう行った?」
千鶴「ええ。桃子も着替え一人でできた?」
桃子「それぐらい一人でできるよ」
千鶴「靴紐は?」
桃子「それはママのお仕事だから残しておいたよ?」
千鶴「ふふっはいはい。それじゃあわたくしたちも幼稚園に行きましょうか」
桃子「それよりさっきお客さんが来るって言ってたけど誰が来るの?」
千鶴「桃子もよく知ってる人が来ますのよ。帰ってからのお楽しみですわ」
桃子「じゃあ早く迎えに来てね」
千鶴「わかってますわ! はい桃子足出して……よしっと。行きましょうか!」
琴葉「まだ待つの? そろそろチャイム鳴っちゃうよ?」
恵美「もうそんな時間!? 校門で待ってれば絶対見つけられると思ったんだけどなぁ」
琴葉「先生たちの車が入るほうだったんじゃない?」
恵美「あちゃーそっちもあったか」
琴葉「とにかく教室行かないと」
恵美「そうだね」
キーンコーンカーンコーン
恵美「わわっやばい!」
琴葉「走るわよ恵美!」
恵美「ぎりぎりセーフ!」
琴葉「初日からなにやってるのかしら……」
紗代子「おはよう琴葉ちゃん、恵美ちゃん! 二人とも遅いよ!」
琴葉「おはよう紗代子! 恵美が転校生を見たいって言うから校門で張り込んでたの」
恵美「おはよー紗代子! 転校生はもう来てる?」
紗代子「さっき先生が呼びに行ったからもうすぐ来ると思うよ」
莉緒「はーいみんな席に着いてー! 今日から仲間になる転校生を紹介しちゃうわよ!」
恵美「もも先生おはよー!」
莉緒「百瀬先生か莉緒先生って呼びなさいって言ってるでしょ恵美ちゃん」
恵美「略した方がわかりやすいじゃん!」
琴葉「おはようございます莉緒先生」
琴葉「おはよう琴葉ちゃん。はいはいみんなー騒いでないで席に着く! それじゃあエレナちゃん、入っておいでー!」
エレナ「はじめまして! 島原エレナだヨー!! みんなよろしくネ!」
恵美「はいはいしつもーん! エレナちゃんはどっから来たのー?」
エレナ「ブラジルって国だヨ!」
琴葉「ブラジルって日本の裏側だよね?」
恵美「うっそめっちゃ離れてるじゃん!」
紗代子「あの、英語とか話せるんですか?」
エレナ「実は小学校に入るまでは日本で暮らしてたノ! だから英語もちょっとしか話せないヨ? ハローナイストゥミーチュー!」
恵美「今のなんて意味?」
琴葉「はじめまして、だったかなぁ。でもすごいわね!」
莉緒「はーい質問はここまで。エレナちゃんは琴葉ちゃんの隣の席ね」
エレナ「よろしくネ!」
琴葉「田中琴葉です。よろしくエレナちゃん!」
恵美「その隣が所恵美だよ~! よろしく~!」
エレナ「コトハにメグミだネ!」
莉緒「それじゃあ授業を始めるわよー」
千鶴「桃子を送ってきてから一時間。もう九時になりますわ。そろそろ二人が来る予定のはずなんですけれど……」
ピンポーン
千鶴「はいはーい」
ジュリア「おーっす千鶴ー! 久しぶりー!」
歩「いえーい! アメリカから遥々やってきたぜー!」
千鶴「ジュリア、歩! 久しぶりですわね!」
ジュリア「兄貴の葬式以来だっけ? なんにせよもう安心していいからな!」
歩「そうそう。アタシとジュリアが来たんだから百人力っしょ!」
千鶴「でも良かったんですの? 二人にはやりたいことがありますのに」
ジュリア「ギターさえあればどこでも歌えるよ。それよりも家族のピンチなんだ。協力させてくれよな」
歩「遠慮することないって。アタシら友だちだろ?」
千鶴「ジュリア……歩……ありがとうですわ!」
ジュリア「それよりちびっこたちはどこだ? 色々買ってきたんだが」
歩「えーなになに? ビールワイン焼酎日本酒ってお酒ばっかりじゃん!?」
ジュリア「こっちは大人用だよ! ほらこっち。お菓子に……かわいい熊のぬいぐるみ。あとはでっかいケーキだ。クリスマスだってこんなに買わないぜ?」
歩「アタシだってプレゼントがあるんだ。ええと……? じゃーん! バスケットボールしかも有名選手のサイン入り!」
ジュリア「おいおいAYUMUって完全にお前の字じゃねえか!」
歩「アタシがプロのダンサーになったらプレミアが付くだろ?」
ジュリア「本当は?」
歩「見栄張りましたなんにも買ってきてません」
千鶴「別にいいですわ! それより飾り付けを手伝ってちょうだい? 今日は家族が増える記念すべき日ですわ!」
ジュリア「それはいいけど住む部屋は大丈夫なのか?」
歩「そもそも二階建ての一軒家なんて日本じゃなかなか買えないよなぁ。そこんとこアメリカにいたから知らないんだけどどうなのよ」
千鶴「ね、年末ビッグ宝くじで大当たりしましたのよ……。にしても設定とはいえこんな物件簡単に買えるものじゃ……
いえいえセレブならこれぐらいの家別荘にもなりませんわよ? おーっほっほっほっほゴホッゴホッ!!」
ジュリア「まぁマンションとかアパートじゃカッコつかないもんな」
歩「いいなぁアタシも一発当てて金持ちになりたい」
千鶴「と、とにかく色々あってこの家だけは残ったんですわ。生活もお父さんの残してくれたお金もありますから問題ありません。
この話はおわり! それでええと部屋の話でしたわよね。こっちですわ!」
ジュリア「一階がリビングとダイニングキッチンに風呂場。二階に部屋が三つ。一つは千鶴の寝室で、もう一つが子供部屋。空き部屋は一つだけか」
千鶴「部屋ならもう一つありますわよ?」
歩「どこに? もう全部回ったけど」
千鶴「この階段、横に扉が付いてますわよね」
歩「あっほんとだ」
千鶴「この中、今は物置になってますけどそれを退かせば一人ぐらいなら暮らせますわ」
歩「じゃあジュリア。どっちがこの物置を使うかじゃんけんな」
ジュリア「あたし上の部屋使うぞ?」
歩「ワッツ!? なんで決めちゃってんだ!?」
ジュリア「まぁ落ち着けって。これには事情があるんだよ。ちょっと玄関まで来てくれ」
千鶴「どういうことですの?」
ジュリア「まぁまぁ。おーいカレン入っていいぞー!」
可憐「あの、お邪魔します……」
歩「……誰?」
千鶴「か、可憐? どうしてここに?」
可憐「ち、千鶴さん? ここって千鶴さんの家だったんですか?」
歩「千鶴の知り合い?」
千鶴「今年うちのテレビ局に入社した子ですわ。というかジュリアと知り合いだったんですの?」
ジュリア「カレンとは高校が一緒だったんだ。この春からこっちに来るって聞いててね。
あたしも千鶴の家に世話になるんだし紹介しようかなって今日呼んでたんだけど」
可憐「あの……私の引っ越し先が火事で住めなくなったそうで……他の場所を探そうにも時間が無くて……それでジュリアさんに相談したんです」
ジュリア「だから千鶴の家にしばらく居候すればって誘ったわけよ」
千鶴「まぁあの部屋なら二人でも問題ないでしょうし、そういう事情なら歓迎しますわ。歩もいいですわよね?」
歩「まぁね。可憐だっけ? これからよろしく頼むよ」
可憐「は、はい。代わりの部屋を急いで探しますので、それまではよろしくお願いします」
千鶴「焦らずゆっくり探せばいいですわ。わたくしとしても子どもの世話をしてくれる人が増えてくれるのは歓迎ですし。
ジュリアと歩では少しだけ不安でしたから」
ジュリア「そんなこと思ってたのか?」
千鶴「二人ともけっこう不器用ですし変なこと教えそうですもの」
歩「その通りかもしれないけどちょいショックだ……」
可憐「あ、あはは……」
千鶴「まっいいですわ! 今は三人の歓迎パーティーの準備ですわ!」
歩「よっしゃー! 飾り付けるぜー!」
ジュリア「歓迎パーティーの主役が飾り付けるってのも変な話じゃないか?」
千鶴「気にしてはいけませんわ」
千鶴「それじゃあ桃子を迎えに行ってきますわ」
歩「いってらっしゃい」
ジュリア「あたしらは琴葉たちが帰ってきたらこのクラッカーを、パンッだ!」
可憐「料理も終わってるしあとは待つだけですね」
歩「あっアメリカで買ったパーティー帽子が鞄にあったはず! ちょっと探すから手伝ってくれない?」
ジュリア「しょうがないな。カレンはここで待っててくれ。万が一帰ってきた時は……うまく時間を稼いでくれ」
可憐「え、ええ!? あっ行っちゃった……」
琴葉「ただいまー」
このみ「ただいまー」
可憐「ひぃ!?」
このみ「あれ? 知らないお姉さんがいる」
可憐「あの、その……とにかく時間を稼がないと、ダイニングの方には行かせないように……いつまで?」
琴葉「あっお母さんが言ってたお客さんですか?」
可憐「そ、そうなの! お母さんいま桃子ちゃんを迎えに行ってて待ってるんだ。あっ私の名前は可憐っていうの。よろしくね」
このみ「へーそうなんだ。よろしくー可憐さん。にしてもなんか妙に部屋が綺麗だね」
琴葉「そういえば朝より綺麗になってるかも」
可憐「そ、そうかな?」
このみ「それにキッチンからおいしそうな匂いがする……」
可憐「気のせいじゃないかなー? それよりお姉さんと遊ばない? ええと、クラッカーで! ってこれは出しちゃダメ……!」
琴葉「クラッカー?」
可憐「ううんなんでもないの! それよりお姉さんに学校で何があったか教えてくれない?」
このみ「今日ね! 転校生が来たんだよ!」
可憐「転校生?」
