P「病室、きっと夕暮れ」(K)

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1 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:46:04.70 ID:BKS/PgQ30

P「ん……ここは?」

小鳥「プロデューサーさん! 気がつきましたか!」

P「小鳥さん? ここは……?」

小鳥「ここは病室です。なにがあったか覚えていないんですか?」

P「いや、たしか遊園地にいて……」

小鳥「そうです。遊園地でのステージを下見している最中にセットが倒れてきて……」

P「そうだ、俺はその下敷きに……」

2 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:48:02.49 ID:BKS/PgQ30
小鳥「思い出しましたか。三日も寝たままだったので心配したんですよ」

P「三日も!? 仕事はどうなってますか!?」

小鳥「心配しなくても、社長と律子さんがフォローしてくれていますよ」

P「はぁ……よかった……」

小鳥「だいたい、仕事をしすぎなんですよプロデューサーさんは!」

P「すみません……逆に怒られるとは」

小鳥「その頑張りもいいところですけど、無理はしすぎないでくださいね?」

P「肝に銘じます」

小鳥「よろしい♪ ではリンゴをどうぞ!」
3 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:48:36.31 ID:BKS/PgQ30
P「っと……おなか一杯になったら眠くなってきたな……」

小鳥「無理せず寝ても大丈夫ですよ」

P「すみません……」

小鳥「体力の回復を優先してください。そうしないと体がもちませんよ?」

P「へっ?」

小鳥「事務所のほうにも連絡しましたから、私以外の子たちもお見舞いに来てくれると思います」

P「ああ……なるほど」
4 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:50:05.36 ID:BKS/PgQ30
小鳥「みんな心配していましたから、元気に相手をしてあげてくださいね」

P「わかりました」

小鳥「特に貴音ちゃんは、すごく心配してましたから」

P「そうですか……悪いことしたな」

小鳥「あと……その、プロデューサーさん」

P「なんでしょう」





小鳥「……気を落とさないでくださいね」

P「……ええ、ありがとうございます」
8 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:52:35.83 ID:BKS/PgQ30

P「…………ん。寝すぎたかな」

「……起きましたか、あなた様」

P「……来てくれたのか、ありがとな」

貴音「ええ、あなた様が目を覚ましたと聞いて、いてもたってもいられなくなりました」

P「そうか……心配かけたみたいだな、すまん」

貴音「謝ることはありませんよ」

P「じゃあ……ありがとうな、来てくれて」
9 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:54:43.34 ID:BKS/PgQ30
貴音「ところで、あの日のことは覚えているのですか?」

P「ああ、ぼんやりとだけどな」

貴音「そうですか。あの事故の前のこともですか?」

P「……ああ、なんとなくな」

貴音「……そうですか」

貴音「あなた様とはじめて回った遊園地……たくさんの驚きがありました」
12 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:57:22.87 ID:BKS/PgQ30
P→765、モバP→346、グリP→シアター
やないんか?(素朴な疑問)
13 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:57:56.91 ID:BKS/PgQ30

P「そうだったな」

貴音「こーひぃかっぷなるものは、もうしばらくは遠慮したいところですが」

P「はは、さすがに回しすぎたか」

貴音「あんなに回るものだとは知らず……恥ずかしい姿を見せてしまいました」

P「あれは貴音が回しすぎたんだろう」

貴音「あ、あれは! あなた様のほうが面白がって回していましたよ!」
21 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 00:59:48.11 ID:BKS/PgQ30
P「まぁまぁ、そうムキになるなよ」

貴音「あなた様はいけずです……」

P「いけずで結構。で、悪いんだけど棚の上にある花瓶の水を換えてくれないか」

貴音「棚の上……ですか」

P「ん、どうした?」

貴音「あなた様、申し訳ないのですが先程のれっすんで腰を痛めてしまい……高い所にあるものをとるのは難しそうです」

P「そうか……大丈夫なのか? 腰は」

貴音「安静にしていれば大丈夫、とのことです」

P「わかった、無理はするなよ」

貴音「ありがとうございます、あなた様」

P「じゃあ、リンゴをむいてくれないか」
27 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:00:46.98 ID:BKS/PgQ30
貴音「できました」

P「じゃあ、あーんしてくれ」

貴音「あ、あーん、ですか!?」

P「病人だしさ、これくらいは甘えてもいいかなって」

貴音「少し恥ずかしいですが……わかりました」

P「よっしゃ!」

貴音「では、あーん……」

P「あーん。ん、うまいなぁ」
32 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:01:15.32 ID:BKS/PgQ30
貴音「ところであなた様」

P「ん?」

貴音「あの時の約束は覚えていますか?」

P「あの時……?」

貴音「あの、満月の日に言っていただけた言葉は、覚えていらっしゃいますか?」

P「ああ……覚えているよ」

貴音「とっぷあいどるになれたら……」

P「貴音の気持ちに応える」

貴音「…………ええ」

P「そう、貴音に言ったな」

P「覚えてるよ、もちろん」
40 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:02:13.84 ID:BKS/PgQ30
貴音「おぼえていらっしゃいましたか」

P「もちろんだ。忘れるわけはない」

貴音「良かったです」

P「良かった、か」

貴音「もちろんです」

P「そうか、それなら……いいんだ」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 01:02:19.03 ID:rnUj9QVl0
貴音のあーんは至高だよなぁ
44 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:02:44.57 ID:BKS/PgQ30
P「……おっと!」

ガチャン!