琴葉「そうなんです。ブラジルから来たエレナって子で。明るくてとっても良い子なんですよ!」
可憐「ブラジルから? すっごい遠くから来たんだね。もうお友達になったの?」
琴葉「隣の席になって休み時間もずっと恵美と話してたんです」
このみ「それにエレナちゃんの家って私たちの家の隣なんだって! 遊びに来るって言ってた!」
琴葉「こらっエレナさんでしょ?」
このみ「エレナちゃんもいいって言ってたからいいの! それに本当は私の方が年上なんだし……」
可憐「遊びに……来る?」
ガチャ
恵美「琴葉んちの夜ご飯めっちゃ気合入ってるねーパーティーでもやるの?」
エレナ「このイチゴ味の飴おいしいネー! どこで買ってきたノ?」
可憐「どうしてそっちから入ってくるの……?」
恵美「ん? 裏口からに決まってるっしょ」
可憐「裏口……ああ……」
このみ「なにそのお菓子!? 私のは!?」
琴葉「二人ともどっからそんなお菓子持ってきたの!?」
恵美エレナ「キッチンにあったよ?」
ジュリア「やっと見つけてきたぞーって! 帰ってきてるじゃん!」
このみ「ジュリアおばさん!!」
ジュリア「久しぶりだなこのみー! でもおばさんはやめろ!」
歩「おお琴葉ちゃん! 大きくなったな!」
琴葉「歩さん! お久しぶりです!」
このみ「どうしてジュリアおばさんも歩さんもいるの?」
ジュリア「今日からここで暮らすんだよ。ちなみにそっちの可憐も一緒に暮らすぞ」
琴葉「えええ!? 一緒にですか!?」
歩「おう! ってそこの子ども二人! その手に持ってるお菓子の山はなんだ!」
恵美「キッチンで拾った」
歩「オーマイガッ! それは拾ったとは言わない!」
エレナ「ご、ごめんなさい……」
ジュリア「まぁいいじゃん琴葉の友達だろ? 皆でパーティーしようぜ」
エレナ「ほんとに? ワタシも一緒でいいノ?」
ジュリア「もっちろん。歌って踊って騒ぎまくるんだ!」
エレナ「ワタシサンバなら踊れるヨ!」
歩「おっサンバか! これはダンスバトルといくっきゃないな!」
千鶴「ただいまですわー。二人とももう帰ってきてましたのね」
桃子「ほんとにジュリアおばさんも歩さんもいる!」
ジュリア「おーモモじゃん! 元気そうだな。前見たときはこんぐらいだったのに大きくなったな!」
桃子「もう年長組だもんね」
歩「桃子久しぶり! 今日からアタシらとそこの可憐も一緒に住むことになったからこれからよろしくな!」
桃子「うん! 可憐さんもよろしくね!」
可憐「よ、よろしく桃子ちゃん!」
千鶴「それじゃあ全員揃ったことですし! パーティーの始まりですわ!!」
ジュリア「じゃあ乾杯しないとな。ほら皆グラスを取ってこい!」
歩「お子様にはこのオレンジジュースを、大人にはこのシャンペーンを入れてあげよう」
可憐「お、お酒ですか?」
千鶴「ノンアルコール! ノンアルコールですから!! お酒は二十歳になってから!」
このみ「じゃあ私はオッケーよね!」
歩「小学生にはこのメロンソーダをあげよう。今ならアイスクリームも付けちゃうぜ!」
このみ「わーい、って誰が小学生よ!」
千鶴「はいはい話は後々! 乾杯の音頭を誰か!」
琴葉「じゃあ桃子ちゃんやってみない?」
桃子「桃子が? う、うん。それじゃみんな持ったよね! かんぱーい!!」
『かんぱーい!!』
続く
頭の中の映像を言葉にするのは難しいですね。おもしろいと思ってもらえるようなものを書けるようになりたいです。
次の二話は水曜か金曜になると思います。それでは。
自分も>>58とほぼ同じ感想で笑った
>>41琴葉「おはよう琴葉ちゃん。~」→莉緒「おはよう琴葉ちゃん。~」になります
続きが今から楽しみだわ
ジュリア「すぅ……すぅ……」
ジリリリリリリ!!
ジュリア「な、なんだ!? なんだよ目覚ましか、驚かせやがって。それにまだ七時じゃん。もうひと眠りっと」
桃子「ジュリアおばさん、入るよ? あっまだ寝てる」
ジュリア「うーん……」
桃子「起きて! 朝だよおばさん!」
ジュリア「誰がおばさんだ……むにゃむにゃ……」
桃子「むぅ、こうなったら……」
ジュリア「すぅ……ぐはっ!? 今度はなんだよ!?」
桃子「起きた?」
ジュリア「モモ? なんだってあたしに乗っかってるんだ? お前千鶴んとこにいるはずじゃ……って寝ぼけてんなあたし。千鶴の家じゃんここ」
桃子「もう朝だよ。朝ご飯無くなっちゃうよ」
ジュリア「ふわぁ……今日は休みだからまだ寝てていいんだよ……」
桃子「うちに来てからいつもそう言ってるって可憐さん困ってたよ? ほら起きて!」
ジュリア「うぅ、はいはいわかったよ」
歩「おっやっと起きてきた」
琴葉「おはようジュリアおばさん。行ってくるね」
このみ「行ってきまーす」
エレナ「行ってくるヨー!」
ジュリア「いってらっしゃーい」
歩「可憐と千鶴はもう仕事行ってるぞ。帰りも遅くなるってさ。朝ごはんは?」
ジュリア「あたし朝はあんま食べらんないからこれでいいよ」
歩「ウィダーインゼリー?」
ジュリア「そうそう。これとコーヒーで朝は充分」
恵美「あっウィダーインゼリーじゃんアタシこれ好きなんだよね。くれるなんて気が利いてるぅ~!」
ジュリア「……恵美、お前なに人の大事な朝ごはんをいきなり奪って飲んでやがる?」
恵美「だってアタシの目の前でプラプラ揺らしてるんだからそりゃ取るでしょ。それより琴葉は?」
歩「今出てったよ。走れば間に合うんじゃない?」
恵美「あっちゃー入れ違いか。じゃあまたねーごちそーさーん」
歩「はいはい。それで? 朝ごはんはどうする?」
ジュリア「食べるよちくしょう!」
桃子「着替えてきたよ。おばさんもちゃんと食べてるね」
歩「聞いてくれよ桃子。おばさん食べたくないって駄々こねてたんだぞ?」
桃子「ダメだよジュリアおばさん。朝ごはん食べないと大きくなれないんだよ?」
ジュリア「これ以上は大きくなんないと思うけどな。それよりモモは幼稚園だよな?」
桃子「うん。ジュリアおばさんか歩さんに送ってもらえってママが言ってた」
歩「アタシも用事があってもうすぐ出かけなきゃだからジュリアに任せるよ」
ジュリア「任せるって、あたし場所知らないぞ?」
歩「えーっと千鶴が用意してくれてるはず。あったあった、はい地図と自転車の鍵」
ジュリア「あーあそこらへんね。オッケー」
桃子「おばさんが送ってくれるの?」
ジュリア「そうなるな。準備はできてるか?」
桃子「オッケーだよ!」
ジュリア「よし、じゃあ行ってくるぞ歩」
桃子「行ってきます! あっおばさん靴紐結んでね」
ジュリア「わかってるって。えーっとあれ? どうやるんだっけ……あっこうだこう」
歩「いってらっしゃいっと。それじゃアタシも準備するかねー」
ジュリア「はぁはぁ……チャリでここまで来るのって結構疲れるんだな……」
桃子「おばさん大丈夫?」
ジュリア「ふぅ……もう大丈夫だ。それより迎えに来るのは何時だっけ?」
桃子「二時だよ。絶対忘れないでね?」
ジュリア「忘れないって。それじゃ行ってこい」
育「あっ桃子ちゃんおはよー!」
環「おはよーももこ!! あれ? 知らない人がいるぞ?」
桃子「おはよう二人とも。桃子のおばさんだよ」
ジュリア「ジュリアってんだ。二人ともモモの友達か?」
育「そうだよ!」
環「いっつも遊んでるんだぞ! ねっももこ!」
桃子「う、うん」
ジュリア「そっかそっか。二人ともこれからもモモと仲良くしてやってくれな」
育「もちろんだよ! 行こっ桃子ちゃん!」
環「急がないと怒られちゃうぞ! ゴーゴー!」
桃子「あっ待ってよ育、環! またねおばさん!」
ジュリア「またなー。……良かった、モモもうまくやれてるみたいだな」
風花「おはようございます。あの、桃子ちゃんの保護者の方ですか? 今日は千鶴さんじゃないんですね」
ジュリア「あっはい。モモの、あー桃子の叔母のジュリアって言います。あたし今千鶴の家に住んでて今日は送り迎えを頼まれて」
風花「そうでしたか、疑ってしまってすみません。私、年長組の担任をしてます豊川風花と言います」
ジュリア「ってことは桃子の先生ですよね? 別に謝ることはないですよ。当然のことじゃないですか」
風花「そう言ってもらえると助かります」
ジュリア「それより桃子はこっちではどんな様子ですか?」
風花「桃子ちゃんいつも良い子で、他の子の面倒も見てくれるのでこっちが助けられちゃってますね。
でも……我が儘を言わなすぎるところがあって、少し心配でもあるんですが……」
ジュリア「そうですか……それはやっぱり、兄貴が死んでからですかね?」
風花「そう……ですね。その頃から特に」
ジュリア「まだこっち来て一週間も経ってないんですけど家でもちょっと良い子すぎるんですよね……先生はどうしたらいいと思います?」
風花「誰かがいつも傍にいてあげること、でしょうか。少しずつ解決していくべき問題ですから」
ジュリア「傍にいること……それだけですか?」
風花「はい。桃子ちゃんが受け入れられる日まで。ジュリアさんにもお願いしていいですか?」
ジュリア「もちろんですよ。そのためにこっちに来ることにしたんで」
風花「ふふっ、よろしくお願いします。それでは私はこれで」
ジュリア「モモのこと、よろしくお願いします! ……けっこう良い先生みたいだな。さて、迎えの時間まで何してるか……そうだ!」
千鶴「あら電話ですわ……ジュリアから? 何かあったのかしら、もしもし? ええ……好きな物?可愛いものなら……
あっ前に読んだ絵本で……ええあの本ですわ。……ふふっ、ジュリアが選んだものならきっと喜んでくれますわ、ええ……じゃあまた」
可憐「ジュリアさんからですか?」
千鶴「ええ、プレゼントの相談でしたわ」
可憐「もしかしてお子さんたちに?」
千鶴「そうですわ。ふふっ、ジュリアも良いおばさんになってきましたわね」
可憐「あはは、ジュリアさんが聞いたらショック受けるかもしれませんね」
千鶴「いまだにおばさんって呼ばれることに慣れていませんものね。まぁあの歳でそう言われるのは辛いと思いますけど」
可憐「でもそう言われるの嬉しいみたいですよ? この前の夜ご飯で琴葉ちゃんが部屋に呼びに来たときなんですけど、横顔が笑ってるように見えて」
千鶴「ふふふ、おもしろい話ですわね。他には何かありません? 帰ったら弄って遊びますわ」
可憐「ええと、あっ! 昨日の朝なんですけど……」
歩「ふんふんふ~ん。お昼は特製ハンバーガーだぜ~。いやぁバイトも決まったし今日は良い日だなぁ」
ジュリア「帰ったぞー!」
歩「遅かったなジュリア、ってなんだその荷物!?」
ジュリア「色々見てたら予想以上に買い過ぎちゃってな。おかげで財布が空っぽだよ」
歩「アタシには何かないのか?」
ジュリア「あるぞ? ええと……ほら、アメリカっぽいシャツ」
歩「おお結構いいセンスじゃん! サンキュー! にしても何で急に?」
ジュリア「まぁ気まぐれだよ。たまには叔母らしいところも見せないとな。それじゃああたしは桃子を迎えに行ってるから」
歩「琴葉たちが帰ってきたら渡しちゃっていいのか?」
ジュリア「いや、直接渡すよ。部屋に置いといてくれ。んじゃ行ってくる」
歩「行ってらっしゃい。ではではお待ちかね特製バーガーを……」
ジュリア「っとこれは貰ってくぜー腹減っちゃってさ」
歩「…………オーマイガ―!!」
育「じゃあねー桃子ちゃん、環ちゃん!」
環「ばいばいだぞー!」
桃子「また明日ー」
風花「はーいバスが来たわよー。バスの子は早く乗りなさーい」
環「はーい! じゃあまた明日だぞももこ!」
桃子「うん、じゃあね環……はぁ」
風花「桃子ちゃんはおばさんが迎えに来てくれるんだよね?」
桃子「うん。おばさん絶対来るって行ってたから」
風花「それじゃあおばさんが来るまで先生と遊んでようか」
桃子「……それより桃子、絵本読んでるね」
風花「そう? 先生お掃除してるから何かあったらすぐに言ってね?」
桃子「うん……遅いなぁ……」
ジュリア「モモーーーー!!」
桃子「あれ? 先生呼んだ?」
風花「外からみたい」
ジュリア「モモ!! 遅くなってごめんな!!」
桃子「おばさん……! 遅いよ! 二時だって言ったじゃん!」
ジュリア「ごめんごめん! それより早く帰ろう! モモに渡したいものがあるんだ!」
桃子「う、うん! じゃあ先生さよなら!」
風花「さようなら桃子ちゃん。ジュリアさんもまた来てくださいね」
ジュリア「はいっ! それじゃ行くぞモモ! チャリまでダッシュだ!」
桃子「わわっ待ってよおばさん! 桃子の靴!」
ジュリア「おっとそうだったな……はいオッケー!」
桃子「それじゃよーいスタート!」
ジュリア「おっずるいぞモモ! あたしはまだ履いてないんだからな!」
桃子「待たないよー!」
風花「ふふっ、あんな笑顔の桃子ちゃん、久しぶりかもなぁ」
ジュリア「ただいまー」
このみ「あっおばさん! プレゼントあるんでしょ! 早く早く!」
ジュリア「焦るな焦るな。そんなに跳ねても身長は伸びないぞ?」
このみ「むっ、超ムカつくって言いたいところだけど、我慢する! さぁプレゼントを渡しなさい!」
琴葉「もうこのみったら……ごめんなさいおばさん」
ジュリア「いいっていいって。それより琴葉もプレゼント欲しいだろ?」
琴葉「えっ? ほ、欲しいです!」
ジュリア「素直でよろしい。今取ってくるからな」
歩「おかえりジュリア。このみたちを部屋に入れないようにするの大変だったんだぞ?」
ジュリア「ありがとっ歩。あとでうまいもん食わせてやるよ」
歩「ほんとだな? だったらハンバーガーの件はチャラにしてやる」
ジュリア「はいはい。よいしょっと……お待たせー! それじゃあ最初は琴葉!」
琴葉「は、はい!」
ジュリア「琴葉には……この素敵な帽子をプレゼントだ!」
琴葉「わぁ……! すっごくカッコイイね! ありがとうおばさん!」
ジュリア「琴葉はお姉ちゃんとして頑張ってるけど、もっとあたしたち大人に頼ってもいいんだからな?」
琴葉「うん!」
ジュリア「では次はこのみ! このみには……このポーチをプレゼントだ!」
このみ「きゃー! ありがとうおばさん! 明日学校で自慢しよっと!」
ジュリア「うーんこれぐらいなら持ってっても大丈夫なのか?」
このみ「たぶん大丈夫!」
ジュリア「まぁいいか。このみはいつも皆を笑顔にしてくれてありがとうな。これからもそのままでいてくれよ!」
このみ「うん! うん? まぁいっか! ありがとおばさん!」
ジュリア「それじゃ最後はモモ。お前には……これだ!」
桃子「これって……クマさん?」
ジュリア「ああ。モモはクマの絵本をよく読んでるって聞いてな。ぬいぐるみならクマさんがいいだろうって買ってきた」
桃子「……ほんとにいいの?」
ジュリア「もちろん。モモのために買ってきたんだ。ほら、こいつも仲良くしたいってさ」
歩「ハーイモモコー! ヨロシクネー!」
桃子「ふふっ」
ジュリア「いいかモモ。お前の傍にはママと、お姉ちゃんたち、あたしと歩。そんで今日からはこいつもいる。それに兄貴も、パパだってお前のことを見てる」
桃子「……うん」
ジュリア「だから寂しかったらいつでも言え。モモがどこにいたってすぐに飛んでいくから。いいな?」
桃子「うん!」
ジュリア「よし! それじゃあお前たちに最後のプレゼントだ!」
桃子「ギター?」
ジュリア「まだ聞かせたことなかったよな。今日はあたしの歌をたっぷり聞かせてやるぜ!」
このみ「いえーい!」
琴葉「おばさんの歌聞いてみたかったんだ!」
ジュリア「それじゃあいくぞ。まずはこの曲『流星群』! ミュージックスタート!」
歩「よーしみんな踊るぞー!」
桃子「いえーい!」
千鶴「ただいまーって何の騒ぎですの!?」
可憐「わぁ……ジュリアさんの歌久しぶりだな!」
歩「ほらほら二人とも! 早く混ざれって!」
千鶴「まったく、しょうがありませんわね! いきますわよ可憐!」
可憐「ふふっ、はい!」
桃子「あっママおかえり!」
千鶴「ただいま! 今日はおばさんと一緒だったんでしょ? 楽しかった?」
桃子「うん、すっごく楽しい! それにほらクマさん貰ったんだよ!」
千鶴「まぁ、かわいい子ですわね。大事にするんですわよ?」
桃子「もっちろん!」
ジュリア「みんな楽しんでるかー! まだまだ盛り上がっていこうぜー!」
『いえーい!』
続く
それにしても前回と同じ終わり方になってしまった……うまい終わらせ方を知りたいです。
読んでくださっている皆さんありがとうございます。コメントすごく励みになります。
次の更新も三日後ぐらいになるかと思いますので。それではまた。
あと投稿するならメール欄はsaga推奨だよー
>>81
sagaに引っかかることもたぶんないと思いますし毎回付けるのは大変なので……すみません
千鶴「今日は何の日か、わかる人」
琴葉「はい! お掃除の日です!」
千鶴「そう、第一、第三日曜日はお掃除の日。覚えてくださいまし?」
ジュリア「は~い……」
歩「うぇ~い……」
可憐「は、はい!」
このみ「隊長! 今日の分担はどうするでありますか!」
千鶴「おほん。歩とジュリアと可憐の部屋はきちんと掃除したわけではありませんので、ジュリアと歩は自分の部屋を掃除を」
ジュリア「あたし一人で!?」
千鶴「……いつもは可憐が綺麗に整理しているそうですわね?」
ジュリア「うっ……」
千鶴「たまには一人で掃除しなさい」
歩「アタシもあの部屋全部!? まだ全部整理できてるわけじゃないのに!?」
千鶴「歩の部屋はわたくしも手伝いますわ。それで可憐は高いところの埃を落としていってもらえる?」
可憐「わかりました」
このみ「私たちは?」
千鶴「三人はとりあえずお部屋のお片付け。それが終わったら琴葉は掃除機で家中を回る」
琴葉「はい!」
千鶴「このみは琴葉が掃除機で吸った場所の雑巾がけ。雑巾はギュッと絞るようにね?」
このみ「了解であります!」
桃子「桃子は?」
千鶴「桃子はわたくしのお手伝いをお願いしますわ」
桃子「ママのお手伝い?」
千鶴「そうですわ。大事なお仕事ですわよ?」
桃子「うん! 桃子がんばるね!」
千鶴「よし! それじゃあお掃除の始まりですわ!!」
『おー!!』
ジュリア「えーとこれはいる、これはいらないっと」
ジュリア「なんだこのペットボトル? うわっまだ中身入ってる。いつのだ?」
ジュリア「あっ無くしたと思ってたピックだ。こんなとこにあったのか」