貴音「あなた様!? 大丈夫ですか!?」

P「ああ、ちょっと不注意だっただけさ」

貴音「ああ、こーひぃが床に……」

P「申し訳ない……ふいてくれると助かるよ」

貴音「ふふっ、これくらいのことはいたしますよ」

P「すまないなぁ……こんな年下の世話になるのは申し訳ない気もするよ」

貴音「たまにはよいと思いますよ?」
51 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:04:28.33 ID:BKS/PgQ30
貴音「さて……ではそろそろ日も落ちてきましたね」

P「ん? そうか、もうそんな時間だな」

貴音「夕日が差し込み、遠くでからすも飛んでいます」

P「そうみたいだな。じゃあ帰ってしまう前に、ちょっといいか」

貴音「なんでしょう?」

P「お前に謝らなくちゃいけないことがある」
56 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:06:32.83 ID:BKS/PgQ30
P「ごめんな、俺はもう目が見えないから、お前のプロデュースはできそうにないよ」
57 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:07:23.31 ID:BKS/PgQ30
貴音「いいえ、謝ることはありません……わかっていましたから」

P「そうか、そりゃ……そうだよな」

貴音「それより、わたくしの方からもあなた様に謝らねばいけないことがあります」

P「なんだ?」
59 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:10:34.60 ID:BKS/PgQ30






貴音?「だましてごめんね、大好きだったよ」


ナイフで胸を刺された。激しい痛みとともに動機が早まり、流れる血は止まらない。
60 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:11:48.53 ID:BKS/PgQ30
P「ぐぅっ……まさかいきなりとはな……」

貴音?「もうこうするしかないでしょ?」

P「……そっか、そこまで好きでいてくれたのか」





P「真美」

真美「……兄ちゃん、やっぱ気づいてたんだね」
61 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:12:19.75 ID:BKS/PgQ30
P「当たり前だろ……どれだけ……お前たちのプロデューサーをしていたと思ってんだ」

P「真美のモノマネか本人かなんて、わかるに……きまってるさ」

真美「そっか……ありがとね」

真美「ほんとうに、大好きだよ」

P「ああ……なんとなく気づいてたよ」

真美「兄ちゃんとお姫ちんが付き合ってるってウワサを聞いてからも、ずっと」

真美「だから、確かめたかったんだ。だましてごめんね」
62 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:13:06.79 ID:BKS/PgQ30
P「いや、いいさ……」

真美「お姫ちんの遊園地デート、楽しかったよね」

P「ああ……楽し……かった」

真美「そっかぁ。真美も、兄ちゃんと遊園地デートしたかったなー……」

真美「でももう、兄ちゃんは真美のものにならないってわかっちゃったから」

……もう、意識がもたない。

真美「でも、最後だからこれくらい……いいよね」
64 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:13:42.86 ID:BKS/PgQ30
小さな唇と舌が俺の口内を激しく貪った。

それは、寂しさ、愛しさ、憎しみがないまぜになった濃いもので、



真美「好きだから、ちかたなかったんだ。ごめんね」

そして二回目の刺突を受け、俺は――――




66 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:15:25.93 ID:BKS/PgQ30
読んでくれてありがとうございます!

過去作
美穂「私にとってのアイドル」

モバP「まほうのメガネ」
68 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:17:29.37 ID:BKS/PgQ30
いやすまん、盲目トリックありきで作ったのでなんか中途半端になってしまった。
あと765プロは意外と苦労した……設定をさかのぼるのにも時間かかったし。
ネタ発案から、だいたい3時間くらいかかっただろうか。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 01:24:06.32 ID:8E9WVFQQ0
衝撃的なオチだが面白かった
79 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:26:35.57 ID:BKS/PgQ30
>>78
見てくれてありがとう。
思いついたらやってみたくなってしまった。
80 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:29:48.23 ID:BKS/PgQ30
いま思うと、三作目にしてはじめてちゃんとオトした気がする。
HTML化出してきます~
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/15(火) 01:31:46.42 ID:TxtJ+ho1o
長編かと思ったら短かったぜくそったれぇ!
84 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:32:45.42 ID:BKS/PgQ30
>>82
見てくれてありがとうやで
長編がんばって書いてみたいとは思ってる!
85 : ◆ji5zpvWQ2s2016/03/15(火) 01:34:28.78 ID:BKS/PgQ30
そいじゃ落ちます。見てくれてありがとうございました。
荒らしに負けずに見てくれた人ほんとにありがとうございます。

荒らしのひとは世知辛い世の中かもしれんけど、腐らず明日もがんばるんやで!!
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 02:40:54.30 ID:nI4KkZE00
いい>>1やないの…荒らしにまでフォロー入れて
盛大に乙
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 02:59:33.13 ID:a43+xpoFO
普通に貴音の話かと思って油断してた
おつ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 03:08:00.36 ID:1X/00ZO8o

オチには驚いたけど、もう一捻り欲しいところ
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 08:06:17.41 ID:SEj+Qo5gO
おつおつ
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage]:2016/03/15(火) 10:31:51.73 ID:H0DTnRyKo
騙して悪いが好きだったんでな

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