ジュリア「シールドもだいぶ絡まっちゃってるなぁ……こりゃ大変だぞ」
ジュリア「……可憐のブラを発見。サイズは……デカい……」
ジュリア「おっ読んでる途中だった雑誌だ。どれどれ……」
このみ「お掃除監督だぞー! むっ、サボってる人を発見! お仕置き!」
ジュリア「いてっいてっ! はたきで叩くなっ!」
このみ「お掃除の時間ですので」
ジュリア「わかったよ。掃除すりゃいいんでしょ……」
このみ「しばらくここで見張ってるからね。あっこの雑誌おもしろそう」
琴葉「こらっこのみ。お部屋の片づけ終わってないでしょ」
このみ「もう終わってる! あれで完璧な配置なの!」
琴葉「はいはいお掃除を続けましょうねー」
このみ「ジュリアおばさん助けてー!」
ジュリア「お掃除の時間ですので。がんばってください監督」
このみ「薄情者ー!」
琴葉「おばさんもがんばってくださいね」
ジュリア「はいよー。さて、続きをやっちゃうか」
可憐「よい、しょっ。ふぅ……終わった」
琴葉「可憐さん。掃除機かけても大丈夫ですか?」
可憐「あっ琴葉ちゃん。うん、ちょうど終わったところだよ。片付けは終わった?」
琴葉「はい私は。このみはまだ終わってないんですけど」
可憐「そっか。それじゃあ私は次の部屋行くからよろしくね」
琴葉「よし、私もがんばらないと」
桃子「お姉ちゃんお姉ちゃん」
琴葉「桃子? どうかした?」
桃子「ママがビニールの紐持ってきてって」
琴葉「わかったわ」
桃子「その間桃子が掃除機やるね」
琴葉「そう? じゃあこの緑のスイッチを押したら動くからね。止める時は下の赤いスイッチね」
桃子「知ってるよ。それでこうやるんでしょ?」
琴葉「そうそう偉い偉い。それじゃあ行ってくるね」
桃子「……ぶーんぶーん!」
このみ「あんなセリフ台本にあったかしら?」
ジュリア「無かったよな?」
桃子「あっ! な、なに見てるの!? さっさと掃除に戻って!」
このみ「ぶーんぶーん!」
ジュリア「ぶーんぶーん!」
桃子「もーーっ!!」
このみ「あっ可憐さん」
可憐「あっこのみちゃん。片付けは終わったの?」
このみ「終わったよー……もうヘトヘト」
可憐「この後は雑巾がけだよね? もっと大変だと思うけど大丈夫?」
このみ「そっちは大丈夫! あたし学校では雑巾がけの女王って呼ばれてるから!」
可憐「ぞ、雑巾がけ女王?」
このみ「掃除の時間にやった雑巾がけレースで私が一番速かったの!」
可憐「あぁ、だから女王様なんだ」
このみ「今日だってあっという間に終わらせちゃうから!」
可憐「がんばってね! あっでもお掃除なんだから丁寧にやらなくちゃダメだよ?」
このみ「はーい!」
歩「千鶴ーこれはいる?」
千鶴「捨ててもいいですわ」
桃子「はいこの中に入れてね」
歩「ありがとう桃子」
千鶴「だいぶ片付いてきましたわね」
歩「そうだね。前は段ボールが山積みになっててかなり窮屈だったし」
千鶴「こんな部屋しか用意できなくてごめんなさいですわ」
歩「いいよいいよ勝手に押しかけたのはアタシなんだから。それにこうして広くなったわけだしね」
千鶴「そう言ってもらえると助かりますわ」
桃子「ねぇママ、この段ボール本がいっぱい入ってるよ?」
千鶴「あっそれはアルバムですわ」
歩「桃子たちの? いいね、後で読ませてよ」
桃子「パパの写真もあるの?」
千鶴「ええありますわよ。お掃除が終わったらみんなで読みましょうね」
桃子「うん!」
歩「それじゃ急いで終わらせないとね!」
千鶴「そうですわね! この部屋はもう少しですからがんばりますわよ!」
歩「え……もしかしてまだやるの?」
千鶴「ええ、この部屋が終わったら水回りを分担してゴミ捨てに行って玄関も掃除して」
歩「オ、オーマイガー……」
このみ「ママの部屋も雑巾がけ! うわーママの部屋は綺麗だね」
琴葉「さすがママね。あっまだ掃除機かけてないから先に廊下の方やってくれる?」
このみ「はーい。どりゃあああああ!!」
琴葉「ふふっ、私も急がないと。コンセントコンセント」
このみ「あっ汚くなってきた。うぅ……雑巾がけは楽しいけどこれだけは嫌いだなぁ」
琴葉「絞る時はぎゅーってやるのよ?」
このみ「わかってるって! くぅー! ふんー! よし!」
琴葉「ふんふ~ん」
このみ「……楽しいけど……なんか不公平じゃないかなぁ」
琴葉「何か言った?」
このみ「私が雑巾がけでお姉ちゃんが掃除機って不公平じゃない?」
琴葉「じゃあお姉ちゃんと代わる?」
このみ「いいの?」
琴葉「交代でやったほうがいいでしょ?」
このみ「ありがとうお姉ちゃん! じゃあ掃除機貸して!」
琴葉「はいはい。それじゃ私もがんばらないとね」
このみ「ぶーんぶーん!」
琴葉「ぷっ、どうしたの?」
このみ「あはは、誰かさんのモノマネー!」
桃子「むーっむーっ!」
可憐「桃子ちゃん! まだ出番じゃないから! お、落ち着いて、ねっ?」
琴葉「あとは一階だけね」
このみ「ふぅ、良い仕事したわ」
ジュリア「おーい部屋の掃除終わったぞー」
歩「こっちも終わったよー疲れたー!」
桃子「あっおばさん。桃子がんばったよ!」
ジュリア「おー偉いぞモモ」
千鶴「皆揃っちゃいましたわね。三人は終わりましたの?」
このみ「私とお姉ちゃんはまだ途中!」
可憐「私はこことダイニングキッチンだけです」
千鶴「それじゃあ琴葉とこのみは終わらせてきちゃって、私と桃子は可憐と合流、歩とジュリアはお風呂とトイレの掃除を頼みますわ」
ジュリア「……さいしょはグー!」
歩「じゃんけんポン!! よっしゃーー!!!!」
ジュリア「くっそおおおおお!!!」
千鶴「それじゃあ皆、よーいスタートですわ!」
ジュリア「あの時チョキを出してれば……」
ジュリア「それより……トイレ掃除なんてどうやるんだ? おーい千鶴ー!」
~お風呂~
歩「よいしょ、よいしょ。かなり重労働だな。まぁトイレ掃除よりましか」
歩「わっ、わわっ!? っとセーフ……危うくコケるところだった……」
~ダイニング~
琴葉「先に椅子を机の上に乗せましょう」
このみ「おっ重い……」
琴葉「ふふっ私がやっとくから掃除機お願いね」
このみ「わかった……くそう私も背が高ければ……」
千鶴「いい? お皿洗いはこうするんですわ」
桃子「こう?」
千鶴「そうそう。落とさないようにしっかり持ってね?」
可憐「だ、大丈夫ですか?」
千鶴「子ども用のプラスチックの物ですから割れる心配はありませんわ」
可憐「あっそうだったんですか」
桃子「むっ、桃子落とさないよ?」
可憐「そ、そうだね。桃子ちゃんはすごいね」
桃子「ふふん! ママの娘だもんね!」
千鶴「ふふっ自慢の娘ですわ!」
このみ「雑巾がけの次は靴磨き……なんか今日はずっと拭いてるなぁ」
琴葉「玄関の床も掃き終ったし、私も雑巾がけね」
このみ「はいお姉ちゃん雑巾」
琴葉「ありがとうこのみ。うわっちょっと拭いただけでこんな汚れちゃった」
このみ「うわっ」
琴葉「バケツの水も変えてこないとだめね」
ジュリア「はいはーいゴミ捨て部隊が通るぜー」
歩「あれ? 靴が無い」
このみ「サンダルならあるよー」
ジュリア「ありがとっほら行くぞ歩」
歩「ちょっと待ってって。アタシの方がデカいんだから」
ジュリア「トイレ掃除やってやっただろ?」
歩「じゃんけんの結果だからな?」
琴葉「おばさん、歩さん」
このみ「そこにいられると掃除できない!」
ジュリア歩「すみませんでしたー!!」
千鶴「皆お疲れ様でしたわ! すっかり家中ピカピカですわ!」
ジュリア「ほんと疲れたよ。早く風呂入りたい……」
歩「一番風呂は掃除したアタシでいいんだよな?」
千鶴「ええ、その後は琴葉たちですわ」
ジュリア「あたしは!?」
千鶴「うーん、最後?」
ジュリア「マジかよ」
千鶴「あっ、琴葉たちとわたくしたちで一組づつペアで入ればいいですわ」
琴葉「じゃあ私可憐さんと入りたい!」
可憐「わ、私と?」
琴葉「だめ?」
可憐「ううん。私でよかったら一緒に入ろ?」
桃子「桃子はおばさんと一緒ね?」
ジュリア「あたしと? いいぜ。ばっちり洗ってやるからな」
千鶴「……皆すっかり懐かれてますわね。嬉しいけど、ちょっと寂しいですわ」
このみ「私はママと入るよ!」
千鶴「ふふっ、ええ! このみはわたくしと一緒に入りましょうね」
歩「あれ? アタシは?」
ジュリア「『一人』で『ゆっくり』一番風呂に入りたいんだろ?」
歩「いやアタシも誰かと入りたいなー……って……」
桃子「でももうみんな誰と入るか決めちゃったよ?」
歩「ははっ、いいよ……アタシ一人で入るからさ……」
恵美「こんちゃーす! あっ琴葉ー宿題の答え教えてー!」
エレナ「ワタシも聞きに来たヨー!」
千鶴「ちょっ二人ともなんで泥だらけですの!?」
恵美「いやーちびっ子に泥だんごの作り方教えてたらハマっちゃってねー!」
エレナ「恵美の泥だんごとっても綺麗だったヨ! ワタシが作ってもボロボロに崩れちゃって!」
恵美「そんで遊んでたら宿題のこと思い出してさー聞きに来たってわけ!」
琴葉「宿題はいいけどそれよりお風呂入らないと! 掃除したばっかりなんだからそこで止まって!」
エレナ「ほんとだ! ピカピカになってるネ!」
恵美「綺麗なもんって無性に汚したくなるよねー」
ジュリア「動くな! 砂が落ちる! 特に恵美! 床を触ろうとするな!」
このみ「箒と雑巾持ってきたよ!」
千鶴「それじゃあお風呂までゆっくり歩きなさい。ゆっくりですわよ!」
歩「よ、よし! アタシがお風呂入れてくるから! いいよな二人とも!」
恵美「う、うん。いいけどなんでそんなテンション高いの?」
エレナ「それにみんな殺気立ってるヨ……」
歩「まぁまぁ風呂に入りながら説明するから。とにかく入ろう! よかったー! アタシも一人じゃないぞー!」
恵美エレナ「???」
続く
今の自分の悩みは酉を付けるべきかどうかと、この作品ドラマ?という設定必要あるのかどうか。
まぁがんばってドラマですよという雰囲気を出していきます。終わったあとに舞台裏のおまけを書いてみようかな。
あと今後なのですが三レスとかのちょっとした短編を思いついた時に投稿しようかな?と思ってます。
その代わり四話は少し遅くなるかもしれません。すみません……
それでは。読んでくださっている皆さんありがとうございました。
みんな仲良さそうでいいなー
千鶴「このみー宿題は終わりましたの?」
このみ「え、ええもちろん! 当然でしょ!」
千鶴「そう? それじゃあちょっと見せてもらいますわ」
このみ「うぇ!? べ、別に見なくてもいいんじゃない?」
千鶴「答え合わせですわよ。もし間違ってたらママが教えてあげますわ」
このみ「えーと……そう! さっきお姉ちゃんにやってもらったの! だからばっちり!」
千鶴「あらそうでしたの? 琴葉が教えたんなら大丈夫ですわね」
このみ「そうそう! だからママはゆっくりテレビでも見ててよ!」
千鶴「そう言えば火曜日は『名探偵ユリコ』の日でしたわね。このみは見ませんの?」
このみ「わ、私は明日の予習をしておきたいから部屋にいるね」
千鶴「まぁ! このみが勉強熱心になってくれてママも嬉しいですわ! じゃあ頑張るんですのよ!」
このみ「……ふぅ。なんとか誤魔化せた……でもどうしよう。まだ終わってない……」
このみ「何度見たって真っ白なのは変わらないわよね。やっぱりお姉ちゃんに」
琴葉「このみージュース持って来たわよー」
このみ「お、お姉ちゃん!?」
琴葉「はい、このみの好きなリンゴジュース。それにしてもこのみが私を頼らなくなったなんてね。
いつも私に泣きついてきたのに。お姉ちゃん見直しちゃった」
このみ「え、えへへ。私だってがんばってるんだからね」
琴葉「うんうん。さすが私の妹ね。それじゃあ私も下に行ってるからね。
今日はトモカとユリコの推理勝負なんだから絶対に見逃せないわ!」
このみ「あはは……ごゆっくり~」
このみ「……ごゆっくり~、じゃないわよ!! これじゃあお姉ちゃんにも頼れないよ……」
ジュリア「勉強してるんだって聞いて様子見に来たぜ」
このみ「おばさん! 歩さん!」
歩「うわっこのみが机に向かってるよ! ここに来て一番驚いたかも!」
ジュリア「いつもはテレビの前を独占してリモコンを離さないこのみがどういう心境の変化なんだ?」
このみ「二人とも助けて! まだ宿題終わってないの!」
歩「えっ? でもさっき千鶴から宿題は終わったって聞いたよ?」
このみ「それ嘘なの……見栄張っちゃったの……」
ジュリア「ははーん。千鶴にも琴葉にも終わってるって言ったもんだから引くに引けなくなったってわけか」
歩「それで宿題は終わりそうなの?」
このみ「全然わかんない。ほら見てよ」
ジュリア「おおう、すごいな。新品って言っても通用するよ」
歩「算数ドリルかぁ懐かしいなぁ」
このみ「お姉ちゃんが戻ってくる前に終わらせないといけないの。だから教えてほしいの」
ジュリア「あたしらが?」
このみ「お願い!」
歩「うーん、よし! 教えてあげる!」
このみ「ほんと!? ありがとう歩さん!!」
ジュリア「あたしはパスするよ。大体こういうのは自分の力で解かないと身に付かないんだ」
歩「そんなこと言ってジュリアだって兄貴に教えてもらってたんだろ?」
ジュリア「馬鹿言うなって。そんなことしなくても兄貴の宿題にあたしの宿題を混ぜておけば勝手にやってくれるんだよ」
このみ「そんなことしてたの?」
歩「こりゃジュリアには頼めないね」
ジュリア「なっ!? あたしだって小学生の算数ぐらい余裕だよ余裕!」
歩「じゃあこの問題をやってみてよ。えーっと……3/4÷2/8は?」
ジュリア「は? 3/4÷2/8!? ぶ、分数だよな分数の割り算ってどうやんだっけ?」
このみ「歩さんそんな問題あったっけ?」
歩「しっ、いいからいいから。はい10、9、8、7」
ジュリア「ええと紙とペン……ええと確か分子と分母を入れ替えて……あれそのままかけるんだっけ……」
歩「0!! そこまで!! 答えをどうぞ!」
ジュリア「うう……3/16?」
歩「本当に、それでいいですか?」
ジュリア「いや……ああ! これが答えだ!」
歩「……残念!! 答えは3です! 分数の割り算は割る数の分子と分母を入れ替えてかけるんですー!」
ジュリア「くっそー! そっちだったか!!」
歩「やっぱしジュリアは小学生の算数もできないんだなー! さすがだなー!」
ジュリア「くそっ! ちょっとど忘れしてただけだよ! 他の問題ならできる! それよこせ!」
歩「あっ」
ジュリア「ん? 小学生の算数……六年生……琴葉!? こ、これ琴葉のじゃねえか!」
歩「あっはっはっは! 小学二年生が分数なんてやるわけないだろ!
しかも間違えてるし! ぷふっ! 千鶴たちに教えてこよっと!」
ジュリア「この! 騙しやがったな! 待て歩!!」
歩「待たないよー!」
このみ「……勉強しよ。ああなっちゃおしまいよね」
つづく。
ちなみに琴葉は五年生なのですがもっと先の勉強もしたいと千鶴に頼んで買ってもらったそうです。
千鶴「今日買うものは……と」
ジュリア「千鶴……こんな遠くまで来ることないだろ……」
千鶴「今日ここは卵とトイレットペーパーのセールですのよ」
ジュリア「自転車で30分走ったのはそれだけのためか?」
千鶴「当然ですわ。食費だって馬鹿にならないんですからできる限り節約しませんと」
琴葉「ママ、もうすぐ始まるって」
千鶴「それじゃあ売り場近くに待機しましょうか」
ジュリア「あれ? カゴは使わないのか?」
千鶴「何言ってますの。マイバッグは基本ですわ」
ジュリア「あっそう……」
千鶴「始まりましたわ! 琴葉!」
琴葉「任せて!」
ジュリア「お、おい! ち、千鶴!? 琴葉がおばさんの群れに突っ込んだぞ!?」
千鶴「大丈夫ですわ!」
琴葉「ぷはっ! 取ってきたよ!」
ジュリア「わっ! ほ、ほんとに取ってきたのか」
千鶴「それじゃあわたくしも行ってきますわ」
ジュリア「えっ? 確か一パック限りって」
千鶴「家族単位で、ですわ。ジュリアは琴葉のおばさん。わたくしはどこかの主婦。いいですわね?」
ジュリア「あっはい」
琴葉「お母さん頑張ってね!」
千鶴「ふふふ、この程度っ!!」
ジュリア「あっという間に入ったぞ! 体格差もあるのに負けてない、むしろ押してる!?」
千鶴「絶対に負けられませんわあああ!!!」
ジュリア「お、おおお!? あの卵持ってる手千鶴だよな? 早すぎるだろ!?」
千鶴「ふぅ、いい運動になりましたわ」
ジュリア「うおっ!? もう帰ってきたのか!?」
琴葉「お帰りママ! やっぱりママが一番ね!」
千鶴「ふふっ琴葉もいつかできるようになりますわ」
ジュリア「いやぁおもしろかった。次はトイレットペーパーだっけ?」
千鶴「ええ。次はジュリアも一緒ですわよ」
ジュリア「あたしも一緒かー大丈夫かなー、ってあたしも!?」
千鶴「あっちはお一人様一つですわ。ジュリアも買わないと損ですわよ」
ジュリア「いやあたしはちょっと……」
琴葉「頑張ろうねおばさん!」
ジュリア「うぅ……琴葉の目が眩しすぎる……」
千鶴「トイレットペーパーはそこまで激しいものではありませんから大丈夫ですわよ」
ジュリア「あの、物凄い顔の怖いおばさんが集まってるんですけど?」
千鶴「気のせいですわ」
琴葉「でも急いだ方がいいかも。さっきの卵終わっちゃったって」
ジュリア「じゃ、じゃあさっきいた人が雪崩れ込んでくるのか!?」
千鶴「……ダッシュですわ!!」
ジュリア「いやだー!! 助けてくれー!!」
ジュリア「はぁ……はぁ……生きて帰れたぞ……」
千鶴「タワーが崩れたときはさすがのわたくしも焦りましたわ」
琴葉「でも予定通りに買えたね」
千鶴「ですわね。それじゃあレジの方に行きましょうか」
ジュリア「やっと帰れるんだな!?」
千鶴「何言ってますの? まだ帰りませんわよ?」
ジュリア「えっ? でも今レジに行くって」
琴葉「この後は○○スーパーで醤油とお肉、××デパートで野菜とシャンプーも買うんだよね」
千鶴「ええ。○○スーパーは開始まであと10分もありませんから急ぎますわよ」
ジュリア「は……ははは……」
おわり
つづくじゃなくておわりなの?
すみません終わらないです続きます。間違えました……
よかった、続くんですね
続きを楽しみに待ってます!
このみ「可憐さん教えてー!」
可憐「こ、このみちゃんどうしたの? あっ、もしかして宿題?」
このみ「ちがーう! 私大人っぽく見られたいの!」
可憐「えっでもこのみちゃんはまだ七歳なんだし、そのままでいいと思うな」
このみ「ダメなの!!」
可憐「そ、そんなに? でも私でいいの?」
このみ「だってジュリアおばさんも歩さんもなんか子どもっぽいし……」
可憐「あはは……じゃあ千鶴さんは?」
このみ「ママにも聞いたけどそのままでいいって言うんだもん!!」
可憐「そっか。それじゃあ何から知りたい? 私で良ければ教えるよ」
このみ「それじゃあね……大人っぽいメイク!」
可憐「メイクだね。それじゃあえっと……私の使ってるのを……」
このみ「わぁ……いっぱいあるんだね!」
可憐「お仕事でもよく使うからね。このみちゃんなら、これとかいいかな」
このみ「もっと派手で目立つやつがいいんじゃないの?」
可憐「このみちゃんの綺麗なお肌に合わせようかなって。それじゃここに座って?」
このみ「はーい」
可憐「えーと……こうして……これぐらいかな」
このみ「な、なんか普段と違う。ほんとに大人っぽい?」
可憐「うん。お姉ちゃんみたいだよ」
このみ「ほんと!? やった!」
可憐「そうだ! せっかくだし髪型も変えてみる?」
このみ「うんうん!」
可憐「それじゃあいったん解いて……あっそうだ。ここをこう……」
このみ「わっ、わわっ!」
可憐「最後にお花の髪留めで、出来上がり!」
このみ「見ていい!?」
可憐「もちろん。我ながら自信作かも」
このみ「わー! すごいすごい! これってお団子?」
可憐「シニョンって言う髪型だよ。どう?」
このみ「なんか大人になったみたい! ママに見せてくる!」
可憐「ふふっ、いってらっしゃい」
このみ「ママーー!! ママーーー!!」
千鶴「どうしましたのこのみ? うわっ、えっ!?」
このみ「可憐さんがやってくれたの!」
千鶴「ああ可憐が。ふふっ、ずいぶん大人の女性に近づきましたわね」
このみ「でしょ!? すごいんだよ可憐さん! まるで魔法みたい!」
千鶴「ちゃんとお礼言いますのよ?」
このみ「わかってる! ふふふ、お姉ちゃんたちにも見せてあげないと!」
琴葉桃子「ただいまー」
このみ「お姉ちゃん! 桃子!」
桃子「わっ、お姉ちゃんどうしたのそれ?」
琴葉「ほんと、このみじゃないみたい」
このみ「可憐さんにやってもらったの!」
琴葉「可憐さんに? いいなぁ」
桃子「桃子もやってほしい!」
このみ「お願いすればやってくれるかもよ?」
琴葉「ほんと? ちょっと行ってくる!」
桃子「桃子も行くよ! 待って!」
可憐「あっ二人ともお帰り」
琴葉「可憐さん! 私にもこのみみたいにやってください!」
桃子「桃子にも!」
可憐「えっ? あっうん、いいよ。ちょっと待ってね」
琴葉「やった!」
桃子「お姉ちゃんじゃんけんしよっ! 勝った方が最初ね!」
琴葉「いいわよ! じゃんけん、ポン!」
桃子「あー負けちゃった……」
可憐「じゃあ琴葉ちゃんからね。桃子ちゃんもすぐにやってあげるから待っててね」
桃子「早くね!」
琴葉「お、お願いします!」
可憐「それじゃあ始めるね。皆のこと、うんと大人っぽくしてあげるから!」
つづく
このみ「最近千鶴ちゃんのことママって呼んでることに違和感無くなってきたのよね」
琴葉「私もですね……千鶴さん元からお母さんみたいな人ですし」
桃子「他の人も千鶴ママって呼び始めてるよね」
このみ「未来ちゃんとか美希とか呼んでたわね」
琴葉「プロデューサーも呼んでますからね……」
桃子「お兄ちゃんも?」
このみ「まずいわね……年齢でいえば私が一番上なのに……」
桃子「このみさんは……このみさんだから」
琴葉「私なんて呼び捨てですからね……なんというか、すみません」
このみ「ま、まぁそういう役だから。普段はお姉さんって呼んでくれてもいいのよ?」
千鶴「三人ともーそろそろ休憩終わりですわよー」
桃子「はーい」
このみ「ママー今日終わったら莉緒ちゃんたち誘って飲みにいこ?」
千鶴「このみさん……いいですけど外ではその呼び方絶対にやめてくださいね?」
この並びで歩いてたら確実に親子だな
桃子「おはよう歩さん」
このみ「おはよー」
琴葉「おはようございます歩さん」
歩「おはよう三人とも。ちゃんと起きてきたな」
このみ「なんでこんな朝早くに起きなきゃいけないの? 今日日曜だよ?」
歩「まぁまぁ。昨日プレゼントがあるって言ったろ?」
桃子「でもそれっぽい物なんてどこにもないけど?」
このみ「なんでもいいから早く―! 貰ったら二度寝するんだから!」
歩「ははっこのみも貰ったら二度寝したいなんて言えなくなるぞ?」
可憐「ほらジュリアさん! 皆もう来てますよ!」
ジュリア「なんだよ可憐……まだ寝てたいんだって……」
千鶴「やっと起こせましたわ……これで揃いましたわね」
歩「ありがとう千鶴、可憐。ほらジュリアもシャキッとしろ」
ジュリア「大した用じゃなかったら覚えとけよ」
歩「それでは全員揃ったところで皆さんに重大発表があります!
この度私、舞浜歩は茜ちゃんランドのショーでバックダンサーをすることになりました!」
千鶴「おめでとうですわ!」
琴葉「あの茜ちゃんランドですか!?」
ジュリア「なんだそれ?」
このみ「知らないの!? 最近できたテーマパークだよ!」
桃子「人気すぎて予約が一か月以上先まで埋まってるってテレビでやってたよ」
ジュリア「ほーそのなんちゃらランドで歩が踊るわけか」
可憐「あ、茜ちゃんランドですよジュリアさん」
ジュリア「でもそれと朝っぱらから起こされることになんの関係があるんだ?」
歩「ふっふっふ、それはだな! ここに全員分のチケットがあるからだ!!」
このみ「きゃーー!!」
桃子「桃子たちで行けるの!?」
琴葉「やった! あとで恵美たちに電話しないと!」
ジュリア「……なるほどね。それじゃあ皆楽しんでこいよな」
千鶴「何言ってますのジュリア。あなたも参加するんですわよ」
ジュリア「なっ、やだよ! あたしは休みの日はのんびりするって決めてんだ!」
桃子「おばさん行かないの?」
このみ「えー? 一緒に行こうよー」
ジュリア「うっ……わかったよ……行くからそんな引っ張んなって」
歩「それじゃあこれがチケットね。どうやって行くかとかは千鶴と可憐に任せてるから」
千鶴「わたくしと可憐だけは事前に聞いていましたからね」
可憐「パンフレットとか特集の組まれた雑誌も買ってありますよ」
ジュリア「あたしは聞いてないぞ?」
歩「ジュリアはリアクション担当だから」
ジュリア「なんだそれ!?」
千鶴「とにかく準備はこちらでやってありますわ。あとは行くだけですわよ!」
このみ「それじゃあ早く行こう! 着替えてくるね!」
琴葉「ふふっさっきまで寝たい寝たいって言ってたのに」
桃子「桃子も行ってくるね!」
歩「それじゃあアタシは一足先に行ってるよ。ショーは二時だからよろしくー!」
千鶴「行ってらっしゃいですわ。それじゃあわたくしたちも準備しましょうか」
可憐「そうですね。まずは朝ごはんを……」
ジュリア「あたしはパンフレットでも見てるかな、ってなんだこのウザいぐらいの自己主張」
桃子「人いっぱい!!」
このみ「茜ちゃんいっぱい!!」
琴葉「すごいわねエレナ! 恵美!」
エレナ「ほんとすごいネ! お祭りみたいだヨ!」
恵美「にしてもすごい偶然だよねー同じ日に来ることになるなんて」
琴葉「そうね。でも教えてくれてもよかったんじゃない?」
恵美「あはは、あとで自慢しようと思ってて」
エレナ「ワタシはチケット貰ったの昨日だったんだよネ。パパンがお仕事で貰ってきて」
琴葉「じゃあ黙ってたのは恵美だけってわけね」
恵美「ちょっごめんって!!」
琴葉「ふふっ冗談よ! せっかく三人揃ったんだから楽しみましょ!」
エレナ「そうそう! みんな仲良くネ!」
千鶴「この混み具合は予想以上ですわね。はぐれないように手を繋ぎましょう」
ジュリア「ほら桃子。離さないようにな」
桃子「うん」
可憐「こ、このみちゃん走ったら危ないから走らないようにね?」
このみ「あっごめんなさい可憐さん」
琴葉「恵美もエレナも離さないようにね」
恵美「わかってるって子供じゃないんだから」
エレナ「あっちで風船配ってるヨ!」
琴葉「エ、エレナ急に走らないで!」
千鶴「うーんなんか心配ですわね……目を光らせておかないと」
猫耳茜ちゃん「ようこそー茜ちゃんランドへー」
エレナ「わーかわいいー!」
猫耳茜ちゃん「ナデナデしてくれたら風船をあげようじゃないかー」
琴葉「こ、これでいい?」
猫耳茜ちゃん「うむ、ナイスナデナデだ! はいご褒美だぞー!」
恵美「わーいありがとう茜ちゃん!」
ジュリア「なぁ、あれってなんてキャラなんだ?」
桃子「茜ちゃんだよ?」
ジュリア「あっちの包帯巻いたのは?」
桃子「茜ちゃん」
ジュリア「茜ちゃんしかいないのかよ!? こういうのってもっとキャラクターいるもんじゃないか!?」
このみ「それがいいんじゃん!」
ジュリア「わっかんねぇ……」
可憐「あはは、でもかわいいじゃないですか」
ジュリア「うーん……まぁ……うん?」
メイド茜ちゃん「むむむ、そこのあなた茜ちゃんの魅力がわかってないみたいですね?」
ジュリア「おわっ!?」
メイド茜ちゃん「そんなあなたにあそこのアトラクションをオススメしますよ」
千鶴「なになに……イッツァ茜ちゃんワールド?」
メイド茜ちゃん「船に乗りながら世界中の茜ちゃんを見てまわるのだ!」
このみ「楽しそう!」
ジュリア「じゃあそれに並ぶか」
可憐「あっ今日のチケットは優先付きなのでそっちじゃないですよ」
桃子「こっち? わぁ、すいすい進むね」
恵美「並んでる人の横を通り抜けるのって楽しくない?」
琴葉「優越感?」
恵美「それそれ!」
千鶴「恵美ちゃんあまり大声で言っちゃだめですわよ。並んでる人の気持ちも考えなさい?」
恵美「は、はーい」
ミニ茜ちゃんズ「船に乗っちゃってー。足元に気をつけてねー」
千鶴「全員乗れましたわね」
このみ「あっ動き出したよ」
エレナ「のんびり船の旅だネ」
ジュリア「流れてる曲のテンションはめっちゃ高いけどな」
桃子「あっ見えてきたよ!」
琴葉「いろんな国の衣装を着た茜ちゃん人形なのよね」
可憐「見つけると幸運になれる隠れ茜ちゃんもいるそうです」
恵美「まじ!? がんばって探さなきゃ!」
千鶴「ちょっ恵美ちゃん立っちゃだめですわ!!」
ミニ茜ちゃんズ「楽しかったー? また来てねー」
桃子「楽しかったね!」
このみ「次はどこ行くの?」
可憐「ここからだとカリブの茜ちゃんが近いみたいです」
ジュリア「カリブ? 海賊ものか?」
千鶴「桃子にはちょっと刺激が強いかもしれませんわね」
桃子「うっ……大丈夫だよ! 桃子怖いのとか平気だし!」
琴葉「このみも大丈夫? 怖いの苦手だったわよね」
このみ「わ、私だって平気だよ! もう大人なんだから!」
千鶴「じゃあ次はそこでいいですわね?」
パイレーツ茜ちゃん「ヒャッハー! 撃て撃てー撃ちまくれー!」
このみ「ぎゃーーー!!!」
桃子「ううぅ……」
千鶴「大丈夫ですわよー二人とも。まったく……やっぱりこうなりましたわ」
ジュリア「なかなか迫力あるよな」
可憐「そ、そうですね。ひっ!?」
エレナ「きゃー! 助けてメグミー!」
恵美「はっはっは! このキャプテン恵美に任せなさいって! 砲撃開始ー!」
琴葉「二人はなんでそんなノリノリなのよ……」
恵美「こういうのは楽しまなきゃ損ってもんだよ琴葉!」
琴葉「まぁそうだけど、きゃっ!」
恵美「おやおやかわいい悲鳴じゃないですか。ねぇエレナさん」
エレナ「うんうん! コトハかわいいヨ!」
琴葉「だ、だってしょうがないじゃない! あんな近くで大砲撃つんだから!」
パイレーツ茜ちゃん「さらばだ諸君! 海はいつでも君たちを歓迎するぞ!」
桃子「わっ眩しい」
このみ「生きて帰ってこられた……」
千鶴「そろそろお昼を食べに行きましょう。のんびりしてるとショーを見逃しますわ」
恵美「アタシチュロス食べたいなぁ」
エレナ「ポップコーンもおいしそうだヨ?」
琴葉「ご飯食べてからね」
可憐「歩さんが予約してくれたお店は向こうですね」
千鶴「パンフレット見ましたけどなかなか良いお店でしたわよね」
ジュリア「あっご飯の時は電話しろって言ってたな。ちょっと電話してくる」
このみ「迷子にならないでねおばさん」
ジュリア「子どもじゃないんだからならないよ! ……あーもしもし、歩か?」
千鶴「じゃあ皆行きますわよ」
桃子「あっ靴紐解けちゃった……んしょ……おばさん靴紐」
桃子「あれ……あれ?」
桃子「みんな、いない……?」
歩「よっす。皆楽しんでるか?」
千鶴「歩? 早いですわね」
歩「もうそろそろ来ると思ってね。アタシも一緒にご飯食べたかったし」
ジュリア「お待たせ―、って早っ!?」
歩「よージュリア。ここはハンバーガーがめっちゃうまいぞ」
このみ「お腹減ったぁ」
エレナ「ワタシもペコペコだヨ」
恵美「メニューメニューっと。うわっこれは迷うなぁ」
可憐「私はどうしようかなぁ」
ジュリア「あれ? 桃子は?」
千鶴「えっ? 嘘……いませんわ!?」
このみ「なんで!?」
琴葉「どうしよう……!」
エレナ「モモコー!」
恵美「店の中にはいないっぽいよ!?」
歩「マジかよはぐれたのか!? どこまで一緒だった!?」
可憐「カリブを出てここまで真っ直ぐ来ましたからその間にはぐれちゃったのかも……」
千鶴「はぐれないように手を繋いでって言いましたのに……」
ジュリア「……いや、あたしが電話しに行ったからだ。桃子と手を繋いでたのはあたしだから……」
千鶴「わたくしも気が緩んでましたわ……母親失格ですわね」
歩「二人ともしっかりしろ。とにかく今は桃子を捜さないと」
このみ「私行ってくる!!」
千鶴「待ちなさいこのみ! あなたも迷子になりますわ!」
このみ「でも……桃子今ひとりぼっちなんだし早く行ってあげないと……」
ジュリア「捜すのは大人に任せろ。このみたちはご飯食べながら待ってな。可憐、悪いけど」
可憐「わかりました。私が皆を見てます」
歩「アタシはスタッフに事情を話してくるよ」
千鶴「じゃあわたくしとジュリアで来た道を戻ってみますわ」
ジュリア「よし行こう! 待ってろよ桃子!」
桃子「こういう時って動かないほうがいいんだっけ……」
桃子「大丈夫、ママたちが見つけてくれるから……大丈夫……」
桃子「ひっく……」
桃子「わっ、すみません。なんか人が多くなってきたかも。ショーが始まるから?」
桃子「そうだ! この人たちに付いていけばショーの場所に行けるかも。そしたらママたちに会えるよね」
桃子「泣いてる場合じゃない、行かなきゃ!」
ジュリア「いたかっ!?」
千鶴「いませんわ……桃子ー!」
ジュリア「二回も往復してまだ見つけられないなんて……」
千鶴「桃子ならやみくもに動き回るなんてことはしないと思いますけど……」
ジュリア「じゃあどこに行ったんだ? 人も多くなってきたし、くそっ!」
千鶴「放送で呼びかけてもらうしか」
歩「千鶴ー! ジュリアー!」
千鶴「歩!? もしかして見つかりましたの!?」
歩「はぁはぁ、いや、まだなんだ。そっちは?」
ジュリア「こっちもダメだ。なぁ放送かなんかで呼べないのか?」
歩「それが……ここじゃ園内放送はよっぽど緊急じゃない限りできないんだ」
千鶴「そんな……」
歩「でも良い知らせがある。スタッフ全員に桃子の特徴を知らせたときにそれらしい子が歩いてるのを見たって言うんだ」
ジュリア「本当か!?」
歩「ああ、一人で歩いてたから気になったらしい。でも変なんだよな。迷子だったら泣いたり俯いてるのにその子は走ってたって言うんだ」
千鶴「走って? それでどっちに向かってたんですの?」
歩「アタシの出るショーのステージだよ。もしかして桃子はそこに行けば会えるって思ったんじゃないか?」
千鶴「……ありえますわね」
ジュリア「じゃあそのステージ近くで捜そう」
歩「可憐たちにも伝えてある。アタシらも早く行こう」
千鶴「でも……もし見つけられなかったら……」
歩「大丈夫だって。もしもの時のために秘策を用意してあるから」
千鶴「秘策?」
歩「いいか? まず………………」
このみ「本当にこの近くにいるの?」
琴葉「人がいっぱいで捜しようがないわ……」
エレナ「モモコ大丈夫かナ……」
恵美「心細いよね……桃子はまだ五歳なんだし……」
可憐「大丈夫だよ! 千鶴さんたちが捜してるんだから絶対に見つかるよ!」
千鶴「あっ可憐がいましたわ!」
可憐「千鶴さん、ジュリアさん! 桃子ちゃんは?」
ジュリア「まだ見つかってない。でもこの近くにいるはずなんだ」
このみ「でももうショーが始まっちゃうよ。こんなに人がいたら捜せないよ……」
千鶴「……大丈夫です。歩がなんとかしてくれますわ」
茜「じゃーん!! 注目注目~!! 野々原茜ちゃんの登場だぞー!!」
千鶴「始まりましたわ!」
茜「今日はなんとなんと~! 茜ちゃんランドの開園五カ月記念日なのだ~!!
ということで特別に、今日は五歳の子にステージに上がる権利をあげよう!!」
ジュリア「頼む、聞いててくれよ桃子!」
茜「皆で一緒に歌って踊れたらちょー楽しいと思うんだよねー!
可愛い茜ちゃんを間近で見られるなんて~よっこの幸せ者っ!」
桃子「五歳……?」
茜「というわけで恥ずかしがらずに皆おいで~! 五歳だよ五歳!
あっこっちに来るとき皆立ってると見えなくて危ないからしゃがんでくれると嬉しいなー! 茜ちゃんからのお・ね・が・い!!」
歩「茜ちゃーん! 今日あたしの友達の娘さんも来てるんだ。その子も五歳だから呼んでいいか?」
茜「おやおや君は新しいお友達のマイハマンじゃないか! そういうことなら特別にマイクを貸してあげよう!」
歩「ありがとう茜ちゃん! すぅ……おーーい! 桃子ーー! アタシはここにいるぜーー!」
桃子「歩さん!? もしかして桃子のために? 早く行かなきゃ!」
茜「おーどんどん集まってくるねーいいよいいよー! みんな猫耳が似合ってるねー!
ややっそこの君が桃子ちゃんだね? ようこそ茜ちゃんランドへ!」
桃子「は、はい!」
茜「よしよし、皆集まったかな? それじゃあミュージックスタート!! 楽しい楽しいショーの始まりだよー!!」
歩「桃子! 良かった……大丈夫か? 怪我とかしてないか?」
桃子「うん大丈夫! 桃子ここに来れば皆に会えると思って頑張ったよ!」
歩「そうかそうか。偉いぞ桃子」
桃子「えへへ」
歩「せっかくステージに上がってるんだ。楽しく踊ろう! 向こうで千鶴たちも見てるぞ!」
桃子「えっ? あっほんとだ!」
このみ「桃子ー!」
琴葉「よかった……」
可憐「無事に見つかりましたね、ジュリアさん」
ジュリア「ああ。一時はどうなることかと思ったけど、終わり良ければすべて良しだな」
エレナ「あはは、すっごい楽しそうだヨ!」
恵美「いいなぁアタシも迷子になったら上がれるのかな」
琴葉もう、絶対やっちゃダメよ?」
千鶴「ふふっ、本当に……本当によかったですわ!」
桃子「ママ―!」
千鶴「桃子! 心配しましたのよ!」
歩「へへっ、うまくいったな」
ジュリア「なかなか冴えてるアイデアだったぜ歩。見直したよ」
歩「まっアタシは頼んだだけだよ」
茜「いやぁ見つかってよかったよかった。これも茜ちゃんのおかげだよね」
ジュリア「うおっ!? いつからここに!?」
歩「え、園長!?」
茜「マイハマンの後ろに隠れてたのさ! どうだった? 茜ちゃんの名演技!」
可憐「こ、この人が園長さんなんですか? 私と同じくらい、ですよね……?」
茜「まぁ肩書だけみたいなものだけどねー。でも段取りとか指示とかは全部茜ちゃんがやってるんだし実質園長なのかな?」
千鶴「あ、あなたが桃子を見つけてくれましたのね!? ありがとうですわ!!」
茜「おおう激しいハグをありがとうお母さん。茜ちゃんは協力しただけですから。
あっそれ以上抱きしめられてると天国に行っちゃうかも、がくっ」
千鶴「あっごめんなさいですわ。嬉しくてつい」
茜「これからは気をつけなされよ~茜ちゃんの次ぐらいにかわいい娘さんなんだから。ではこの辺で茜ちゃんは次のお仕事に!」
ジュリア「行っちゃった。なんというか騒がしい人だな」
歩「あれでもアタシの上司だよ。良い人だから信頼もできる。こういうこと言うと余計うるさくなるから言わないけどね」
桃子「あの……ごめんなさい。桃子迷子になっちゃった……」
千鶴「いいんですわ。わたくしも周りが見えていなかったのですからお相子ですわ」
ジュリア「あたしも悪かったよ。手を繋ぐのはあたしの役割だったのにな」
桃子「許してくれる?」
歩「許すに決まってるさ。ただ一つ約束してくれ。迷子になったら近くの大人に言うこと。
スタッフや近くのお店の人に言うんだ。もし近くに誰もいなかったらなるべくじっと待つこと」
桃子「でも待ってる時すっごい不安だったよ。歩いてた時は怖くなかったのに」
歩「そう、一人で待つってすごい勇気がいるよな。でも怖がる必要はないんだ。
アタシも千鶴も、ジュリアも可憐もいる。絶対に見つけるって約束するから」
桃子「うん!」
歩「よし! それじゃあ午後はもっともっと楽しもう!」
このみ「ももこぉー! 心配したんだからね!」
琴葉「桃子お帰り!」
桃子「く、苦しいよお姉ちゃん」
エレナ「モモコー! 無事でよかったヨー!」
恵美「桃子がお昼まだだよね。ハンバーガーとかホットドッグとか買ってきてるよ!」
桃子「えへへ、そんなに持てないよ」
千鶴「こらこら、そんなに引っ付いてたら歩けないですわよ」
ジュリア「次はどこに行くんだ?」
可憐「ここからだとスイートワールドが近いですね」
歩「おっあそこのお菓子はどれもおいしいんだよな。桃子は行きたいか?」
桃子「お菓子? 行く行くっ!」
歩「よーしそれじゃあ出発だー! アタシに付いてきな!」
桃子「歩さんそっちじゃないよ! 歩さんも迷子になっちゃうよ!」
歩「へっ? わわっ置いてかないでくれー!!」
つづく
桃子でお話が作りやすいのと茜ちゃんがかわいいせいですね。
ではではいつも読んでくださりありがとうございます。それでは
鞄の中から鍵を取りだすと育から貰ったキーホルダーが鍵に当たってカチンと鳴った。
フラフラと揺れるそれをしばらく眺めてから鍵穴に差し込んだ。
手応えと共にガチャリと鍵の開く音。何度も何度も聞いた音だ。
「……ただいま」
扉を開き、真っ暗な廊下に向かって口にする。それから持っていた紙袋を置いて靴を脱ぎ、記憶を頼りにスイッチを探る。
明るくなった室内は朝出たときのままだ。そう言えば今日は起きるのが遅くなってお皿もコップもシンクに放り込みっぱなしだったんだっけ。
「よいしょっと」
踏み台を持ってきて台所に立つ。スポンジに洗剤をかけて泡立たせ、洗い物開始。
鼻歌交じりに擦って流して。一人分ということもあって洗い物はすぐに終わった。
「ご飯も食べてきたし、宿題も終わってるもんね」
つまりやることは無い。いつもなら台本を読んだり練習をしているけど、今日はお兄ちゃんから出された宿題がある。
それが入った紙袋を玄関に置きっぱなしにしていることを思い出して慌てて取りに戻った。
中にはフルハウスのDVDが六巻入っている。
「全22話かぁ……これでも十分多いよね」
今日発表された新企画『ミリオンハウス』を成功させるためとお兄ちゃんはその元ネタのシーズン1をレギュラー全員に渡した。
桃子も借りる予定だったから嬉しかったけど、さすがに全シーズンを詰めた段ボールを持ってくるとは思わなかった。
結局ジュリアさんたちにツッコまれてシーズン1だけということになったけど。
「まぁいいや。リモコンリモコン」
テレビを付ければ音楽番組に出演する春香さんが映った。ちょっと前に緊張したって言ってた通りだいぶ緊張してる。
一旦リモコンを置いて春香さんの出番が終わるまで見ることに。トークはガチガチだったけど歌になるといつもの春香さんに戻っていた。
こういうところは少しだけすごいと思う。
春香さんが笑顔で退場したところで入力切替、DVDをセットして再生を始めると古臭い音楽と共にメニュー画面が表示された。
「この子がミシェルだよね。ほんとに赤ちゃんなんだ」
ミリオンハウスでは五歳という設定になるらしいけど、それでも桃子の歳よりだいぶ離れてる。
お仕事だから割り切るけどあまり面白くないかな。
「あとでお仕置きしないとね。ふふっ」
第一話が始まる。桃子が生まれる前の作品だから当然だけど古臭いって印象は拭えない。
本当に面白いのかな、少しだけ不安になってきた。
「お母さんが死んじゃって、それでおじさんたちが来るんだよね」
うわっジェシーって人の髪型すっごい。ジュリアさんもこんな髪に?
「ちょっとおもしろいかも。ジュリアさん絶対嫌がるだろうな」
ダニーはいかにもお父さんって感じで千鶴さんならぴったりだと思う。
ジョーイも大人なのにどこか抜けてて歩さんが選ばれたのも納得かも。
それで二人が来たからステファニーが部屋を移ることになって、それでDJは妹と一緒の部屋になるんだね。
「嫌がってるなぁ」
桃子は一人っ子だからよくわからないけどお姉ちゃんだったら気持ち分かるのかな。
「一人部屋より二人のほうが楽しいと思うけどな」
DJがガレージに住むって言い出しちゃった。ふふっそんな説得じゃ納得できないよね。
「お母さんがいない……か」
桃子にはお父さんもお母さんもいる。けれど桃子は今一人でこれを見てる。
「なんで桃子を選んだんだろ……育でも環でもいいのに」
画面には仲直りして抱き合う家族が映っている。そんなことを桃子がしたのはどれくらい昔のことだろう。
思い出せない。そんなに昔のこと? それとも……したことが無い?
そんなことは無いよね。そんなこと無い……はずなのに。
「お父さん……お母さん……」
ソファに横になると瞼が重くなってきた。疲れてるからかな。
なんだか桃子の中から溢れた想いがどんどんのしかかってきてるみたい。
こんなとこで寝たら……風邪引いちゃう……。
「懐かしいな。フルハウスか」
「桃子が見てたみたい。自分で借りてきたのかしら」
話し声が聞こえてきて目を開いた。少し体を動かすとタオルケットがパサリと床に落ちた。
声のした方向を見るとお父さんとお母さんがいた。
「あれ……?」
「ダメよ桃子。そんなところで寝ちゃ。風邪ひくわよ」
「うん……」
体を起こす。お父さんとお母さんはお酒を飲みながらフルハウスを見ているみたいだった。
桃子が流しっぱなしで寝ちゃったらしく、話もだいぶ飛んでる。
「借りてきたのか?」
「ううん。お兄ちゃ、プロデューサーが今度の公演の参考にって」
「そうか」
会話は続かないけどいつもの気まずい雰囲気は感じない。とりあえず、桃子も見ることにする。
「ふふっ」
「あはは」
こうして三人でテレビを見るなんていつ以来だろう。昔は桃子の出たドラマとかを三人で見てた気がする。
その時も桃子とお母さんが笑ったりして、お父さんはじっとテレビを見てたっけ。
一巻の最後のお話だったみたいで再びメニューに戻ってしまった。桃子は咄嗟に二巻を紙袋から取り出した。
「つ、続き見る?」
お父さんもお母さんも意外そうに桃子を見て、二人で顔を見合わせて、それから笑顔で頷いた。
「じゃあ急いで変えるね!」
胸がどきどきした。顔が変になりそうなのを必死に堪えようとして余計変な顔になってそう。
それでも、そんなの気にならないぐらい嬉しかった。
「せっかくだしこっちで見ましょう?」
「……そうだな」
「う、うん! えへへ」
ソファに三人並んで続きを見始める。桃子が真ん中でお母さんが左、お父さんが右。
それは記憶にある子供のころとなにも変わらない、桃子がずっと夢見たものだった。
それをお伝えしたくこの話を書きました。身勝手で都合のいい物語ですがそれが私の考えるこの世界です。
それでは。次のお話の時に。
もし続きを期待していた方がおりましたらすみません。
読んでくれていた皆さんありがとうございました。
乙です
>>33
ダニー・タナーhttp://i.imgur.com/cDQiLgH.jpg(中央)役 二階堂千鶴(21) Vi
http://i.imgur.com/QB58gK9.jpg
http://i.imgur.com/wHN7zmx.jpg
DJ・タナーhttp://i.imgur.com/s6r9B0v.jpg(右)役 田中琴葉(18) Vo
http://i.imgur.com/ba9k1Tw.jpg
http://i.imgur.com/8iH4EFK.jpg
ステファニー・タナーhttp://i.imgur.com/QdtHNuC.jpg(右)役 馬場このみ(24) Da
http://i.imgur.com/WEmXfoY.jpg
http://i.imgur.com/oz6p1Po.jpg
>>34
ミシェル・タナーhttp://i.imgur.com/0AovxhK.png役 周防桃子(11) Vi
http://i.imgur.com/SYBoVEv.jpg
http://i.imgur.com/TcDHeAk.jpg
>>36
キミー・ギブラーhttp://i.imgur.com/lGhRbfE.png(右)役 所恵美(16) Vi
http://i.imgur.com/i0uOnam.jpg
http://i.imgur.com/RN3cTiy.jpg
>>41
学級委員役 高山紗代子(17) Vo
http://i.imgur.com/Hhr57LK.jpg
http://i.imgur.com/IV2qNHO.jpg
琴葉の先生役 百瀬莉緒(23) Da
http://i.imgur.com/AO6YFy7.jpg
http://i.imgur.com/p9JHCRu.jpg
>>42
スティーブン・ヘイルhttp://i.imgur.com/D8J5782.jpg(左) 役 島原エレナ(17) Da
http://i.imgur.com/M2zezSc.jpg
http://i.imgur.com/KgKpLDJ.jpg
>>44
ジェシー・コクランhttp://i.imgur.com/6IDpXXt.jpg役 ジュリア(16) Vo
http://i.imgur.com/ijqQ0Sk.jpg
http://i.imgur.com/8AwNBt7.jpg
ジョーイ・グラッドストーンhttp://i.imgur.com/iVRu7oy.jpg役 舞浜歩(19) Da
http://i.imgur.com/utLWc4r.jpg
http://i.imgur.com/47Ad3U9.jpg
>>47
レベッカ・ドナルドソンhttp://i.imgur.com/yeq5xkd.png(右)役 篠宮可憐(16) Vi
http://i.imgur.com/b9bOKXw.jpg
http://i.imgur.com/fWoeMvq.jpg
>>68
桃子の友達役 中谷育(10) Vi
http://i.imgur.com/zOuTfhi.jpg
http://i.imgur.com/44kLkdJ.jpg
桃子の友達役 大神環(12) Da
http://i.imgur.com/4mOaYhq.jpg
http://i.imgur.com/jxS64Ts.jpg
>>69
桃子の先生役 豊川風花(22) Vi
http://i.imgur.com/URJlnyu.jpg
http://i.imgur.com/0ujJwbl.jpg
>>157
本人?役 野々原茜(16) Da
http://i.imgur.com/Wqbk0Wz.jpg
http://i.imgur.com/dpRLfWW.jpg
>>78
『流星群』
http://www.youtube.com/watch?v=Hstu1RmC0BU
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